Vol.5 No.1 2012
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研究論文:高品質なプロジェクトマネジメントを実現するトレーサビリティ・マトリックスの構築(榮谷ほか)−10−Synthesiology Vol.5 No.1(2012)プロジェクトの進行度と複雑性の変化傾向について成功プロジェクトの傾向失敗プロジェクトの傾向納期開発期間複雑性要素b要素aプロジェクト構成要素の感度分析難易度を変化要素a、要素bの初期値難易度複雑性マネジメント単位PDCAサイクル短期長期粒度小粒度大サブグループ④サブグループ③サブグループ②サブグループ①グループBグループAPJ全体図9 複雑性の継時変化とプロジェクト状態図10 プロジェクトの複雑性のための感度分析例図11 マネジメント単位と周期についてを作成するのか決める必要がある。そのマトリックス単位にあった要素の粒度を検討する必要がある。その構成要素が詳細過ぎると、マトリックスの維持管理のみで作業稼働が逼迫し、マネジメントがしきれない。そして次に、PDCAを回す周期を検討する必要がある。上記にも関連するが、システムマトリックスの単位または要素の粒度が大きいほど、その周期は長くすべきである。また粒度が小さければ周期は短くすべきである(図11)。具体的には担当や作業、成果物といった各領域単位に10から20程度の要素数に抑えられるようにシステムマトリックスの単位も検討すべきである。それ以上の要素数では、システムマトリックスはむろん、ネットワークモデルにおいても現状理解が困難で改善策も検討し難い。また、各領域の要素数を10から20程度にするにはマトリックスの作成単位だけでなくPDCAサイクルの周期も限定する必要がある。例えばサブグループレベルで全開発工程に対する要素を洗い出そうとしたら、その量は莫大であり10から20には到底納まらない。そのような観点からも周期を限定する必要がある。以上を考慮することで、情報中心のプロジェクトマネジメントが実行可能となる。6 結論ソフトウエア開発プロジェクトのアーキテクチャとしてトレーサビリティ・マトリックスを構築した。そして、情報中心であるソフトウエア開発プロジェクトにおけるマネジメントのPDCAサイクルをシナリオとして、そのトレーサビリティ・マトリックスの活用方法を説明した。そして、プロジェクト全体を俯瞰的にかつ詳細に状況を把握できることを説明し、この手法が高品質なプロジェクトマネジメントを実現するための情報管理手法であることを示した。謝辞この研究は文部科学省グローバルCOEプログラム「環境共生・安全システムデザインの先導拠点」の一環として実施された。この研究の概念に関してディスカッションを頂戴した慶應義塾大学大学院手嶋龍一教授、保井俊之特任教授に深く感謝申し上げる。
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