Vol.5 No.1 2012
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研究論文:家庭用固体高分子形燃料電池の実用的耐久性確保のための技術開発(谷本ほか)−60−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)小林 哲彦(こばやし てつひこ)1984年工業技術院大阪工業技術試験所入所。2001年生活環境系特別研究体系長。2004年ユビキタスエネルギー研究部門研究部門長。この論文での固体高分子形燃料電池スタックの劣化機構基盤解析研究プロジェクトの発足に際し、経済産業省、NEDO、燃料電池システムメーカー、エネルギー供給会社、大学等の関係機関との調整総括。査読者との議論議論1 “製品”と“商品”の違い質問(五十嵐 一男:国立高等専門学校機構)本文中で“製品”と“商品”の二つを使っていますが、これらを立て分けて使っているように思われる箇所と、そうでない場合があるように見受けらます。この論文では、立て分けることが重要と考えますので検討をお願いします。回答(谷本 一美)この論文では“製品”は、燃料電池コジェネシステム、燃料電池自動車等、燃料電池を組み込んだもの、“商品”とは市場化されたもので、現時点では家庭用コージェネレーションシステムの「エネファーム」としております。“製品”が市場化される際に性能、耐久性等の機能にコストを加えて一般に受け入れられるものが“商品”となると考えています。ご指摘のように「6.おわりに」の章で2箇所、この基準で入替わった箇所がありましたので、本文のように修正しました。議論2 溶融炭酸塩形燃料電池質問(五十嵐 一男) 2.の第2段落において「・・・・、あるいは製品のもつ特徴等から試行の可能性があった。」とありますが、この試行とは何を意味しているのでしょうか。回答(谷本 一美)分散型燃料電池発電の一つである溶融炭酸塩形燃料電池について述べたものです。現在、日本では、米国のFCE社で開発された技術を丸紅(株)が分散型発電システムとして市場化を試み、日本燃料電池発電㈱を設置し、いくつかの導入実証試験を行いましたが、その発電機も終了して日本では行われていません。この技術開発に20年間携わったものとして、残念でなりません。他の燃料電池に比べて優れた性能を有していると思っております。海外では実証導入が進められており、市場化へ向けたプロセスの面で検討され、この技術の再開の可能性を信じ、このような記述にしております。議論3 固体高分子形燃料電池の劣化パターン質問(五十嵐 一男)4.1の第1段落において「(c)の劣化加速型のパターンがコージェネレーションシステムに対してもっとも致命的と判断される」とありますが、何故そのように判断されるのか、もう少し詳細に記載されては如何でしょうか。回答(谷本 一美)メーカーおよびエネルギー供給会社の経験データに基づいています。コージェネレーションシステムでのシステム制御の柔軟性、適合性については、個別のシステム設計が異なっているようです。ダメージの度合い等で判断しているようです。議論4 燃料電池の実用化に向けてのシナリオ質問(村山 宣光:産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門)Z. Siroma, K. Ishii, K. Yasuda, Y. Miyazaki, M. Inaba and A. Tasaka: Imaging of highly oriented pyrolytic graphite corrosion accelerated by Pt particles, Electrochem. Commun., 7, 1153-1156 (2005). Z. Siroma, K. Ishii, K. Yasuda, M. Inaba and A. Tasaka: Stability of platinum particles on a carbon substrate investigated by atomic force microscopy and scanning electron microscopy, J. Power Sources, 171, 524-529 (2007). 執筆者略歴谷本 一美(たにもと かずみ)1984年工業技術院大阪工業技術試験所入所。2001年産業技術総合研究所産学官連携部門関西産学官連携センター溶融炭酸塩形燃料電池連携研究体連携研究体長。2004年ユビキタスエネルギー研究部門副研究部門長、燃料電池機能解析研究グループ長を兼務。現在、同部門イオニクス材料研究グループ長を兼務。1995年溶融炭酸塩形燃料電池での40,000時間の連続発電試験を達成し劣化要因の解明を行い、耐久性向上の材料研究に従事。2004年から2007年まで、この論文での固体高分子形燃料電池スタックの劣化機構基盤解析研究プロジェクトの取りまとめを担当した。安田 和明(やすだ かずあき)1994年工業技術院大阪工業技術研究所入所。2001年産業技術総合研究所生活環境系特別研究体小型燃料電池研究グループ。2004年ユビキタスエネルギー研究部門次世代燃料電池研究グループグループ長。現在、環境・エネルギー分野研究企画室室長。入所時から、高分子膜の燃料電池に係る基礎研究を進め、この論文での固体高分子形燃料電池スタックの劣化機構基盤解析研究プロジェクトに先立ち2001年からPEFC劣化要因解明の産学官連携プロジェクトで、劣化に関しての実施内容に対して基礎研究面で支援し、それらを踏まえ実用面での課題設定を提言した。城間 純(しろま じゅん)1996年京都大学大学院工学研究科修士課程修了。同年工業技術院大阪工業技術研究所入所。固体高分子型燃料電池の性能向上・劣化要因解明のため、主として電気化学的手法による材料やセルの評価に従事。2008年博士(工学)(京都大学)。現在、産業技術総合研究所ユビキタスエネルギー研究部門次世代燃料電池研究グループ主任研究員。この論文ではモデルセルを用いた劣化現象解明を担当。秋田 知樹(あきた ともき)1998年大阪大学工学研究科応用物理学専攻博士後期課程修了(博士(工学))。同年大阪工業技術研究所(現産業技術総合研究所)特別研究員、1999年大阪工業技術研究所入所。2001年産業技術総合研究所生活環境系特別研究体ナノ界面機能科学研究グループ、2004年ユビキタスエネルギー研究部門ナノ材料科学研究グループ主任研究員。分析電子顕微鏡による機能材料の構造解析に関する研究に従事。この論文では、燃料電池材料の電子顕微鏡による劣化解析を担当。[8][9]
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