Vol.5 No.1 2012
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研究論文:マグネシウムおよびその合金中の不純物酸素分析手法(柘植ほか)−31−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)3.2 適用可能な合金の範囲Mg合金に関しては、企業等から合金組成や不純物量の明らかな標準物質が多数頒布されている。しかし、それらの標準物質のうちで酸素含有量が認証されているものはない。そこで、それらの市販標準物質を用いて、今回開発した手法の測定操作上の問題を生じないかという点についてのみ検討を行うこととした。その結果、表2に示すように現在市販されているほとんどのMg合金においてこの測定操作は可能であることがわかった。例外的に認められた操作上の障害は、アルミニウムの含有量が6 %を超える試料について、Mgを蒸発分離した後のスズがるつぼに固着すること、アルミニウムの含有量が9 %を超えるとるつぼの底に広がりながら固着することがわかった。これは、アルミニウムが炭化物を作りやすく、また炭素に対して濡れ性がよいことによると考えられる。固着に関しては、るつぼを破壊すれば残留物を取り出すことが可能であることから、この方法の規格化において適用範囲をMg合金一般としても問題がないと判断した。3.3 分析装置の適用範囲不活性ガス融解法の分析装置は、現在国内外を通じて2社のみから市販されているが、装置の年式により種々の型番がある。分析装置を用いる分析方法を規格化する場合には、現場で使用されている分析装置のメーカー・型番を可能な限り広く包含するように配慮した規定内容としなくてはならない。そこで、まず国内において参加機関を募り、共同で分析試験を行った。その際、我々が使用している装置とは異なるメーカーの分析装置に関しては、そのメーカーの協力を得て装置に適合した印加電力や加熱時間等の分析条件を明らかにした。3.1で述べた試料を供試材とし、黒鉛るつぼにかける電圧によって加熱条件を指定した。その結果と3.1で示した荷電粒子放射化分析の結果とを表3に示す。ここでは、条件提示の協力が得られた装置メーカー(分析所B)と我々(分析所D)の値は荷電粒子放射化分析のそれと大きく異なることはなかったが、沸騰により試料がるつぼから飛びだしたため測定ができなかった例(分析所C)、蒸発除去が不完全であるため残留物中の酸素分析時にMg蒸気が発生して一酸化炭素を再度酸化物に戻したため低値となったものと推定される例(分析所A)があった。これらのことから、用いる装置や型番により「印加電力-黒鉛るつぼ温度」の関係が異なっていると推定された。つまり、規格における加熱条件としては印加電力ではなく、るつぼ温度を規定することが必要であり、そのためには装置毎の温度-印加電力検量線を得る方法を規定しなくてはならないことがわかった。検量線を得る方法に関しては、図12に示すように印加電力を少しずつ上昇させながら、黒鉛るつぼ内の融点の明らかな金属粒の融解を観測することによって行うこととした。この手法は、るつぼ内の試料温度を直接測ることが難しい黒鉛通電加熱炉においては、以前から測定者の間でよく用Al(約12 %),Zn(約1 %),Ca(約1 %)市販 AZX1211 Al(約6 %),Mn(約0.1 %),Ca(約2 %)市販 AMX602 Zn(約6 %),Zr(約0.7 %)市販 ZK61a Al(約6 %),Mn(約0.1 %)市販 AM60b △(融解物固着)△(融解物固着)△(融解物固着)△(融解物固着)Al(約9 %),Zn(約1 %)市販 AZ91 Al(9.5 %),Si(1.1 %)HMP STD1/85○Al(4.1 %),Zn(0.2 %),Mn(0.4 %),Si(1.2 %)HMP A-41-T05○Zn(0.5 %),Mn(0.1 %),Nd(2.4 %),Gd(1.5 %)バルク体バルク体バルク体バルク体バルク体バルク体バルク体バルク体MBH C69XMgy4-a○Ag(2.05 %),希土類(2.4 %)MBH C68XMgh40○Zn(5.47 %),Th(1.85 %)MBH C67XMgg40○希土類(2.4 %),Zn(3.18 %)MBH C67XMgf30○Zn(6.81 %),Mn(0.166 %)MBH C66XMgc40△(融解物固着)Al(6.01 %),Zn(0.411 %)MBH C65XMga50○Mn(2.36 %)MBH C63XMge30○MBH C61XMgp30○○○切粉切粉切粉切粉切粉切粉切粉切粉MBH C61XMgp10分析の可否(○:可,△:障害,×:不可)合金化成分(濃度)形状試料名--0.06000.0480突沸0.04920.0021No.30.01800.0165突沸0.02120.0015No.20.00010.0006突沸0.0014NDNo.1荷電粒子分析所D分析所C分析所B分析所A試料 エッチングによる表面汚染除去解析定量放射線計測試料の放射化測定元素の化学分離図11 荷電粒子放射化分析の分析フロー図表2 各種合金への適用の可否表3 国内共同分析試験の結果表1 不活性ガス融解法と荷電粒子放射分析法との分析結果比較0.0600(mass%)0.0480±0.0052 (mass%)0.0180(mass%)0.0165±0.0023 (mass%)0.0001(mass%)0.0006±0.0005 (mass%)No.2No.3No.1荷電粒子放射化分析法不活性ガス融解法試料No.

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