Vol.5 No.1 2012
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シンセシオロジー 報告−62−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)2011年10月に山口大学常盤キャンパスにて開催された研究・技術計画学会年次学術大会における構成学ワークショップ「シンセシオロジー(構成学):知の統合からイノベーションへ」の概要をご報告いたします。(開会挨拶)小林 直人(シンセシオロジー副編集委員長、早稲田大学) 世界経済危機、超円高、タイの洪水、新興国の成長減速、震災復興、大財政赤字等々、目の前に立ちはだかる困難な課題に対して、我々、「学」や「研究」に携わる者は何ができるのか。それは研究開発の成果を社会で活かし、イノベーションを創出・加速化することだと考えます。「シンセシオロジー」は科学的知見や技術を統合することでシンセシスの科学を実践し、イノベーションを加速したいと考えています。研究・技術計画学会は、科学技術をイノベーションに役立てるための企画、計画、マネジメント、知財、技術経営を研究しています。しかし、残念なことに、現実の世界を見ると、どれほどよい研究成果や技術が生まれても、それだけでイノベーションに直結し、社会に受け入れられるわけではありません。それでは、イノベーションを興すためにはどうすればよいのでしょうか。本ワークショップは、研究・技術計画学会と産業技術総合研究所が合同で「構成的知をイノベーションにつなげるための方法論」を議論する場です。今回のワークショップでは、シンセシスの科学の方法論の紹介や、イノベーション論にまで踏み込み、そしてイノベーションを興すためにどのような方法があるのかを具体的に取り上げ、相互理解を深めたいと考えています。そこで、初めに基調講演として産業技術総合研究所の小野さんから「構成的知の確立の方法論」というお話を、その後、東京大学の妹尾堅一郎先生から特別講演として「イノベーションとシンセシオロジー~知の創出と再編成は社会価値転換と産業競争力強化にどう役立ちうるか~」という興味あるお話をお聞きし、その後、妹尾先生、政策研究大学院大学の隅蔵先生、産業技術総合研究所の赤松さんに入っていただき、知の統合からイノベーション創出に向けてと題してパネル討論を行います。(基調講演)構成的知の確立の方法論小野 晃(シンセシオロジー編集委員長、産業技術総合研究所) 基礎的な科学の研究が現実の社会に出ていくまでには長い時間がかかり、またその間に多くの研究成果が散逸していきます。この“死の谷”あるいは“悪夢の時代”をどのように乗り切っていけるのか。その方法論を「シンセシオロジー」を通して確立していきたいと思っております。科学の研究では、まず物理や生物、電気などの学問領域を選択します。つぎに分析(アナリシス)という手法を用いてさまざまな事象を階層化し、要素に分解して、最後に、それらの知識要素を体系化することで自然の特定の側面を理解・解明しようとします。17世紀に科学が誕生して以来、科学は要素還元主義と分析的手法を中心にして発展してきシンセシオロジー編集委員会研究・技術計画学会 構成学ワークショップシンセシオロジー(構成学):知の統合からイノベーションへ

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