Vol.5 No.3 2012
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研究論文:圧電体薄膜を用いた圧力センサーの開発(秋山ほか)−168−Synthesiology Vol.5 No.3(2012)AlNセンサーと市販センサーをエンジンに取り付け、燃焼圧を測定した。AlN素子を1枚、3枚および5枚積層したセンサーの出力波形を調べた。5枚積層したセンサーの出力波形を図13(a)に示す。市販センサーと同様な波形が得られ、発生電荷量は上回った。図13(b)に発生電荷量の枚数依存性を示す。素子1枚の場合の出力で40 pC、3枚では140 pC、5枚では210 pCで、枚数を増やすにつれて発生電荷量は直線的に増加し、3枚積層することで市販センサーとおよそ同等の出力が得られ、発生電荷量が市販センサーと同等レベルならば車載用の実用的なセンサーとしての最低感度は満足していると判断している。さらに、この匡体では厚さ0.2mmの素子で最大15枚まで装着することができ、15枚使用した場合には市販センサーの4.5倍の出力を得ることが可能である。2サイクルエンジンは、燃費や排気ガスに問題があるため、バイクやスクーター等で使用されている。量産車には4サイクルエンジンが使用されているため、市販の4サイクルエンジン(富士重工業製ロビンエンジン(EY28DS))での評価も実施した。図14に示すように、エンジンのシリンダーヘッドバルブ側にAlNセンサーをアダプターを介して取り付け、右側に市販センサーを直接取り付け測定した。今回のAlNセンサーには、Scを加えて高感度化したAlN薄膜を3枚積層して用いた[12]。図15にAlNセンサーと市販センサーの出力波形を示す。市販センサーの出力は52 pCであり、AlNセンサーの出力は151 pCであり、市販センサーの3倍の出力が得られた。もし、最高の15枚の素子を使用した場合は、市販センサーの15倍もの出力が期待できる。また、市販センサーではブロードなピークに見える排気時のわずかな圧力変化も、AlNセンサーでは明確なピークとして観察された。これらの結果より、AlNセンサーは市販センサーの性能を大きく超えることができ、実用的な燃焼圧センサーと期待できる。(a) (b) AlNセンサー(素子5枚、210 pC)市販センサレベルセンサ素子積層枚数発生電荷量(pC)6543210250200150100500市販センサー(140 pC)1 mmAlN薄膜ステンレス基板銅箔電極絶縁管絶縁板信号線付電極筐体押し金具市販センサーAlNセンサー15141312cmスパークプラグ市販センサーAlNセンサー図11 AlN薄膜センサーの素子の積層構造図と写真図12 試作したAlNセンサーの外観図13 (a)AlNセンサーの応答波形と(b)発生電荷量のセンサー素子枚数依存性図14 センサーを取付けた4サイクルエンジンの外観

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