Vol.5 No.4 2012
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研究論文:有害化学物質の環境分析法の標準化(谷保ほか)−267−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)炎イオン化検出器(GC-FID)用語5測定により求めておかなければならない。分析法開発に際して、複数の試薬メーカー(5社)から収集したNP混合物の異性体組成を確認しており、その変動係数(標準偏差を算術平均で割ったもの。相対的なばらつきを表す)は14 %(異性体により若干異なる)であった。測定者が自分で異性体組成を値付けした混合物を定量標準物質として用いるのはISO規格として異例である。この点については国際規格原案(DIS)の段階で十分な討議が行われ、試薬メーカーの間で組成にほとんど差がないことを確認していること[22]、また市販の5つのメーカーの混合物の組成をAnnex(informative)に情報を提供することで合意を得ることができた。3.2 PFOS/PFOA分析法開発PFOS/PFOAは、一般に研究が開始された2000年当時は高濃度試料である血液試料の分析がほとんどであり、環境水の分析はほとんど行われていなかった。報告された分析値もコンタミネーションが原因で検出限界が高く、低濃度環境水について信頼性の高い分析技術はまだなかった。そこで、米国ワッズワースセンターと協力し、既存のオクタデシル基(C18)を用いた固相吸着剤法(SPE: Solid Phase Extraction)[23]を基に2001年から研究を進めてきた[11]。2005年6月にISO 25101を新規提案するまで、PFOS/PFOAの分析法の開発や開発した分析法を様々な環境試料に適用することで、信頼性の高い分析データを確保するための精度管理条件を明確化するための研究を行ってきた[11][12][14][24]-[29]。PFOS/PFOA分析の最初の課題はコンタミネーションの低減である[12]。なぜなら、高機能材料として我々の生活の至る所で使用されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂がPFOS/PFOAの汚染源となり、また最先端の分析機器ほどフッ素樹脂製部品が多いため、システムブランク(分析機器に起因するコンタミネーション)が高い傾向があったためであ4‐NP製剤は一般的なGCで13本のピークに分離される。(5 %フェニルポリジメチルシロキサンカラムを用いた場合)Retention time (min)Retention time (min)従来法ISO 18857‐1: 2005 [9]JIS K 0450‐20‐10: 2005 [5]m/z 1351311753213121110786432113121110879654321AbundanceAbundanceRetention time (min)本規格ISO 24293: 2009 [1]JIS K 0450‐60‐10: 2007 [2]18.0017.8017.6017.4017.2017.00260018001000200m/z 191m/z 163m/z 149m/z 135m/z 121全イオンクロマトグラフ(TIC)45003500250015005001300090005000100035000250001500050009000700050003000100055000450003500025000150005000(右) 本規格:13種の4-NPについて分離および感度の良いピークを複数のm/zから異性体毎に選定し、内標準物質との相対感度係数(RRF)を用いて定量する方法。異性体別の評価が可能である。(上) 従来法:m/z135で検出される主要なピークを用いて4‐NPの総量を求める方法。異性体別に定量しない。350002500015000500091264311087113119643113117532AbundanceAbundanceAbundanceAbundanceAbundance図5 GC-MSを用いたノニルフェノール分析法の比較クロマトグラフ上に付した番号は各4-ノニルフェノール(4-NP)成分を表す。下線付き番号はそれぞれ定量に用いるようにISO規格で規定したピークを示す。

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