Vol.5 No.2 2012
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シンセシオロジー 座談会−135−Synthesiology Vol.5 No.2(2012)科学技術政策と構成学、その具体化と価値への“つながり”小林 昨年、平成23年度から27年度を対象とした第4期科学技術基本計画が策定されました。東日本大震災を始めとする日本の危機や世界規模のさまざまな課題を踏まえ、目指すべき国の姿を実現するための科学技術政策の基本方針をうたっています。有本さんは国あるいは大局的な科学技術政策をご覧になっている立場から精力的にご発言されておられますが、まず第4期科学技術基本計画を中心に、今後の内外の科学技術政策の動向について、今までのご経験やお考えをお聞きしたいと思います。第4期科学技術基本計画の特徴「課題解決型研究重視の意義」有本 科学技術基本法が与野党全会一致で成立したのが1995年ですが、背景には今ほどではなかったにせよ、グローバリゼーションが進む中、急激に日本の競争力が落ちているのではないかという危機感があったわけです。1期から3期の15年間は、日本の科学技術政策を重点化するためバイオ、IT、ナノテク等の分野の重視ということで時代的な価値はあったと思いますが、時代が変わり社会情勢が変わっていろいろな欠陥も見えてきたため、第4期では課題解決、イッシュードリブンを重視するという方向になりました。通常ベースでは平成23年3月末の閣議決定だったのですが、東日本大震災を受けて見直した結果、ますますデマンドドリブンあるいはソリューションオリエンティッドにウエイトがかかってきたと思います。これは世界的なトレンドでもあります。世界の科学技術政策は、上流側の研究開発重視の政策から下流側も含めて、“バリュー”をどうやって創出できるかという、イノベーション重視へドライブがかかっています。もう一つ、第4期基本計画では、「社会と科学技術の関係深化」「実効性のある科学技術イノベーション政策の推進」を挙げています。一方で、上流側の基礎科学や基礎研究のサポートは大丈夫なのか、多様性・豊穣性が維持されるのか、ということについては、大切な視点です。小林 第2期ではライフサイエンス、情報通信、環境分野、ナノテクノロジー・材料分野を重点4分野として優先的資源配分を行い、第3期ではこの重点4分野における選択と集中に加えて、国家基幹技術、課題解決型研究開発、新興・融合領域への対応等が重要政策とされました。FIRST(最先端研究開発支援プログラム)の採択結果を見ても、ナノテクノロジーやライフサイエンスに重点的な投資がされた影響が出たかなという印象がありますが、第4期のライフイノベーション、グリーンイノベーションの推進や、科学技術イノベーションの推進に向けたシステム改革への“つながり”については、いかがでしょうか。第4期科学技術基本計画では、グリーン・イノベションやライフ・イノベーションのように「課題解決型」のイノベーションの創出が目指されています。科学技術振興機構社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)では、この方向に沿って研究成果の社会での実装までを目指した種々の研究開発プログラムを推進しています。この考え方は、シンセシオロジーにも共通する考え方なので、座談会においてセンター長の有本建男さんにその考え方をお聞きしました。有本 建男小林 直人赤松 幹之科学技術振興機構社会技術研究開発センター センター長産総研(シンセシオロジー副編集委員長)産総研(シンセシオロジー編集幹事)座談会出席者シンセシオロジー編集委員会

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