Vol.5 No.4 2012
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研究論文:固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル/スタックの発電性能試験方法の規格化における不確かさ評価(門馬ほか)−250−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)測定量の不確かさを少なくすることができるかを、容易に把握できるようになることがあげられる。この測定では、温度測定にK熱電対(クラス2)を用いているが、これをクラス1に変更することによって電力測定の標準不確かさは0.13 W(0.52 %)から0.08 W(0.33 %)まで改善される。また、以上のことから安定状態を適切に判断して測定をすれば、測定値の変動が不確かさへ与える影響は小さいと思われるので、試験において使用される機器による不確かさだけから、試験結果の不確かさをおおよそ予想できることになる。そこで、規格案において規定した機器不確かさの最大許容値をもつ測定機器を使用したと仮定して、同一セルを試験した際の不確かさとして、相対拡張不確かさを1.4 %と見積もることができた。規格案では、規定以内の不確かさをもつ機器にて測定するように定めているので、この規格案をもとに試験者が測定方法の計画を立てて実施すれば、相対拡張不確かさ1.4 %程度以下の測定結果を得ることが可能であることが確認できたことになる。ただし、この値は、測定対象によって異なり、異なった感度係数をもつ対象を試験する場合や、ガス利用率が高い状態を定格条件とする場合には、大きく変わる可能性があるので注意が必要である。6 まとめ規格案でまとめた入力量の最大変動幅や機器の不確かさは、我々がまずたたき台となる数値を示し、委員会での議論を通じて、各社が納得できる値として決定したものである。結論として、この規格案にもとづいて試験をすることによって、最大でも相対不確かさ1.4 %程度の測定ができることが確認され、SOFCの商取引を想定したものとして妥当な内容の規格案になったと考えている。しかし、この規格案に盛り込んだ定格出力試験での不確かさ解析およびそのための不確かさ評価式は、NP(New Work Item Proposal: 新業務項目提案書)を準備する際の国内委員会にて最終的には規格案から省かれた。したがって、不確かさについてはNPでは入力量(制御パラメーター)の最大許容変動幅と機器の不確かさだけが残る形となったが、その場合においても上述のような最大不確かさが確認されたのは幸いであった。不確かさ解析が規格案から外れた最大の理由は、やはりまだ多くのメーカーにおいて不確かさの概念が浸透しておらず、不確かさ解析の煩わしさのみが先行してしまったことによる。我々は、不確かさの評価式の提案に当たっては、なるべく試験者の負担が軽くなるような式(方法)を導い表2 SOFC単セルを使用した電流制御定格出力試験の不確かさバジェット表の例2.58E-018.60E-03拡張合成不確かさ ( k = 2 )1.29E-014.30E-03合成標準不確かさB9.31E-041.61E-03 V±(0.05 % of rdg+12digits)記録計B5.34E-049.25E-04 V±(0.1 % of rdg + 0.1 mV)絶縁アンプ29A6.26E-053.22E-021.07E-03V/V1.00E+001.07E-03 Vセル電圧5.02E-010.87 Nml/min±(0.05 % of rdg+12digits)記録計B2.89E+0150 Nml/min±1 % of full rangeMFC29A5.09E-012.88E-049.59E-06Vmin/Nml3.32E-07Nml/min2.89E+01空気流量B4.05E-01MFC Dry cal を用いた校正による計測機器29A8.68E-02変動5.26E-031.75E-04Vmin/Nml4.23E-04Nml/min4.14E-01燃料流量B7.80E-020.135 A ±(0.05 % of rdg+12digits)記録計B8.70E-030.015 A ±0.05 % of rdg分流器計測機器29A1.83E-03変動1.64E-025.45E-04V/A6.95E-037.85E-02 A電流B1.01E+001.751 ℃ ±(0.15 % of rdg + 0.7 ℃)記録計B3.03E+005.253 ℃ ±0.75 % of rdg in degree C熱電対 (K, クラス2)計測機器29A4.90E-03変動1.24E-014.13E-03V/℃1.29E-033.20E+00 ℃セル温度電力換算の標準不確かさ(W)電圧換算の標準不確かさ(V)感度係数自由度不確かさのタイプ標準不確かさ誤差限界確度等不確かさ要因入力量および測定量計測機器変動計測機器変動---------------
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