Vol.4 No.4 2011
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研究論文:フレキシブル太陽電池の高性能化技術開発(増田)−197−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)いったん転写した型をモールドとして用いた。まず、モールド上に紫外光硬化性アクリル樹脂モノマーを塗布し、この上にPENやPI等の汎用フィルムをラミネートする。ラミネート後に紫外光を照射することで、モノマーがポリマーに変化する。フィルムをモールドから剥離すると、表面に凹凸形状の転写されたアクリル樹脂がラミネートされたポリマー基材を得ることができる。図5中の原子間力顕微鏡写真に示されるように、基材表面に凹凸形状が存在することがわかる。この方法は、図5に示す枚葉方式のみならず、図6に示すようなロールツーロール方式にも適用可能なことをすでに実証しており、量産化に際しての障害は見当たらない。PIフィルムならびにPENフィルム上に作製したアモルファスシリコン太陽電池の電流密度-電圧特性を図7に、分光感度特性を図8に示す。アモルファスシリコン太陽電池はサブストレート構造とし、ポリマー基材/凹凸形状を有するアクリル樹脂層/ガリウム添加酸化亜鉛層/銀裏面電極層/ガリウム添加酸化亜鉛層/n型アモルファスシリコンドープ層/i型アモルファスシリコン光吸収層/p型アモルファスシリコンドープ層/酸化インジウム錫透明電極/銀集電極の構成とした。凹凸形状を形成した基材を用いることにより、ポリマー基材上でも充分な光閉じ込めが実現し、電流密度が増大することが図7から示された。図7からは、凹凸には最適な形状があり、モスアイ構造を転写した形状を用いた場合の電流密度は、Asahi-Uの表面構造を転写した形状を用いた場合の電流密度に及ばないことも明らかとなった。また、図8からは、凹凸形状を形成した基材を用いた場合には、光閉じ込めにより、長波長側の分光感度が増加していることも示された。表1に示すように、ポリマー基材を用いた場合においても、Asahi-U上に作製した場合と同等の太陽電池特性が得られた。つまり、ガラス基板上に作製した場合と同等の性能を有するアモルファスシリコン太陽電池を、ポリマー基材上に作製することに成功した。このコンソーシアムの研究成果等で、参加企業の東芝機械(株)がnano tech 2009国際ナノテクノロジー総合展・技術会議にて、nano tech大賞微細加工技術部門賞を受賞した。また、この論文では詳細は省略するが、コンソーシアム参加企業の住友ベークライト(株)が、同社が開発した有機-無機ハイブリッドフィルムであるスミライ巻取UV硬化樹脂の塗工UV硬化樹脂転写・UV硬化・離型テクスチャフィルム基材塗エロール塗エダイUV照射ロールモードルゴムロール離型転写Asahi-U紫外光硬化樹脂の塗布基材表面基材表面2回転写1回転写剥離紫外光硬化ラミネートフイルム図5 枚葉方式による基材の作製法の概略ならびにAsahi-Uおよび基材表面の顕微鏡写真図6 ロールツーロール方式による基材の作製法の概略
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