Vol.5 No.3 2012
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研究論文:圧電体薄膜を用いた圧力センサーの開発(秋山ほか)−169−Synthesiology Vol.5 No.3(2012)5 おわりにこの論文では、筆者らが世界で初めて薄膜圧電体を用いた、燃焼圧センサーの研究開発の経緯について述べた。この研究開発の構想当時(2003年以前)の燃焼圧センサー分野において、薄膜圧電体は未開拓領域であり、その有用性は認識されていなかった。しかし、この研究の開始以降、国内外の自動車部品会社や大学等が興味を示し、国内の自動車部品会社および明治大学と共同研究を行うこととなった。この薄膜燃焼圧センサーが量産車に搭載されるまでには、耐環境性や耐久性の実証試験や、センサー信号の安定化、高出力化、センサー構造の簡素化等まだ数多くの改善すべき課題が残されており、いまだ死の谷から抜け出してはいない状況ではある。しかし、これまでにさまざまな人たちの協力によって、一つずつ課題を克服し、一歩一歩前に進むことができている。この薄膜センサーの実用化と普及が進むことで、世界中で走り回っている多くの自動車からの排出ガス量が飛躍的に減少し、環境・エネルギー分野に大きく貢献することが期待される。また、船舶や特殊車両、発電機等の内燃機関への応用展開も可能であり、その波及効果は計り知れない。謝辞この研究開発を大きく促進させていただいた産業技術総合研究所の筒井康賢氏、立山博氏、エンジンによる評価方法やセンサー設計を指導していただいた明治大学の土屋一雄教授、共同研究を行っていただいた自動車部品会社の関係者の方々、産業技術総合研究所の野間弘昭氏、菖蒲一久氏、大石康宣氏、高橋三餘氏、古谷博秀氏およびその他の関係者の皆さまに深く感謝の意を表します。賀羽常道, 青柳友三, 皆川友宏, 柳原茂: 内燃機関の新しい圧力センサー技術, 自動車技術, 58, 31-36 (2004). 杉本武巳: 2002年セラミックス産業界の動き, セラミックス, 38, 686-693 (2003).S. Uda, S. Q. Wang, N. Konishi, H. Inaba and J. Harada: Growth technology of piezoelectric langasite single crystal, J. Crystal Growth, 275, 251-258 (2005).R. C. Turner, P. A. Fuierer, R. E. Newnham and T. R. Shrout: Materials for high temperature acoustic and vibration sensors: A review, Appl. Acoustics, 41, 299-324 (1994).Y. Ooishi, H. Noma, K. Kishi, N. Ueno, M. Akiyama and T. Kamohara: Pressure response of aluminum nitride thin films prepared on silicon substrates, J. Ceram. Soc. Jpn., 113, 700-702 (2005). Y. Ooishi, K. Kishi, M. Akiyama, H. Noma and T. Tabaru: Analysis of the basic characteristic by electrical model of aluminum nitride thin film pressure senseors, J. Ceram. Soc. Jpn., 113, 816-818 (2005). 田原竜夫, 野間弘昭, 秋山守人: 800 ℃で動作可能な耐熱AEセンサーの開発, エレクトロヒート, 30, 7-13 (2009).I. Ohshima, M. Akiyama, A. Kakami, T. Tabaru, T. Kamohara, Y. Ooishi and H. Noma: Piezoelectric response to pressure of aluminum nitride thin films prepared on nikel-based superalloy diaphragms, Jpn. J. Appl. Phys., 45, 5169-5173 (2006). Y. Ooishi, K. Kishi, M. Akiyama, H. Noma, T. Tabaru and D. Nishijima: High pressure and high temperature durability of aluminum nitride thin films prepared on Inconel substrates, J. Ceram. Soc. Jpn., 114, 657-659 (2006). Y. Ooishi, K. Kishi, M. Akiyama, H. Noma, Y. Morofuji and S. Kawai: Combustion pressure sensors using c-axis-oriented aluminum nitride thin films prepared on Inconel substrates, J. Ceram. Soc. Jpn., 115, 344-347 (2007).岸和司, 秋山守人, 大石康宣, 稲垣正祥: 圧電素子, 圧電センサ, 圧電素子の製造方法, 金属箔電極部材, 特願2008-142490.M. Akiyama, T. Kamohara, K. Kano, A. Teshigahara, Y. Takeuchi and N. Kawahara: Enhancement of piezoelectric response in scandium aluminum nitride alloy thin films prepared by dual reactive cosputtering, Adv. Mater., 21, 593-596 (2009). [1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12]参考文献市販センサー(52 pC)AlNセンサー(151 pC)M 50.0 msCH2500 mV500 mV1図15 4サイクルエンジンでのAlNセンサーの応答波形執筆者略歴秋山 守人(あきやま もりと)1993年九州大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。同年工業技術院九州工業技術試験所(現産業技術総合研究所九州センター)入所。1997年英国リバプール大学客員研究員。2001-2003年高感度薄膜圧力センサー連携体体長。2003-2006年佐賀大学大学院助教授。2011年九州大学非常勤講師。2007年より生産計測技術研究センター研究チーム長。圧電体薄膜、圧力センサー、振動センサー、生体情報計測センサー等の研究に従事。この論文では、主として圧電体薄膜の作製および評価および全体のとりまとめを担当した。田原 竜夫(たばる たつお)1997年東北大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。同年東北大学金属材料研究所中核的研究機関研究員。1999年科学技術振興事業団科学技術特別研究員。1999年工業技術院九州工業技術研究所(現産業技術総合研究所九州センター)入所。2006年よ

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