Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−15−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)はシステム試験方法の規格標準化が最優先事項と判断した。なお、最近は、単セルおよびスタックを販売する企業が国内外で出てきており、今後商取引が活発になることから、それらの性能測定方法の規格標準化が重要になっている。我々は現在、単セル・スタック試験方法のIECおよびJIS規格提案を行っており、この取り組みについては別報にて報告した[11]。そこで、この研究では、単セル・スタックの発電性能評価手法については、SOFCシステムの運転条件を簡便に模擬でき、試験者がより安全に、かつ電圧等の性能を相対不確かさ±1 %で測定するための「発電性能測定評価手法」および、スタック性能のばらつきおよびその要因を評価できる「スタック性能評価手法」の開発を目標とした。発電効率測定に関しては、測定システムに由来する発電効率の相対不確かさの目標値をSOFC設置サイトでは±1.0 %とし、高精度に都市ガスやLNG等原燃料の流量・組成を測定する技術を中心に技術開発を行うとともに、発電効率試験方法の規格標準化を行った。2.2 研究目標を実現するための研究展開この研究開発では、測定値の不確かさを低減するため、繰り返し性・直線性がよい市販の熱式質量流量計、ガス組成分析計(ガスクロマトグラフ)、電圧計、電流計等各種測定器を、国家計量標準へのトレーサビリティを確保しつつ、高精度に校正する手法を念頭に置き、研究開発を展開した。図4に、この研究開発で取り入れた各種要素技術とその統合を簡易的に示す。流量測定の例では、連携した産総研計測標準研究部門・流量計測科が都市ガス・水素流量の標準器と実用標準器の開発を行いつつ、当グループは流量校正方法と効率測定用高精度流量測定手法および装置の開発を担当した。ガス組成分析では、標準ガスメーカーの協力のもと、不確かさが低減できる質量比混合法による標準ガスを利用する分析方法を採用し、高精度ガス組成分析システムを精密分析機器メーカーと開発した。また、図4に示すように、発電性能評価手法の研究開発では既存の触媒技術と上記高精度流量測定等を組み合わせた新規な手法を開発し、民間の実用サイズのSOFCセル・スタックを試験可能な装置を燃料電池用機器メーカーと共同で開発した。さらに、スタック性能評価手法の研究開発では、基礎的な電気化学的評価手法の交流インピーダンス法を応用して、電気化学測定器メーカーとともにスタックの性能のばらつきを同時に測定できる装置を試作した。このように、この研究では、市販の測定器、計量標準にトレーサブルな高精度流量計・標準物質、触媒技術等を適宜組み合わせて、高精度で新規なSOFC性能測定手法および装置等を開発するとともに、SOFC開発企業等と連携して開発した装置の性能と実用性を評価した。3 性能評価と測定手法3.1 SOFCセル・スタック性能評価手法の開発3.1.1 発電性能評価手法の開発SOFCの単セル電圧は、アノードガス中およびカソードガス中の酸素分圧と温度から決まる起電力からオーミック抵抗による抵抗過電圧、電極反応過程による活性化過電圧、電極近傍の物質拡散速度による濃度過電圧を差し引いたものである。アノードガス(H2-H2O-CO-CO2-CH4等)中の酸素分圧はアノードガス組成と圧力、燃料利用率等に依存するので、セル・スタックの性能試験ではこれらを規定することが重要である。また、上記過電圧項はSOFC自体 トレーサビリティの流れ要素技術要素技術性能評価手法、SOFCシステムの発電効率測定手法の確立および試験法の規格標準化により、SOFC研究開発の推進およびSOFCシステムの早期導入を目指す電気化学的評価手法民間の実用セル・スタック製造技術、 試作システム・各種測定・制御機器・触媒技術・中小企業の技術力スタック性能評価手法開発評価対象発電性能評価手法・装置開発高精度流量測定高精度組成分析本研究開発高精度標準ガス高精度流量計校正用物質・機器流量標準質量標準国家計量標準図4 この研究開発で取り入れた主な要素技術とアウトカムイメージ

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