Vol.5 No.4 2012
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研究論文:西暦869年貞観津波の復元と東北地方太平洋沖地震の教訓(岡村)−237−Synthesiology Vol.5 No.4(2012)物の分布域まで津波が浸水するためには、宮城県から福島県沖の深さ15−46 kmのプレート境界面上で長さ200 km、幅100 kmの範囲が7 mの滑り(断層変位)を生じるマグニチュード8.4の地震が発生する必要があることを明らかにした[17][18]。ただし、この震源断層モデルの構築に当たって、津波浸水域が津波堆積物の分布域より広いことは考慮されておらず、また津波浸水域の北限と南限も明らかになっていない等、地震規模がさらに大きくなる可能性も認識していた[12](図7)。5 地震によって評価された貞観地震のモデル地震の予測研究が進歩しない大きな理由の一つに、実際に実験ができないことがある。現在使われている科学技術は、実験の繰り返しによって築き上げられたものであるし、その陰には多くの失敗があったはずである。一方、地震に限らず自然現象のスケールはケタ違いに大きい。そのため、実験室内で岩石破壊実験はできるが、その実験結果だけを用いて自然の地震を予測することはできない。高温高圧下での岩石破壊・変形実験によって、地下深部での貞観津波の頃の海岸線貞観津波の頃の海岸線貞観津波の頃の海岸線貞観津波の頃の海岸線3 km3 km0当時の海岸線石巻平野仙台平野貞観津波と考えられる堆積物を検出した地点貞観津波の可能性がある堆積物を検出した地点貞観津波と考えられる堆積物を検出した地点貞観津波の可能性がある堆積物を検出した地点38°30’E38°00’E141°30’E141°00’E38°00’E38°30’E141°00’E141°30’E図3 仙台平野における津波堆積物調査収穫の終わった水田で、ジオスライサーを用いて地下の地層を抜き取る。図4 石巻・仙台平野における貞観津波の分布域と当時の海岸線[12]いくつかの測線に沿って詳細な堆積物の調査を実施し、分布域を解明するとともに、当時の海岸線位置も確認した。
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