Vol.5 No.2 2012
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研究論文:災害救助支援のための情報共有プラットフォーム(野田)−115−Synthesiology Vol.5 No.2(2012)前章でも述べているようにこのプラットフォームの重要な考え方は、データを仲介したアドホックなモジュール連携である。すなわち、各モジュールは、他のモジュールの機能を直接呼び出すのではなく、他モジュールがデータベースに書き出したデータを取得することで、情報の共有や機能の連携を実現する。データの仲介に限定することで、連携の形態が整理され、汎用性の高い枠組みを提供できると考える。このような、中心にハブとなる仲介モジュールをおいてモジュールを連携させる設計方針は、特に目新しいものではないが、ハブの機能とデータの仲介のみに連携の形態を限定することで、継続的かつ柔軟なシステム改変が可能となる。近年ではWebサービスのマッシュアップという考え方で、機能を高度に連携させる仕組みも数多く運用されているが、この論文で提案する枠組みでは臨機応変およびライフサイクルの視点を考慮してあえて単純な仕組みを採用する。この妥当性については3章において議論する。2.2 減災情報共有プロトコルMISP減災情報共有プラットフォームの要となるのが、共通プロトコルとなるMISP[8]である。MISPはXMLをベースとしたデータベースアクセスプロトコルであり、データベースで必要とされる基本機能、すなわち、データの検索(Query)、登録(Insert)、修正(Update、Delete)の呼び出し方を定めている(図3の上部)。SQL(Structured Query Language)におけるテーブルジョインといったデータ再構成機能はあえて用意せず、基本的な機能に絞り込むことでデータ表現の単純化を促し、データ仲介のモジュール連携を狙っている。さらに、アドホックな連携を助けるための機能として、オンラインでのデータ構造定義機能(RegisterFeatureType)を含む、データベースのメタ機能を提供している(図3の下部)。このデータ構造定義機能では、取り扱うデータの型をXML Schemaによってオンラインでデータベースに追加登録できる。このため、プラットフォームの運用中にシステムを停止させずに新規データ型を追加することが可能であり、新規モジュールの追加時にリアルタイムに新規データ型のテスト・修正ができるようになる。これは数多くの組織にまたがってモジュールを連携させることが必要となる防災情報システム統合では重要な機能となる。すなわち、新しいモジュールを追加する際、必要となる新規データ型の登録のためにシステム全体を停止する等のコストが発生すると、試行錯誤を必要とするモジュール連携が進みにくくなる。オンラインのデータ定義機能の呼び出しをモジュール側に解放することで、これらの障害を回避し、システム連携を円滑にすることを、この仕様は狙っている。このプロトコル設計にあたっては、機能の単純さと記述の簡潔さを維持することを重視した。通常のインターネットのプロトコル設計では、高機能さや機能の拡張性を担保することが意識されがちである。例えばXMLデータベースの検索プロトコルとしてはXPathやXQueryが提案されてきているが、高機能な検索やデータ再構成を実現するため、徐々に複雑になりつつある。日進月歩の情報技術の分野では、このような短期的な拡張性は重要ではあるが、後で議論するように、災害対処のライフサイクルが10年100年であることを考慮した場合、拡張性にも高機能追及とは別の視点が必要であり、この論文で提案するプラットフォームでは、単純さ・簡潔さを重視することとした。これについては3章で議論する。MISPの基本機能はWFS(Web Feature Service)[9]をベースとしており、WFSと関連するGML(Geography Markup Language)[10]、XML Schema[11]、SOAP(Simple 分析シュミレーション事業者各種研究機関災害現場・避難所各種センサー/ロボットオントロジー共通DB共通プロトコル医療体制支援物資流通交通規制対策本部(市町村)国・県図2 減災情報共有プラットフォーム

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