Vol.5 No.1 2012
25/84
研究論文:モノピボット遠心血液ポンプの実用化開発(山根ほか)−22−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)執筆者略歴山根 隆志(やまね たかし)1980年東京大学大学院工学系研究科博士課程航空学専攻修了、同年通商産業省工業技術院機械技術研究所入所。2001年(独)産業技術総合研究所発足にあたり、人間福祉医工学研究部門副研究部門長、同時に東京理科大学大学院理工学研究科連携大学院客員教授。2007年より2年間、経済産業省高機能人工心臓システム開発ガイドライン事務局をつとめ、2008年より2年間、(独)医薬品医療機器総合機構にスペシャリストとして出向。2010年より帰任し、現在ヒューマンライフテクノロジー研究部門主幹研究員。2009年日本機械学会バイオエンジニアリング部門業績賞受賞。この論文では、ポンプ機構の提案、流体特性・軸受特性実験、動物実験・企業共同研究の統括を担当。工学博士。丸山 修(まるやま おさむ)1995年群馬大学大学院医学研究科生理学系ホルモン測定学専攻修了、同年通商産業省工業技術院機械技術研究所入所。2001年(独)産業技術総合研究所発足にあたり人間福祉医工学研究部門人工臓器グループ主任研究員。2003年より1年間、企画本部企画主幹をつとめ、2010年よりヒューマンライフテクノロジー研究部門人工臓器グループ長。2006年日本人工臓器学会論文賞受賞。この論文では、ポンプの血液適合性評価試験および動物実験を担当。博士(医学)。西田 正浩(にしだ まさひろ)1995年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程生体医工学専攻修了。同年、通商産業省工業技術院機械技術研究所に入所し、1999年バイオミメティクス研究室主任研究官。2000年より6ヶ月間、通商産業省工業技術院医療福祉機器技術研究開発調整室に勤務し、2000年より1年間ベルリン・フンボルト大学シャリテ大学病院客員研究員となり、帰国後10ヶ月間、経済産業省産業技術環境局大学連携推進課に勤務。2001年(独)産業技術総合研究所発足に当たり、人間福祉医工学研究部山根隆志: 人工心臓の新展開,バイオマテリアル-生体材料,29 (3), 199-203 (2011).T.Yamane, M.Nishida, B.Asztalos, T.Tsutsui and T.Jikuya: Fluid dynamic characteristics of monopivot magnetic suspension blood pumps, ASAIO Journal, 43 (5), M635-M638 (1997).T.Yamane, O.Maruyama, M.Nishida, R.Kosaka, T.Chida, H.Kawamura, K.Kuwana, K.Ishihara, Y.Sankai, M.Matsuzaki, O.Shigeta, Y.Enomoto and T.Tsutsui: Antithrombogenic properties of a monopivot magnetic-[1][2][3]参考文献要なものは以下のとおりである。1)医工学研究は、開発初期から機械、流体、材料、電気電子、基礎医学、臨床医学、製造、薬事法、保険償還等あらゆる学問分野、技術、法律、経済がかかわる「チーム研究」である。「保険償還」と書いたのは、我が国は国民皆保険制度であるため、販売はすべて保険償還によるしかなく、これを理解しなければ経済が理解できないという、我が国の特殊事情がある。2)長期間、チーム連携を維持できる「研究リーダー」が必要である。管理者が変わっても、10年以上変わることのないリーダーが必要である。およそ10年間の研究開発の全体像の中で、「医」側の分担課題、「工」側研究者・製造者の分担課題を定め、年オーダーでしかも時間差をもって出てくる個別研究の成果を、チームとして製品にまとめ上げていくのは、まるで積み木細工のようであり、ゆるがない研究リーダーなしでは困難である。(我々は20年間変わらないリーダーを維持した。)医工連携による実用化の研究に必要なのは、機関関係を維持しながら、研究目標を定められる長期継続的な研究リーダーの存在である。3)研究所、臨床機関、製造販売会社の「医工連携」が必須だが、相互に意見を出し得るイコール・パートナーでなければ製品には到達しない。往々にして医学サイドの意見のみが偏重され、研究志向に陥り勝ちであるが、できるだけ多くの患者に使ってもらえるような使用目的、設計、材料の選択には、バランスがとても重要である。そのためには製品化に向けた企業の経験や自主性も重んじるのが肝要である。医学界には、往々にして完全置換型人工心臓を尊重し、次に補助人工心臓を尊重し、外科手術用の体外循環・補助循環は軽視する風潮がある。その中で企業に重要な経済性の観点からの意見がつぶされないよう、学会・研究機関が支援した今回の例は良い例である。4)よい研究目標を立てるより、よい製品目標を立てるべきである。産総研が単独に研究目標を追求していては、社会の要請に答えられない。研究予算の獲得も必要だが、研究のための研究では社会に貢献しない。suspension centrifugal pump for circulatory assist, Artificial Organs, 32 (6), 484-489 (2008).O.Maruyama, M.Nishida, T.Tsutsui, T.Jikuya and T.Yamane: The hemolytic characteristics of monopivot magnetic suspension blood pumps with washout holes, Artificial Organs, 29 (4), 345-348 (2005).M.Nishida, O.Maruyama, R.Kosaka, T.Yamane, H.Kogure, H.Kawamura, Y.Yamamoto, K.Muwana, Y.Sankai and T.Tsutsui: Hemocompatibility evaluation with experimental and computational fluid dynamic analysis for a monopivot circulatory assist pump, Artificial Organs, 33 (4), 378-386 (2009).T.Yamane, O.Maruyama, M.Nishida, M.Toyoda, T.Tsutsui, T.Jikuya, O.Shigeta and Y.Sankai: The most profitable use of flow visualization in the elimination of thrombus from a monopivot magnetic suspension blood pump, Artificial Organs, 28 (4), 390-397 (2004).O. Maruyama, Y. Tomari, D. Sugiyama, M. Nishida, T. Tsustui and T. Yamane: Simple in vitro testing method for antithrombogenic evaluation of centrifugal blood pumps, ASAIO Journal, 55 (4), 314-322 (2009).[4][5][6][7]
元のページ