Vol.5 No.4 2012
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研究論文:固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セル/スタックの発電性能試験方法の規格化における不確かさ評価(門馬ほか)−245−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)2 研究目標とその実現に向けたシナリオこれまで述べたとおり、この研究の目標はSOFC試験法の国際規格提案であり、その中に現状レベルの技術において実施可能な不確かさ評価式・評価方法を盛り込むことである。最初のステップは規格案を審議するための委員会を組織することであった。我々は委員会を組織するに当たり、事前にアンケート調査を含む聞き取り調査を行い、主にSOFCのメーカーが行っている試験方法や試験方法の規格化にあたって、彼らがどのような考えをもっているかについて調査を行った。委員会の委員の構成はメーカー、ユーザー、中立者からそれぞれ同数となるようにし、中立的な立場で委員会の議論が行われるように考慮する必要がある。しかし、SOFCが依然として開発途上の技術であり、正確な意味でのユーザーがまだあまり存在しないことにより、結果的に委員会での議論がどうしてもメーカー寄りに進む傾向があったことは反省点である。第二のステップは規格の測定対象を確定することである。上述の様にSOFCではさまざまな形状、大きさのセル/スタックが開発されつつあるので、規格においてセルやスタックの細部にわたって、試験における部品やその状態および試験条件を規定することは容易ではないし、現実的な方法ではない。ここは、我々が試験法の規格を作成し始めるにあたって最も悩んだ部分である。結果として我々が選択した方法は、以下のとおりである。①試験対象を「セル/スタックアッセンブリー」とし、この呼称によって取り扱う対象がセルおよびスタックであることを明示する。②「セル/スタックアッセンブリー」の中身をブラックボックスとし、任意のSOFCに対応可能なようにする。③計測システムと「セル/スタックアッセンブリー」のインターフェースを定義し、規定では必要なインターファイスおよびそれらを介した入出力値の測定方法について記述する。つまり、規格で試験対象の構成についてすべてを規定することが必ずしも最良ではないので、規格で決めるべきでない(製造者や試験者に判断を任すことが適当であると考えられる(任意性))部分を、セル/スタックアッセンブリーというブラックボックスの中に入れて、計測系とのつなぎの部分だけを規定するという考え方である。こうすることによって、規格で扱う対象はセルだけではなくスタックにも広げることができた。最後に、測定結果の妥当性を担保するために不確かさの概念を導入することにしたが、それをどのような形で規格に取り入れ、評価式をどうするかを検討する必要があった。不確かさ解析のよりどころとする指針(GUM)[7]には不確かさの一般式が記載されているが、これをそのままSOFCの性能試験において結果の不確かさ評価式とすることは適切ではないと考えた。一般式を具体的な式に展開する際にはさまざまな任意性がある。また、一般式を正直にそのまま適用しようとすると、あまりに多くの作業を不確かさの評価者に課してしまうこととなり、結果として使えない(使ってもらえない)規格になる危惧があったからである。したがって、規格で規定する不確かさ評価式は簡便にし、具体的にその方法を記載して方法を統一する必要があると考えた。以下では、不確かさ評価式の導入にあたり我々が行った方法を示す。3 SOFCの性能測定における不確かさ3.1 不確かさ評価の方針についてSOFCの性能は測定の際に設定するさまざまな条件に依存するので、測定結果の不確かさを簡単に求めることができる訳ではない。そこで我々は、燃料電池関連の既存の国際規格や検討中の国際規格において不確かさ評価がどのように扱われているかについて調査した。以下は、燃料電池関連の国際規格等における不確かさの取り扱われ方について調べた例である。発行年からわかるように我々がこの研究を始めた2007時点において不確かさ評価付きで燃料電池の性能評価を推奨する規格がとても少なかったことがわかる。(1)定置用燃料電池システムの性能試験法IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議) 62282-3-200(2010年回付CDV, Committee Draft for Voting: 投票用委員会原案)[8]においては、系統不確かさ(計測器の精度や校正時の誤差に由来する)と偶然不確かさ(データの変動に由来する)に分類して合成・評価する方法をAnnexに例として記載し(コンピューターによる計算結果表等)、具体的な方法はGUMを参考に決めることとしている。このCDVにおける不確かさの扱いはASMEの同じく燃料電池システムの性能試験法(ASME(American Society of Mechanical Engineers:米国機械学会) PTC 50-2002[9])とおよそ同じ内容となっており、試験は、steady stateで行うとしている。不確かさの計算は、得られた効率に対するもののみで、燃料ガス組成に対する感度係数は、理論上計算によって求めることが可能である。システムの評価はセルやスタックの温度を決めて行うわけではないので、その不確かさ評価を行う際の入力量はセルやスタックの評価よりも限定され、燃料組成や流量に依存する入力熱量と電気出力の不確かさのみを考慮すればよいということである。(2)前述のFCTESQAからは2009年末にIECにPEFC

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