Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−14−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)に、電子が外部回路へ移動することにより直流出力(電力)が得られる。一般的には、直流出力をインバータ等のパワーコンディショナーで交流出力に変換し、SOFCシステム内部でその一部が消費され(5-10 %程度)、残りが正味の交流出力となる。したがって、SOFCシステムの研究開発は、一般的に、単セル材料・構造の開発→スタックの開発→改質器等システム構成部品の設計・開発の順に行われる。スタックを開発するには、図3に示すように、単セル性能を把握した上で、スタック内の温度分布、燃料分配の不均一性等による各セル性能のばらつきを評価し、最適な設計を行うことが重要である。また、システム開発ではスタック性能に加えて、熱設計、改質器性能等が重要で、システムの性能指標として発電効率が最も重要である。我々は、単セル、スタック、システムそれぞれの性能評価技術を開発することで民間のSOFCシステムの研究開発を支援して早期実用化を加速することだけではなく、SOFCが商用化された際の公正な商取引を行ううえで重要となる性能試験方法の規格標準化を行うことも、公的機関である産総研の役割と考えた。SOFC単セル・スタックの発電性能は、SOFC自体の特性だけではなく、ガス流量・組成、温度、燃料利用率(供給した燃料に対し、発電に利用された燃料の割合)等試験条件によって大きく左右される。しかし、これまでガス流量・組成精度等を規定した性能評価手法は確立されていなかった。また、アノードガス中には毒性の強い一酸化炭素が10 %前後含まれ、一般的な試験では純一酸化炭素や純水素等をそれぞれ供給して混合したガスが使用されるため、純一酸化炭素の取り扱いには厳重な安全対策が必要で、試験設備が複雑になりコスト増となる問題があった。一方、発電効率の測定手法については、NEDOプロジェクトのコジェネ機発電効率目標値40 %(定格時、送電端、HHV基準)に対して[9]、±1 %以下の不確かさ(相対不確かさ±2.5 %)で測定するのが妥当と考えられる。しかし、開発の先行したリン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池では、性能評価方法において測定精度を規定する規格は当時は存在せず、既存のコージェネレーションユニットの規格(JIS B8122)の型式試験における測定器精度として電力計±1.5 %、燃料ガス用流量計±3 %が規定されているのみであり[10]、発電効率の不確かさは±5 %程度と推定され、不十分であった。また、10 kW以上のSOFCシステムは測定環境が整った実験室に移動させることが難しく、発電効率は民間等のSOFC設置サイトで測定するのが最良であることから、可搬型の効率測定手法が重要になると考えた。性能試験方法の規格標準化については、当初、1-200 kW級SOFCシステムの開発がセル製造企業とシステム開発企業の間で進められ、実用化が迫っていたため、まず 制御器制御器制御器排熱(排ガス)カソードへ空気SOFCシステム境界交流出力インバータ等パワーコンディショナー直流出力アノードへ電解質カソードアノードSOFC単セルスタック改質用酸化剤原燃料蒸発器改質器H2, CO, CH4H2O, CO2, .. 性能規定要因主な性能指標・内部抵抗、過電圧・ガス流量・組成・燃料・空気利用率・温度電圧-電流特性単セル・セル品質の均一性・燃料分配のばらつき・温度分布・インターコネクト特性スタック電圧-電流特性スタックシステム交流出力、発電効率・熱設計(温度制御)・流量制御精度・改質器性能・インバータ性能図2 一般的なSOFCシステムの構成(制御器:流量制御器)図3 性能指標・性能規定要因の包含関係 制御器制御器制御器排熱(排ガス)カソードへ空気SOFCシステム境界交流出力インバータ等パワーコンディショナー直流出力アノードへ電解質カソードアノードSOFC単セルスタック改質用酸化剤原燃料蒸発器改質器H2, CO, CH4H2O, CO2, .. 性能規定要因主な性能指標・内部抵抗、過電圧・ガス流量・組成・燃料・空気利用率・温度電圧-電流特性単セル・セル品質の均一性・燃料分配のばらつき・温度分布・インターコネクト特性スタック電圧-電流特性スタックシステム交流出力、発電効率・熱設計(温度制御)・流量制御精度・改質器性能・インバータ性能
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