Vol.5 No.3 2012
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−211 −Synthesiology Vol.5 No.3(2012)シンセシオロジー 編集方針編集方針シンセシオロジー編集委員会本ジャーナルの目的本ジャーナルは、個別要素的な技術や科学的知見をいかに統合して、研究開発の成果を社会で使われる形にしていくか、という科学的知の統合に関する論文を掲載することを目的とする。この論文の執筆者としては、科学技術系の研究者や技術者を想定しており、研究成果の社会導入を目指した研究プロセスと成果を、科学技術の言葉で記述したものを論文とする。従来の学術ジャーナルにおいては、科学的な知見や技術的な成果を事実(すなわち事実的知識)として記載したものが学術論文であったが、このジャーナルにおいては研究開発の成果を社会に活かすために何を行なえば良いかについての知見(すなわち当為的知識)を記載したものを論文とする。これをジャーナルの上で蓄積することによって、研究開発を社会に活かすための方法論を確立し、そしてその一般原理を明らかにすることを目指す。さらに、このジャーナルの読者が自分たちの研究開発を社会に活かすための方法や指針を獲得することを期待する。研究論文の記載内容について研究論文の内容としては、社会に活かすことを目的として進めて来た研究開発の成果とプロセスを記載するものとする。研究開発の目標が何であるか、そしてその目標が社会的にどのような価値があるかを記述する(次ページに記載した執筆要件の項目1および2)。そして、目標を達成するために必要となる要素技術をどのように選定し、統合しようと考えたか、またある社会問題を解決するためには、どのような新しい要素技術が必要であり、それをどのように選定・統合しようとしたか、そのプロセス(これをシナリオと呼ぶ)を詳述する(項目3)。このとき、実際の研究に携わったものでなければ分からない内容であることを期待する。すなわち、結果としての要素技術の組合せの記載をするのではなく、どのような理由によって要素技術を選定したのか、どのような理由で新しい方法を導入したのか、について論理的に記述されているものとする(項目4)。例えば、社会導入のためには実験室的製造方法では対応できないため、社会の要請は精度向上よりも適用範囲の広さにあるため、また現状の社会制度上の制約があるため、などの理由を記載する。この時、個別の要素技術の内容の学術的詳細は既に発表済みの論文を引用する形として、重要なポイントを記載するだけで良いものとする。そして、これらの要素技術は互いにどのような関係にあり、それらを統合するプロセスにおいて解決すべき問題は何であったか、そしてどのようにそれを解決していったか、などを記載する(項目5)。さらに、これらの研究開発の結果として得られた成果により目標にどれだけ近づけたか、またやり残したことは何であるかを記載するものとする(項目6)。対象とする研究開発について本ジャーナルでは研究開発の成果を社会に活かすための方法論の獲得を目指すことから、特定の分野の研究開発に限定することはしない。むしろ幅広い分野の科学技術の論文の集積をすることによって、分野に関わらない一般原理を導き出すことを狙いとしている。したがって、専門外の研究者にも内容が理解できるように記述することが必要であるとともに、その専門分野の研究者に対しても学術論文としての価値を示す内容でなければならない。論文となる研究開発としては、その成果が既に社会に導入されたものに限定することなく、社会に活かすことを念頭において実施している研究開発も対象とする。また、既に社会に導入されているものの場合、ビジネス的に成功しているものである必要はないが、単に製品化した過程を記述するのではなく、社会への導入を考慮してどのように技術を統合していったのか、その研究プロセスを記載するものとする。査読について本ジャーナルにおいても、これまでの学術ジャーナルと同様に査読プロセスを設ける。しかし、本ジャーナルの査読はこれまでの学術雑誌の査読方法とは異なる。これまでの学術ジャーナルでは事実の正しさや結果の再現性など記載内容の事実性についての観点が重要視されているのに対して、本ジャーナルでは要素技術の組合せの論理性や、要素技術の選択における基準の明確さ、またその有効性や妥当性を重要視する(次ページに査読基準を記載)。一般に学術ジャーナルに掲載されている論文の質は査読の項目や採録基準によって決まる。本ジャーナルの査読においては、研究開発の成果を社会に活かすために必要なプロセスや考え方が過不足なく書かれているかを評価する。換言すれば、研究開発の成果を社会に活かすためのプロセスを知るために必要なことが書かれているかを見るのが査読者の役割であり、論文の読者の代弁者として読者の知りたいことの記載の有無を判定するものとする。

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