Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−18−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)Cが他のセルに比べ大きく、燃料供給不足により実質の燃料利用率が増加していると診断できる。このような測定結果をSOFCの研究開発にフィードバックすることにより、研究開発を加速させることができる。以上をまとめると、スタック内の各セル性能のばらつきと各種抵抗成分を分離して測定できるスタック性能評価手法を開発し、民間企業の1 kWスタックを実測することにより燃料分配の不均一性等の情報を多角的に評価でき、SOFCの研究開発に役立つことが分かった。この成果は、連携企業の10 kWコジェネ機開発に活かされた。さらに、この手法は、耐久性試験にも応用できると考えている。3.2 SOFCシステムの発電効率測定手法の開発と規格標準化3.2.1 高精度発電効率測定手法の開発NEDOプロジェクト「システム効率計測評価技術の研究」では、産総研計測標準研究部門・流量計測科と共同で、SOFCシステムの発電効率の高精度測定手法を中心に研究開発を行った。流量計測科は都市ガス流量用標準器や実用標準器の開発を行った。当グループは可搬型の発電効率測定手法を開発し、同NEDOプロジェクトで関西電力(株)と三菱マテリアル(株)が開発した10 kWコジェネ機の発電効率を設置サイトで測定し、不確かさ解析を行った。セクション2.1で述べたように、発電効率は高位発熱量(HHV)基準を採用した。SOFCシステムの発電効率eは、式(1)で示すように、SOFCシステムに供給される都市ガス等原燃料の発熱量Hと流量fおよび正味の交流出力(電力)Pから定義される。PH×fηe= (1)よって、発電効率の測定では、これらのパラメータをそれぞれ、目標不確かさに応じた方法で測定することが重要になる。不確かさには、各種測定器の不確かさだけではなく、試験中の測定対象に起因する変動(例:都市ガス組成、出力)も含まれるので、測定システムに由来する発電効率の目標値を相対不確かさ±1.0 %とし、H、f、Pに平等に割り当てると、それぞれを±0.6 %の相対不確かさで測定することが要求される。そこで、この研究開発では、発熱量、流量、出力の測定器の相対不確かさの目標値をそれぞれ±0.6 %とし、不確かさを低減するために、計量標準にトレーサブルな測定器の校正方法を含む高精度な測定手法を検討した。以下、各測定手法についてまとめる。3.2.1.1 発熱量測定手法の開発都市ガス等気体燃料の発熱量は、JIS K 2301およびISO 6974, 6976(ISOは天然ガスのみ対象)で規定されているように、ガスクロマトグラフによりガス組成を測定し、計算によって求める方法が主流となっている。この研究では、不確かさの計算方法が規定されているISOの方法を基に、SOFC設置サイトでガスを可搬型ガスサンプラ(特願2008-045311)に採取し、研究室に輸送し上記JISあるいはISO規格準拠のガスクロマトグラフで測定する手法、および可搬性に優れ、数分程度での高速分析が可能なマイクロガスクロマトグラフで測定する手法を開発した(図7)。なお、ISO 6976では、発熱量の計算に用いる図7 可搬型高精度発電効率測定システムの概要HEX:熱交換器、MFM:メタン用熱式質量流量計、µGC:マイクロガスクロマトグラフ可搬型出力測定装置(現場で発熱量連続計測)可搬型サンプラ高精度発熱量自動測定装置グリッド都市ガス13 AMFMµGC電力計研究室へ輸送流量測定装置HEX10 kWSOFCシステムガス温度25.0±0.3 ℃に制御ガス圧力測定空気で感度ドリフト校正発熱量, H流量, f交流出力, P
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