Vol.5 No.2 2012
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研究論文:災害救助支援のための情報共有プラットフォーム(野田)−120−Synthesiology Vol.5 No.2(2012)さにより、プラットホームの設計思想の有効性が示されていると考えることができるだろう。4.2 豊橋市実証実験2006年11月12日に愛知県豊橋市にて、地震を対象として多数の各種情報システムをDaRuMaを介して統合した(図8)。この実験では、避難所に集まる市民からの膨大な情報をDaRuMaを使って整理・統合し、それらの情報を元に、火災延焼や交通渋滞予測、避難経路探索等を行い、災害対応行動を円滑に進めるのに有用な情報提供を行うことを試みた[14][15]。つまり、避難所に逃げてくる住民が避難途中に見た地元の被害状況を避難所で報告しそれをシミュレーション等に反映することで、被害想定や災害対策の精度をあげることを狙っている。同時に、そういう住民の情報収集活動が災害対策に役に立つことを分かりやすい形で示し、住民の防災意識、当事者意識を喚起することも目的としている。この実験の提案プラットフォームとしての主眼はシミュレーション連携である(図9)。複数シミュレーションの連携ではシミュレーション間の接続で入念な境界条件の依存関係調整等が必要となる。この実験ではこの依存関係を一方通行で単純化するという割り切りを行い、簡便に連携を実現した。この割り切りはシミュレーション連携の厳密さという点では劣るが、災害救助という文脈ではそれでも十分に活用できる場面が多くあり、有効な手段である。また、データベースによる仲介ということで、複数のシミュレーションを実行する計算機環境を無理に合わせる必要がない点も、臨機応変にさまざまな組み合わせのシミュレーション連携を実現する上で大切である。なお、各シミュレーションシステムの動作は、以下のとおりである。・延焼シミュレーションシステム現地から報告された出火情報等を初期設定とし、延焼予測を行う。・避難シミュレーションシステム道路被害情報、延焼シミュレーターによる火災による危険道路予測、避難の出発地・目的地等の設定を情報共有データベースから取得し、避難に適した経路を解析する。・交通シミュレーションシステム道路被害情報、避難経路を取得し、それらの道路の通行に制限がある設定でシミュレーションを行い、渋滞・混雑が発生すると予測される道路を予測する。図10に道路被害情報の有無による交通シミュレーション結果の変化の例を示す。この例では、右上から中心にかかる幹線道路での閉塞情報がシミュレーションに反映された場合とそうでない場合の交通渋滞の予想の違いを示してDaRuMa住民通報による倒壊・道路閉塞情報安全な避難経路延焼領域交通渋滞表示延焼・交通・避難シミュレーション避難所における住民の通報情報交通シミュレーションシステム避難シミュレーションシステム延焼シミュレーションシステム渋滞道路予測避難経路延焼予測情報共有データベースシミュレーション結果出火情報出火情報道路被害情報道路被害情報火災による道路危険度避難条件設定道路被害情報避難経路各種情報ビューア対策本部システム被害情報入力システム現地被害情報収集端末道路閉塞車両道路閉塞車両(b)道路被害情報あり(a)道路被害情報なし図8 豊橋市実証実験のシステム構成図9 豊橋市実証実験のシステム構成図10 道路被害情報の有無による交通シミュレーション結果の変化(豊橋市高師口付近)

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