Vol.5 No.4 2012
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研究論文:固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル/スタックの発電性能試験方法の規格化における不確かさ評価(門馬ほか)−251−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)たつもりであるが、不確かさ評価のメリットについての説明が十分ではなかった。不確かさの概念は、データの信頼性をトレーサビリティ体系のもとで国際的に保証するものであり、多くの国際標準化組織によって推奨されており、今後ますます国際規格等で導入されるものと考えられる。一方、不確かさ評価により期待される効果は、良い製品を製造するメーカーにとってはそれを行う価値が十分にあるということを、この分野のメーカーに認識してもらうまでには少し時間がかかるようである。この規格案は現在、国際WGの場で審議段階であり、他国の提案によりいつ不確かさ評価の導入が提案されるかわからないような状況である。また、国内委員会に限ってみれば不確かさ評価については、委員会で我々が行った説明や議論を通じて、その概念が少しずつ浸透してきていると思われる。したがって、突然提案されるかもしれない不確かさ評価について、その是非を判断するための議論の下地づくりに貢献できたのではないかと考えている。筆者らは不確かさについての専門家ではないが、不確かさ研究の専門家の間では「最も大きな不確かさは考慮されていない要因に存在する」というような格言(?)があるようである。今回の不確かさ評価においても、文中にも述べたように①温度分布に起因する性能の変化の他に②試験者の違いによるバラツキ③サンプル間のバラツキ④経時変化によるドリフト等がそれにあたる可能性があり、残念ながら上記格言の呪縛から逃れることができたわけではないと考えている。これらのうちの一部は我々の不確かさ評価の方針にしたがって外した部分でもある。さらに経時劣化によるドリフトについてはSOFCの耐久性を議論する際には不可欠であり、現在、耐久性の試験方法について検討を積み重ねているところである[11]。以上、グローバルに展開される技術の普及を見据えた場合に、避けて通れない国際規格化に臨んで我々が選択した方法論について記述したが、それが少しでも同様に技術開発に携わっている諸兄の参考になれば幸いであると同時に不確かさ評価についても多くのご意見・ご批判をいただきたいと思っている。謝辞この研究の成果は経済産業省「基準認証研究開発事業」および「国際標準共同研究開発事業」によって得らhttp://fctesqa.jrc.ec.europa.eu/嘉藤徹: 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発と展望 View and Development of Solid Oxide Fuel Cells, 江口浩一監修, シーエムシー出版 (CMC books), 179-190 (2010).NEDO 平成19年度成果報告書 固体酸化物形燃料電池システム技術開発 固体酸化物形燃料電池システム性能評価技術の開発 システム性能評価技術の開発「システム効率計測評価技術の研究」(2008).JIS TS C 0054 メタンを主成分とする気体燃料を用いる固体酸化物形燃料電池発電システムの発電効率試験方法田中洋平他: Synthesiology投稿済み(査読中)Y. Tanaka, A. Momma, K. Kato, A. Negishi, K. Takano, K. Nozaki and T. Kato: Development of electrical efficiency measurement techniques for 10 kW-class SOFC system: Part II. Uncertainty estimation, Energy Conversion and Management, 50 (3), 467-478 (2009).ISO/IEC Guide 98:1995. Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement (GUM), International Organization for Standardization (1995).IEC 62282-3-200 Ed.1 (CDV): Fuel cell technologies - Part 3-200: Stationary fuel cell power systems - Performance test methods.ASME PTC 50-2002 Fuel Cell Power Systems Performance - Performance Test Codes -IEC/TS 62282-7-1: Fuel cell technologies - Part 7-1: Single cell test methods for polymer electrolyte fuel cell (PEFC).NEDO 平成22年度成果報告書戦略的国際標準化推進事業/標準化先導研究「固体酸化物形燃料電池セル・スタック耐久性試験方法に関する標準化」(2011).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]参考文献執筆者略歴門馬 昭彦(もんま あきひこ)1985年東京工業大学金属工学科博士課程修了。SRIインターナショナル客員研究員を経て、1989年電子技術総合研究所入所。固体酸化物形燃料電池の研究開発に従事。現在、エネルギー技術研究部門燃料電池システムグループ主任研究員。専門は、電気化学計測・評価。この論文では、委員会の運営、各種電気化学的測定、不確かさ評価式の検討、論文のとりまとめおよび執筆を担当。高野 清南(たかの きよなみ)1966年徳島大学工学部電気工学科卒業後、通商産業省工業技術院電気試験所入所、MHD発電に関する研究開発に従事。1991年リチウム二次電池のシミュレーション技術の研究を経て、2001年より固体酸化物燃料電池の発電特性評価に関する研究に従事。現在、エネルギー技術研究部門燃料電池システムグループ客員研究員。この論文では、圧力依存性単セル試験や温度分布測定および不確かさ評価の検討等を担当。れたものであり、また、国際規格案の作成にあたりご協力いただいた「SOFC単位セルアッセンブリー試験方法に関する標準化研究開発委員会」の委員の皆さまおよび関係各社・機関に感謝いたします。
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