Vol.6 No.1 2013
20/70
研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−17−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)分かった。以上をまとめると、開発したSOFC発電性能評価手法および試験装置は、小流量でも安定にかつ精度よく模擬改質ガスをアノードに供給でき、かつ、毒性の強い純一酸化炭素の使用を避けることができるので、これまでよりも簡便、安全で、かつ高精度なSOFC発電性能試験が行えるようになった。最近、複数のSOFC開発企業がこの装置を購入しているので、今後とも装置メーカーへ技術協力を行い、製品化に向けたSOFC研究開発に役立ててもらえるように貢献していきたい。さらに、この研究で得られた知見を活かしつつ、単セルやスタックの性能試験方法の素案を作成し、現在、JIS規格化およびIEC規格化を同時に進めている[11]。3.1.2 スタック性能評価手法の開発SOFCシステムでは単セルを複数積層したスタック(図6)の性能が重要であり、スタック内の各セル性能のばらつきを抑えることによりシステム制御が容易になる。また、通常、セルは直列接続されているので、セルが一つでも故障あるいは激しい劣化をすると、スタックの運転ができなくなる。以上の理由から、SOFCシステムの研究開発では、スタック内の各セルの性能を個別に評価することが望まれている。図6に示すように、各セル性能のばらつき要因としては、セル・周辺部材の個体差、燃料分配の不均一性、スタック内の温度分布、および部分的な性能劣化が挙げられる。しかし、このようなSOFCスタックの性能を評価する手法は確立されていなかった。そこで、我々は、単セルの電気化学的性能評価手法としてよく用いられる交流インピーダンス法を応用して、直列スタック中のセル性能のばらつき要因を同時にかつ、各要因を区別して測定できる評価手法を開発し、図6(b)に示すように、47セルのインピーダンスを同時に測定できるマルチインピーダンス測定装置を試作した[14]。この装置では、直流電流に交流電流(周波数を数十kHzから0.01 Hz程度まで変化)を重畳させ、各セルの電圧応答波形をフーリエ変換することにより、電極反応等の時定数に応じたマルチインピーダンススペクトルが得られる。さらに、試作装置を用いて、共同研究先の関西電力(株)と三菱マテリアル(株)が開発中の1 kWスタック(46セル直列接続)の試験を行った。マルチインピーダンス測定結果の一例(セル#41-46)を図6(c)にCole-Coleプロットとして示す。x軸はインピーダンスの実部であり、#46のスペクトルのように、SOFCの場合、A:オーミック抵抗、B:活性化過電圧に相当する抵抗、C:燃料消費に伴うガス濃度変化に相当する抵抗の3つに分けられる。例えば、セル#41、42では ABC改質ガス燃料不足のセル(b) マルチインピーダンス測定装置(c) 1 kWスタックの測定例(a) SOFCスタック燃料分配温度分布• セル・周辺部材の個体差• 燃料分配の不均一性• 温度分布• 性能劣化(抵抗増大)スタック中の各セル性能のばらつき要因#41#42#43#44#45#460.60.50.40.30.2-0.1-0.2-0.3-0.400.1Z’/ Ωcm2Z”/ Ωcm2図6 スタック性能評価手法の開発と民間1 kWスタックの測定例
元のページ