Vol.5 No.4 2012
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研究論文:有害化学物質の環境分析法の標準化(谷保ほか)−270−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)試験室番号試験室番号試験室番号PFOS濃度 (ng/L)c) JIS第2回精度管理試験結果b) JIS第1回精度管理試験結果a) ISO精度管理試験結果11923311422226141724250426810412117813140246812252617103529213209051015= 27 %= 6.63 ng/L,Rm CVR= 20 %=3.26 ng/L,m CV= 27 %= 9.1 ng/L,Rm CV関するインターラボラトリー試験について説明したい。インターラボラトリー試験では、参加者がそれぞれ選択したインハウスメソッド(規格として確立していない方法)を用いて行われる。精度管理試験とインターラボラトリー試験との違いは、前者は分析法の評価を行うことが目的のため、共通のSOPを用いて試験を行うのに対し、後者は分析値のばらつきや分析(事業)者の技術を評価することを目的としているため、使用する分析法の指定がない点である。2005年のインターラボラトリー試験は、Netherlands Institute for Fisheries Research、Örebro University、Water Services Corporationの3機関合同により企画・運営され、PFOS問題の初期から分析技術開発に取り組んできた37の国際的研究機関が参加、日本からは5機関(産総研、民間2、大学2)が参加した。この試験の結果、CVRが100 %を超える分析値のばらつきが認められ、その原因としては純度の低い標準品の使用、試料容器によるコンタミネーション、測定機器の感度・検量線の差異による誤差等が指摘され、インハウスメソッドから得られる分析値の相互比較が困難であり、標準分析法規格化の必要性が明らかになった[31]。当グループは、この試験において世界で初めて炭素数4のPFBAの測定データを提供している。ISO 25101の妥当性確認のための精度管理試験は、産総研主催のもと2006年11月から2007年2月にかけて行われ、9ヶ国23機関が参加した。精度管理試験は分析法の妥当性を確認するための試験であるため、参加者は指定されたISO 25101の原案をSOPとして使用し、分析を行った。試験試料として、河川水、海水、低濃度標準品添加水、高濃度標準品添加水および標準品の分析が行われ、実試料中濃度がPFOSについて2.6-470 ng/L、PFOAについて9.4-4400 ng/Lの範囲で、それぞれの試料においてCVRが27 %以下の精度を得ることに成功している(図8a)。排水試料についても同様に精度管理試験を行ったが、PFOSについてCVRが40 %になり、ISOが妥当性の目安として設けている30 %よりもばらつきが大きくなったことから、ISO 25101では排水試料を分析対象試料から外すことになった。ISO 25101の制定により、国際規格を基礎とした国内規格策定の原則や国内事業者からの国内規格の要望を受け、JIS規格化を行うため、産総研主催のもと2回精度管理試験が行われた。2008年3月から7月に行われた第一回試験ではISO 25101と同一の分析法を用いて水道水、海水、河川水、低濃度標準品添加水、高濃度標準品添加水および標準品について試験を行った。参加機関は13機関であり、内11機関から提出された報告を基に試験結果の解析を行った。ほとんどの試料において、PFOS/PFOAおよびこれら関連物質のCVRは30 %以内と良好な結果が得られ(図8b)、ISO 25101が国内分析事業者においても使用可能なことが明らかになったが、低濃度水試料試験結果のばらつきや長鎖の化合物の低回収率等、いくつかの検討点も認められた。2009年9月から2010年1月にかけて行われた第二回精度管理試験ではJIS規格化のために工業用水・工場排水を主な測定対象とした。参加機関は30機関であり、内23機関から提出された報告を基に試験結果の解析を行った。この試験でもPFOS/PFOAについてはすべての試料で満足のいく結果(CVR<30 %)が得られ(図8c)、これは検量線作成用標準液も含めて、SOPを整備することでインハウスメソッドの違いによる分析誤差が抑えられたものと考えられる。5 ISO規格を用いた国際的有害化学物質規制取り組みへのフィードバックこれらの国際規格はどのように役立てられているのであろうか。まずISO 24293では、ノニルフェノール異性体別分析の必要性が国際的に周知され、試薬メーカーで異性体別標準品の販売が開始された。これにより、ドイツはISO 18857-1[9](ノニルフェノールを含むアルキルフェノール類を図8 ISOおよびJIS精度管理試験におけるPFOSの河川水試料結果注)m = 測定平均値、CVR = 室間再現精度変動係数

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