Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−13−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)電効率が期待できる[5]。後述するように、SOFCシステムは、発電部として最小構成単位の単セルを複数積層したスタック、および流量制御器等の補機類で構成されている。したがって、SOFCの研究開発では、単セル、スタック、システムの性能をそれぞれ精度よく評価し、性能を向上していくことが重要である。国内では、一般財団法人新エネルギー財団の「固体酸化物形燃料電池実証研究」で家庭用700 Wシステムでも45 %の発電効率が実証され[6]、2011年10月よりJX日鉱日石エネルギー(株)から都市ガスや液化石油ガスを利用する電気出力700 Wのコージェネレーションシステム(コジェネ機)が世界に先駆け販売開始された。また、最近では5 kWから250 kWの業務用発電システムの開発が始まり、さらにガスタービンとスチームタービンを組み合わせたトリプルコンバインドシステム(目標:容量〜800 MW、発電効率60 %以上)の開発が計画されている[5]。また、国外では家庭用2 kWシステムが実用化し、発電効率60 %が達成されている。なお、SOFCおよび火力発電所の発電効率は、燃料の低位発熱量(LHV)基準(水の蒸発潜熱を含まない)で記述されることが多く、上記効率についてもLHV基準で示した。以降、高位発熱量基準(HHV)で効率を記述する場合、その都度注釈を記す。都市ガス・天然ガスの場合、LHV基準の効率はHHV基準に比べ11 %高くなる。我々は、民間のSOFCシステムの研究開発を支援して早期実用化を促進し、さらにSOFCが商用化された際の公正な取引を行う上で重要な性能試験方法の規格標準化を行うために、経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から支援を受け、2001年頃よりSOFCの最小構成単位である単セル、スタック、および最終製品であるシステムを対象とした高精度性能評価手法を研究開発してきた。特に、近年、IEC、ISO規格等では、測定の信頼性を表す尺度として、これまでの誤差・確度等に代わって不確かさを用いることが推奨されていることから[7]、我々は国家計量標準へトレーサブルな性能測定手法を開発することを念頭に置き、産業技術総合研究所(産総研)計測標準研究部門、関連民間企業等と連携しつつ研究開発を進めてきた。なお、不確かさは、真の値は分からないという前提の下、観測値の平均値(測定値)と各種ばらつきにより母平均の存在する範囲を通常95 %の信頼の水準で推定するものであり[8]、不確かさの詳細については参考文献[7]を参照されたい。この論文では、SOFCシステムの研究開発で重要なSOFC単セルおよびスタックの性能評価手法の研究開発とSOFCシステムの発電効率測定手法の研究開発・規格標準化について報告する。2 SOFC早期実用化に向けた研究目標と研究展開2.1 SOFCシステム概要と研究目標最終的な製品であるSOFCシステムは、概略図を図2に示すように、主に流量制御器、蒸発器(水蒸気発生器)、改質器、SOFCスタック、インバータ等により構成される。外部からシステムに供給される物質は、燃料極(アノード)用都市ガス等の原燃料、原燃料改質用の酸化剤(水、空気)、および空気極(カソード)用空気である。原燃料は改質器で、水素、一酸化炭素、メタン、水蒸気、二酸化炭素に改質され、アノードガスとしてスタック内の各セルのアノードへ分配される。アノードでは、水素、一酸化炭素がカソード側から電解質をとおり移動してきた酸化物イオン(O2−)と反応し、水蒸気、二酸化炭素が生成すると同時SOFC+GTSOFCPEFC発電効率 / %定格出力 / kWSOFC:固体酸化物形燃料電池SOFC+GT:固体酸化物形燃料電池・ ガスタービンコンバインドシステムGT:ガスタービンGE:ガスエンジンDE:ディーゼルエンジンPEFC:固体高分子形燃料電池PAFC:リン酸形燃料電池MCFC:溶融炭酸塩形燃料電池102030405060700100101102103104GTGEDEPEFCSOFCPAFCMCFC図1 各種小型発電システムの定格出力と発電効率

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