Vol.4 No.4 2011
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編集 シンセシオロジー編集委員会発行 独立行政法人 産業技術総合研究所Synthesiology 4巻4号 2011年11月 発行委員長:小野 晃副委員長:小林 直人、瀬戸 政宏幹事(編集及び査読):赤松 幹之幹事(普及):内藤 耕幹事(出版):多屋 秀人委員:阿部 修治、五十嵐 一男、一條 久夫、上田 完次、餌取 章男、大蒔 和仁、大和田野 芳郎、岡路 正博、景山 晃、 久保 泰、清水 敏美、立石 裕、田中 充、佃 栄吉、富樫 茂子、中島 秀之、中村 和憲、長谷川 裕夫、馬場 靖憲、 濱 純、原田 晃、松木 則夫、水野 光一、村山 宣光、 持丸 正明、矢部 彰、吉川 弘之事務局:独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部広報制作室内 シンセシオロジー編集委員会事務局問い合わせ シンセシオロジー編集委員会 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2 産業技術総合研究所広報部広報制作室内 TEL:029-862-6217 FAX:029-862-6212 E-mail: ホームページ http://www.aist.go.jp/synthesiology●本誌掲載記事の無断転載を禁じます。シンセシオロジー編集委員会−250−編集後記この号には、日立製作所元副会長で日立マクセル名誉顧問の桑原洋氏とシンセシオロジー編集委員会の小野編集委員長と赤松編集幹事との間で行われた座談会が掲載されています。桑原氏は、研究開発における「システム思考やシステム技術」だけでなく、あらゆる場面における科学技術の複合体としての「システム」の重要性を指摘されています。総合科学技術会議の前議員でもある桑原氏は、今後、第2種基礎研究を総合科学技術会議が認め、市民権を得ることが必要であるとも述べられています。座談会後の桑原氏の寄稿では、システム構築に必要となる可能性のある知見や知識等を収集すること、不足ならば新技術を仮定すること、案を設計し評価することの重要性が示されています。また、小野編集委員長の寄稿では、創りたい人工物を実現するためには複数のシナリオによる企画・計画が必要であることが示されています。両氏の指摘は、社会に価値をもたらす人工物を創造するには、システム論的な仮説形成と検証が不可欠であり、それが「システムと構成学」の本質であると受けとめることができます。前号の編集後記で書きましたが、人工物は、実社会の環境で作動し機能を発現し、市場で取引され、人の主観的効用を満たすものです。そうでなければ単に人工的なモノでしかなく、価値を生み出すことにはなりません。そして価値には市場普及だけでなく、社会受容、文化波及という形相があり、いずれも、価値は “広がり”の本質をもつという意味で社会的であると言及しました。この号に掲載された4論文は、市場普及、あるいは社会受容に強い関連があり、いずれも社会的価値をもたらすことを想定しています。ここで、一つの問いが立ち上がってきます。「このような『社会的価値』は構成学の対象となるか」、です。構成された人工物は社会に出力されますが、入力される実社会は不完全情報に満ちています。価値は事前に確定できず、価値は社会的に構成されると言えます。社会におけるネットワーク外部性がますます拡大する現在、「価値の構成論」がシンセシオロジーのチャレンジすべきテーマとなるのではないでしょうか。(編集委員 上田 完次)
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