Vol.5 No.2 2012
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研究論文:災害救助支援のための情報共有プラットフォーム(野田)−123−Synthesiology Vol.5 No.2(2012)ティという考え方に基づくシステム構成の考え方を広げていかなければならない。6 おわりにこの論文ではデータ仲介を核とするモジュール連携という考え方を元にした災害情報システムの設計方針と、それの実装である減災情報共有プラットフォームについて述べた。データ仲介の考え方は粗で簡潔なモジュール連携を目指すものであり、高機能の高度な連携よりも、単純な機能の臨機応変な連携を実現する。3章で議論したように、さまざまである災害は多かれ少なかれ想定外の事象を含むものであり、各自治体に柔軟な対応が求められる。東日本大震災での多くの事例では、そのような臨機応変の対応の必要性と、それを支えるためのデータ仲介によるアドホックなシステム構築の有効性を示している。もちろん、単なるデータ連携ですべての防災業務が賄えるわけではなく、また、プライバシーに関する情報を扱うためのセキュリティー技術や、大量のデータを確実・高速に処理する枠組み等が、技術の進歩とともに必要となり可能となっていく。それらの変化に対応しながら、この論文で提案した考え方やプラットフォームを今後も発展させていかなければならない。謝辞この研究は文部科学省の大都市大震災軽減化特別プロジェクト、科学技術振興調整費、安全安心科学技術プロジェクト、首都直下地震防災・減災特別プロジェクトおよび経済産業省の戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクトの支援を受けた。またこれらのプロジェクトに関与された多くの方々の協力のもと、システムの開発が進められた。ここに感謝したい。注1)より小規模・貧弱な情報処理機器で運用しても、その機器の能力に応じて機能を維持できるようにシステムを設計する考え方。規模が拡大しても機能を維持する「(アッパーワード)スケーラビリティ」に対する概念である。注2)マルチメディアデータについては、MIME形式等いくつか標準形式はあるが、データサイズの問題やストリーミング型等XMLでは扱いづらいタイプも存在する。これらについては、今後、XMLにこだわらず、長期に渡って機能することを重視した形式を採用していく必要がある。注3)バックエンドデータベースとの接続部分は独立性が高く実装されており、他のデータベースへの切り替えも容易になっている。注4)見附市は2004年7月の7.13水害において甚大な被害を経験しており、多くの職員はその際に情報の錯綜による対応の困難さを経験している。このため、この実験においてもその時の経験をもとに実運用を想定して評価を行ってもらっている。注5)単一の通行実績しかない場合は個人が特定できてしまう可能性があるため、複数の通行実績があるところのデータのみを抽出した。注6)中越沖地震の際には、個人情報保護の観点から詳細情報の公開ができず、道路地図の画像情報での提供にとどまった。東日本大震災の際には個人情報保護にめどがついたため、詳細な情報提供が可能となった。内閣府(編): 平成22年版防災白書, 内閣府 (2010).Munich Re Group: Statistics and natural hazard risk for 50 selected megacities, Jan (2005). http://www.munichre.com/app_pages/www/@res/pdf/media_relations/press_releases/legacy/pm_2005_01_11_01_en.pdf座間信作, 細川直史, 関沢愛: 地震被害情報の効率的収集方法, 第10 回日本地震工学シンポジウム, 3479-3484 (1998).山田博幸, 古戸孝, 浦山利博, 角本繁: 自治体の地震防災に貢献する防災情報システムの構築に関する研究, 地域安全学会論文集, 6, 67-74 (2004).野田五十樹, 近藤伸也, 沼田宗純, 秦康範: 災害対応の現状と求められる情報システム−東日本大震災での災害対応ヒアリングを通じて−, 人工知能学会「社会におけるAI」研究会第13 回研究会予稿集, 人工知能学会 (2011).I. Noda et al.: IT framework for disaster mitigation information sharing, Journal of Disaster Research, 3 (6), 467-478 (2008).下羅弘樹, 松井宏樹, 野田五十樹: 分散システムアーキテクチャによる防災システム連携, 日本地震工学会論文集, 9 (2), 61-72 (2009).防災科学技術研究所, 産業技術総合研究所, 減災情報共有プロトコル, (2005).http://www.kedm.bosai.go.jp/project/info-share/infosharp/index.htmlOpen GIS Consotium, Inc. Web Feature Service Implementation Specification (OGC02-058), ver. 1.0.0 edition, May (2002). https://portal.opengeospatial.org/files/?artifact_id=7176Open GIS Consotium, Inc. OpenGIS Geography Markup Language (GML) Implementation Specification (OGC-02-023r4), ver. 3.00 edition, Jan. (2003).http://www.opengis.org/docs/02-023r4.pdfW3C. Xml schema part 2: Datatypes second edition, chapter 3. built-in datatypes. http://www.w3.org/TR/xmlschema-2/#built-in-datatypesWorld Wide Web consortium (W3C). Soap version 1.2, (2001). http://www.w3.org/TR/2001/WD-soap12-20010709/鈴木猛康, 秦康範, 天見正和: 災害時情報共有に関する実証実験の実施と評価, 日本災害情報学会誌, 6, 107-118 (2008).村上正浩, 柴山明寛, 久田嘉章, 市居嗣之, 座間信作, 遠藤真, 大貝彰, 関澤愛, 末松孝司, 野田五十樹: 住民・自治体協働による防災活動を支援する情報収集・共有システムの開発, 日本地震工学会論文集, 9 (2), 200-220 (2009).柴山明寛, 久田嘉章, 村上正浩, 座間信作, 遠藤真, 滝澤修, 野田五十樹, 関沢愛, 末松孝司, 大貝彰: 被害情報収集支援システムを用いた災害情報共有に関する研究, 日本地震工学会論文集, 9 (2), 113-129 (2009).鈴木猛康, 秦康範, 下羅弘樹: 災害時の道路情報提供の試み|新潟県中越沖地震における取組みと今後の展開−, 日本災害情報学会第9回学会大会予稿集, 11月2007, 通れたマップ.東日本大震災通れた道路マップ. https://sites.google.com/a/nodalab.org/www/research/disasterrescue/toretamap/toretamap-2011-03-11/toretamap-2011-03-11-11[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17]参考文献

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