Vol.5 No.4 2012
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研究論文:固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル/スタックの発電性能試験方法の規格化における不確かさ評価(門馬ほか)−252−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)田中 洋平(たなか ようへい)2005年京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻博士課程修了。同年、産業技術総合研究所入所。現在、エネルギー技術研究部門燃料電池システムグループ研究員。専門は、触媒化学、燃料電池性能評価、エネルギー工学。この論文では、規格案におけるガス供給方法、不確かさ評価方法の導出等を担当。嘉藤 徹(かとう とおる)1991年東北大学大学院修了、工学博士、1992年 通産省工業技術院電子技術総合研究所入所。固体酸化物形燃料電池および高温水蒸気電解技術の研究に従事。現在は、経済産業省産業技術環境局 研究開発課 産業技術総括調査官。この論文では、国内委員会の立ち上げから委員会の運営、規格原案の作成・とりまとめ、およびセル・スタックアッセンブリーユニットの概念の提案等を行い、研究全体の統括を担当。査読者との議論議論1 不確かさ評価を行う項目の選択の妥当性質問(立石 裕:産業技術総合研究所つくばセンター)「3.2 規格案における不確かさ関連の記載について」の中で、「これらの試験の中には不確かさ評価がとても難しいものや手間がかかると予想されるものがあるので、規格案では定格出力試験の結果のみ不確かさ評価をすることを義務付けるようにした。」と記載されていますが、「難しいものや手間がかかる」評価を省略してよいロジックが明確ではありません。仮にここで除外した評価が不確かさに大きな影響を当たるとしたら、全体の信頼性が失われるのではないでしょうか?回答(門馬 昭彦)ここでの記述は、いくつか規定した試験のうち定格出力試験の結果についてのみ、不確かさ評価を義務付けたということです。不確かさ評価をしなくてもよい他の試験結果については、試験報告書に記載することを義務付けた使用計測機器情報により、個々にデータの信頼性を判断してもらうようにしました。したがって、ご指摘のような定格試験結果の不確かさが、不確かさ評価を義務付けなかった他の試験結果に依存するということではありません。定格出力試験以外のその他の試験のなかには、本当に不確かさ評価の難しいものもあり、また、我々でもどうしてよいかよく分からないものもあり、特に不確かさ評価を必須としませんでした。不確かさ評価に過度の負担をかけることは、委員会での意見にも逆行し、この規格を使いやすいものとして普及させたいという思いにもそぐわないとの判断です。議論2 不確かさ評価ができない場合の対応質問(立石 裕)「4.3 測定量と入力量の関係(感度係数の測定)」の最後で「混合ガスボンベ等を使用してガスを供給する場合等では、混合ガスを構成する1種のガスの濃度だけを独立に変化させて感度係数を測定することが実際問題としてできないために、組成の不確かさが電圧に与える影響を評価することができない」と記載されていますが、「評価することができない」ことは問題ないのでしょうか?回答(門馬 昭彦)規格案では、燃料ガスの供給方法に対していくつかのケースを想定して作りました。このうち混合ガスボンベを使用して供給する場合には、不確かさ評価を行うことが事実上難しく、不確かさ評価はできないと判断しました。この場合、ユーザーには試験報告書に記載することを規定した試験条件や混合ガスの組成分析表を参考にして、独自に試験データの信頼性を判断してもらうことになります。不確かさ評価ができないということは、確かに問題ですが、いたし方がないとの苦渋の判断です。

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