Vol.5 No.3 2012
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研究論文:地球観測データの統合的利用のための国際連携(岩男)−160−Synthesiology Vol.5 No.3(2012)執筆者略歴岩男 弘毅(いわお こうき)1996年東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了。2000年、同大学院にて学位取得(博士 工学)。アジア工科大学院(バンコク)、産業技術総合研究所(環境管理技術研究部門)、国立環境研究所のポスドクを経て、2007年より産業技術総合研究所情報技術研究部門地球観測グリッド研究グループに所属。2009-2011年度の2年間、地球観測に関する政府間会合事務局(スイス/ジュネーブ)にScientific and Technical Officerとして出向。2012年4月より地質調査情報センター地質・衛星情報整備企画室主幹。専門は衛星リモートセンシング/GIS技術を用いたグローバルデータセット(土地被覆図等)の作成、検証。的に行い、結果として今回のようにFP7で開発した技術をデジュール標準に結実させることに成功している。日本においても公的な研究開発支援制度と一体となった国際標準化への体制を構築していくことが必要であろう。その一方で、欧米から参加する専門家にとっては、彼らが所属する機関が提供を申し出たシステムが直接審査対象となることがあった。このため、第三者としての公平な立場をとりうる日本の意見が重要性を増した。実際には、日本においてもいくつかの技術はすでに広く利用され、デファクト標準化している。国際標準策定においては、国際的な動行を踏まえた公平公正な評価は必要ではあるが、今回のように日本で広く普及した技術を結果としてデジュール標準として採用できたことは、今後欧米主導の国際標準の策定の流れの中での日本の活動の指針になると考える。ただし、膨大な会議資料の中で特に注視すべき点を日本にいながら全てフォローすることは困難である。定例の会議は電話ベースで行われたが、地域的な条件からどうしても日本時間の深夜に開催されることとなる。国際交渉は1回の会議で決まるだけでなく、電話会議等の継続的な積み重ねが重要である。全体を統括する調整業務を行う側にも人員を配備し、特に重要な会議の際に適切かつ公正なコメントを日本から出せる体制を確保することで、国際標準化議論の中で、日本でデファクト標準となっていた要素技術をデジュール標準に組み入れることが今回できた。日本が国際標準策定の議論に加わる際には、このような体制の整備も必要ではないかと考える。謝辞2年間の国際機関への派遣を通じ、今回のような国際調整や国際標準化に関連する活動に従事する機会を得ることができた。このような機会を与えてくださった産総研および日本政府に謝意を示す。また、今回の成功は日本からの3人の専門家(産総研情報技術研究部門の関口智嗣氏(現在、情報通信エレクトロニクス分野副研究統括)、田中良夫氏、小島功氏)との連携なくしては実現することができSupersite Tohoku-oki: http://supersites.earthobservations.org/sendai.php, 2012年3月最終アクセスD. Normile: Japan disaster -scientific consensus on great quake came too late, Science, 332 (6025), 22-23 (2011).Global Observing System: http://www.wmo.int/pages/prog/www/OSY/GOS.html, 2012年3月最終アクセスGlobal Terrestrial Observing System: http://www.fao.org/gtos/, 2012年3月最終アクセスIntegrated Global Observing Strategy: http://www.eohandbook.com/igosp/, 2012年3月最終アクセス(社)日本航空宇宙工業会: 産業競争力のための地球観測衛星戦略検討会報告書, 1-19 (2011).What is GEOSS: http://www.earthobservations.org/geoss.shtml, 2012年3月最終アクセスGroup on Earth Observations: 10-Year Implementation Plan, Brussels, Belgium (2005).Group on Earth Observations: GEO Work Plan 2009-2011, Beijing, China (2010).柴崎良介: 全球地球観測システムGlobal Earth Observation System of Systems (GEOSS), ワークショップ21世紀の生物多様性研究資料 (2008).Group on Earth Observations: REPORT of GEO-VI, Washington DC, USA (2009).GCI Coordination Team: GCI Coordination Team Report, Beijing, China (2010).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12]参考文献米国地質調査所US Geological SurveyUSGS全球地球観測システムウェブポータルGEO Web PortalGWP全球地球観測システム Global Earth Observation System of SystemsGEOSS地球観測に関する政府間会合(Intergovernmental) Group on Earth ObservationsGEO全球地球観測システム共通基盤GEOSS Common InfrastructureGCI欧州宇宙機関European Space AgencyESAコンポーネント・サービスレジストリComponent and Service RegistryCSR全球地球観測システム・クリアリングハウスGEOSS ClearinghouseCLアスターAdvanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection radiometerASTER陸域観測技術衛星Advanced Land Observing SatelliteALOS日本語訳正式名称略語略語表なかった。あわせてこの場を借りて感謝の意を表す。最後に、地球観測に関する政府間会合事務局で共に調整役として活動したRob Koopman博士、José Achache事務局長をはじめ全事務局員、および今回の選定にかかわったすべての選定メンバーに感謝の意を表す。

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