Vol.5 No.3 2012
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研究論文:地球観測データの統合的利用のための国際連携(岩男)−158−Synthesiology Vol.5 No.3(2012)が最終的な採点を行った。各評価項目および配点等の評価の詳細については、評価委員会から政府間会合執行国委員会に勧告の形で提出し、そこからの承認を得ながら進めた。共通基盤としての評価を行うには、単独の要素技術の評価だけではなく、要素技術を組み合わせた際の動作も評価する必要がある。したがって、本来であればウェブポータルとクリアリングハウスについて各3機関が提供を申し出ていることから9通りの組み合わせの試験を行う必要がある。しかし、ウェブポータルとクリアリングハウスの組み合わせ方によって検索結果が異なる点についての原因解明を評価に先立ち進める中で、特定の組み合わせでしか共通基盤として機能しないことが判明した。そこで、時間的制約から、まずクリアリングハウスを評価・選定し、そのうえでウェブポータルを評価・選定するという2段階の措置をとることした。また、評価試験のうち、特に使用感については、政府間会合に参加する多くのユーザーが集まる2010年5月に開催された政府間会合が主催するワークプランシンポジウムに間に合うよう準備を急いだ。シンポジウム期間中に使用感についての利用試験を行うことで、ネットワークやウェブブラウザが同じ条件下で、利用目的の異なるユーザーの使用感の違いを明確にするとともに、普段会議への出席が難しい途上国ユーザーの試験への参加を見込んだ。さらに、インターネット回線スピードが限られた途上国で会議が開催されたことから、このような条件下での共通基盤の使用感を関係者が評価することが期待された。使用感の評価については、インターネット上でのオンライン評価システムも準備し、全社会便益分野からの評価となるよう広くユーザーを募った。評価基準については、技術、ユーザー使用感、長期運用性担保の3つの観点から総合評価を行うと定めたが、全体の配点の重みづけも決定する必要があった。表2に評価委員会が定めた評価項目とその配点割合を示す。評価委員会での議論の結果、技術とユーザーの使用感についてそれぞれ25 %の配点と定めた。残りの50 %は長期安定運用の担保に関する事項である。技術評価は、必須項目とオプション項目で構成し、計100項目以上の評価項目をリストアップした。ユーザーの使用感評価については、9つの社会便益分野すべてにおいて利便性を評価することを目標に、個別の評価項目をリストアップした。長期安定運用を担保するため4つの項目を設定した。1項目目は共通基盤の要素の提供を申し出た機関による2010年から2015年の財政的な支援に対する組織としての確約であり、10 %を割りあてた。2項目目は共通基盤の要素の提供を申し出た機関が所属する政府間会合加盟国、あるいは加盟機関からの裏書であり、20 %を割りあてた。私企業が要素を提供する場合も、いずれかの政府間会合加盟国・加盟機関が運用を担保(裏書)することを求めた。3項目目は共通基盤の要素を提供することになる機関による必須要求項目への対応の確約であり、10 %を割りあてた。総合評価で選ばれたウェブポータルとクリアリングハウスは、技術評価で設定した必須項目をすべて満たしているとは必ずしも限らない。そこで、各機関に対してウェブポータルとクリアリングハウスの必須項目を満たすことを早急に行うことへの確約を求めた。4項目目は各機関がウェブポータルとクリアリングハウスとして開発したシステムの使用権の放棄であり、10 %を割りあてた。ウェブポータルやクリアリングハウスを提供する機関が、何らかの理由でその運用ができなくなった場合に、第3者機関に円滑にシステム移管できることを担保するものである。使用権の放棄に関する項目については、全システムのオープンソース化を求める意見がいくつか上がった。しかし、オープンソース化を求めることはせず、運用が不可能となった際に、移行が可能な状況を保証することとの表記となった。これは、私企業の参加を考慮してのことである。その一方で、2項目目の政府間会合加盟国、加盟機関からの財政支援に関する裏書を求めることは、特に加盟国・加盟機関には属さない私企業に対して不利に働くことが考えられた。最終的に構成要素を提供する組織や私企業が、万一財政的に運用が担保できなくなった場合でも、加盟国・加盟機関が財政支援を確約することで、全球地球観測システムの基幹システムの安定運用を担保することが必要であると考えた。そこで、この項目には20 %の重みをつけた。今回の採点結果は一般には非公開とした。ただし、採第三者機関へのシステム委譲が生じた際の権利放棄10システムの権利放棄必須要求項目への対応の確約10技術面財政支援に対する加盟国や参加機関からの裏書20財政面(国または参加機関)2010-2015年の組織としての財政支援の確約10財政面(提供機関)長期運用ユーザー使用感の評価結果25使用感技術審査項目リストについての評価結果25技術概要重み(%)評価項目表2 共通基盤の選定評価基準表

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