Vol.5 No.1 2012
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研究論文:マグネシウムおよびその合金中の不純物酸素分析手法(柘植ほか)−32−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)いられてきた温度確認方法である。図13(a)に5種類の金属を用いて求めた関係を示す。一般には、検量線は図に示すような曲線となるのであるが、Mgの蒸発除去を行う900 ℃~2,000 ℃の範囲ではその曲率は十分小さく、図13(b)に示すように銅およびクロムの粒が融解する際の電力を測定して、直線近似しても問題がないことが分かった。4 国際規格提案にむけた取り組み分析手法を国際規格として提案する場合、技術的な信頼性を高めて手法として確立するための研究開発を行うとともに、国際的に共通な技術ニーズに合致したものであることを国内外に広く認知させ、他国に先駆けて規格提案の意思表示をすることが重要になる。以下においては、これらに関する我々の取り組みを紹介する。4.1 日本マグネシウム協会による意見集約我々は、この分析法の技術要素確立の後、それをISO規格として提案することを目標とする研究開発プロジェクトを提案したが、その準備段階から産業界の意向を把握するため、業界団体でありISO規格の国内審議団体でもある日本マグネシウム協会と密な連携を維持してきた。筆者の一人は、2006年度の酸素分析手法の開発初期段階から、同協会の分析委員会の委員として研究進捗の報告を行うとともに産業界のニーズに対応した分析手法の開発を目指した。また2007年度には、同協会の会員企業を対象に酸素分析のニーズについてアンケート調査を行った。その結果、「今すぐ必要」とする企業が2割、「将来は必要」と回答した企業が5割あった。このアンケート結果は、産業界における酸素分析手法のニーズの強さを示すものであり、この後に続く研究開発プロジェクトの提案および遂行の過程で我々を支える強力な情報となった。4.2 ISO専門委員会での事前活動、韓国との協力2008年度より3年間、経済産業省基準認証研究開発制度の下で不純物酸素分析に関するISO規格素案作製のための研究開発を行うこととなった。我々はこの研究開発段階からMgに関するISOの専門委員会ISO/TC79/SC5注3)への事前活動を開始した。この間の取り組みについて表4に示す。まず、2009年の5月に東京で行われた同委員会の会議で「将来の提案課題」としてこの分析法の基本概念の紹介とこの方法を用いたISO規格提案を検討している旨を表明した。翌2010年5月にベルリンで行われた同会議においても、サンプルの採取法や荷電粒子放射化分析法の結果との比較等、開発の途中経過を中心に報告した。その際、韓国から「前年、東京で示された条件ではうまく分析できない」という情報が伝えられた。韓国には鉄鋼生産とMgの部材生産の両方を行っている大企業等があるため、鉄鋼業ではよく使用されるIGF-IRA法への理解が深い。また韓国の主たるMg製品が特定の機能をもたせた部NWIP投票作業原案(WD)審議10月7月新業務項目(NWIP)案提出6月★韓国への技術協力5月★同ロンドン会議で規格原案の概要説明5月★同ベルリン会議で経過報告5月★ ISO/TC79/SC5東京会議で基本概念説明METI 基準認証研究開発制度『マグネシウム地金・合金中の酸素分析方法の標準化』3月4月20122011201020092008低鏡融解の観察高印加電力銅またはクロムの粒が融解した時の印加電力を記録する654321001000200030004000黒鉛るつぼ温度(℃)印加電力(kW)WMoCrNiCu21005001000150020002500黒鉛るつぼ温度(℃)印加電力(kW)W2W1CrCu2.51.50.52000 ℃900 ℃表4 国際標準化に向けての取り組み図12 黒鉛るつぼの温度校正の概念図図13 印加電力と黒鉛るつぼ温度との関係(a)融点の異なる5種の金属による校正曲線 (b) 900 ℃~2,000 ℃の範囲での校正方法(a)(b)

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