Vol.5 No.2 2012
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研究論文:災害救助支援のための情報共有プラットフォーム(野田)−116−Synthesiology Vol.5 No.2(2012)Object Access Protocol)[12]等の各種標準を用い、その上で災害情報を共有するにあたり、不足すると思われる部分を追加する形で規定した。これらはすでにISO等で標準化され広く使われている規格であり、現存のシステムや今後作成されるシステムとの親和性を高めることを目指している。標準の採用は同時に既存のツール等をそのまま利用できるという利点があり、災害以外の目的のためのシステムとの連携や応用が期待できる。また、センサーシステムのような、大きな計算能力の期待できないシステムでも扱えるよう簡潔さを保たせ、ダウンワードスケーラビリティを担保している表記形式としてのXMLの採用の理由は、近年の多くのシステムでの採用と同じく、そのデータ表現としての汎用性・柔軟性・拡張性にある。基本データ型としては数値(整数・実数)と文字列に加え、災害情報では不可欠の空間・地理表現(GMLで定義されている点・線・面)および時間表現の4つを用意してあり注2)、それらの任意の組み合わせをXML Schemaで定義することで、多様なデータ構造を扱えるようになっている。つまり、データとしては災害情報に限らず任意の定型データを扱えるようになっており、平時での業務でも活用できるようになっている。MISPのプロトコル例を図4に示す。この例はRoadLinkというタイプの地物を定義しており、その地物データは、misp:GeometryFeatureに定義される要素(位置形状の情報要素gml:GeometryPropertyを定義している)に加え、GMLで記述されるrepresentativePointや交差点等のノードのリスト(nodeList)、道幅(roadWidth)等により構成されていることを示している。2.3 減災情報共有データベースDaRuMaDaRuMaは、2.2節で述べたMISPに準拠して動作するプロトタイプ実装として開発されたデータベースであり、減災情報共有プラットフォームでは各モジュールを連携させるハブとして働く。DaRuMaの設計・実装は以下の方針で行われた。・ダウンワードスケーラビリティとマルチプラットフォーム動作環境として要求するスペックはできるだけ低く抑え、また、幅広いOSやハードウエアをサポートする。大災害時には情報通信インフラもダメージを受ける可能性が大きく、高性能なサーバーや大規模なデータセンターを確保できない場合もあり得る。そのため、できるだけさまざまな計算環境で動作可能であることを要件の一つとした。・既存ソフトウエアの利活用とオープンソース化提案プラットフォームの目的は災害時の情報共有の枠組みの確立であり、新規のデータベース技術の研究開発ではない。そのため、既存ソフトウエアを最大限活用し、開発そのものにコストをかけないことを念頭に置く。また、情報共有の枠組み確立と普及を円滑にするため、成果物はオープンソースとして公開することを前提として開発を進める。実際に開発されたDaRuMaは、図5に示すように、既存の関係データベースであるMySQLまたはPostGIS注3)をバックエンドとして利用し、Javaでかかれたミドルウエア(MISP Processor)によりSQLとMISPの仲介・変換を行う構造になっている。このため、JavaやMySQL・PostGISがサポートしている広範囲のOS・ハードウエアでDaRuMaを動作させることが可能になっており、Linux、FreeBSD、Windows、MacOSの各バージョンでの動作実績がある。さらには、機能的には制限されているが、Rubyにより実装されたミドルウエアもあり、Linux Zaurus等の携帯端末でも動作させることが可能となっている等、ダウンワードスケーラビリティを確保している。また、システムとしても軽量となっており、4.2節で述べる実証実験でも、旧式のノートPC(Mobile Pentium III 933 MHz、メ ◆サービス説明 (GetCapability)◆データ構造説明 (DescribeFeatureType)◆データ構造定義 (RegisterFeatureType) ◆データ登録 (Insert)◆データ検索 (GetFeature)◆データ修正・削除 (Update・Delete)(検索条件)(修正・削除条件)メタ機能データベース基本機能datadataserviceschemaschema 図3 MISPの基本機能図4 MISPのデータ構造定義例(RegisterFeatureType)

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