Vol.4 No.4 2011
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−237−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)座談会:システムと構成学を考えるる。それは企業で言えば企画であったり、計画であったりするが、一般的には「仮説形成」と言えるだろう。目的の人工物を作るための仮説を研究者・技術者が自ら考えて、いろいろなシナリオを作る。研究者・技術者は自身が最良と信じるシナリオに基づいて、シナリオドリブンという形で研究開発を進める。そのとき学問領域ごとに蓄えてある知識要素の中から最適なものを援用して、素材要素や部品要素を作り、そして製品やシステム、サービス、あるいは環境を「人工物」として作り上げていく。作った人工物は市場に問い、批判を受けて、また企画、計画、仮説形成に戻るというループを繰り返して進歩していくと考える。また作られた人工物を改めて「存在物」として認識すれば、科学(第1種基礎研究)の分析の対象となって上部のループにも組み込まれる。現在の学会の研究論文は図aの上部のプロセスを記述したものがほとんどである。いかに重要な知識要素を発見したか、いかに重要な法則や公式を発見したか等、知識を体系化していくことが学問的に高く評価される。一方、下部のプロセスも人類の高度な知的行為であり、筆者はそれを科学の延長線上にあると理解したい。そのためには下部のプロセスのオリジナリティーや新規性を別途定義する必要がある。それがシンセシオロジーの挑戦である。桑原さんからは、作りたい人工物が決まったとき、それをいかにシナリオに落とし込むかが重要とのご指摘をいただいた。これもまたシンセシオロジーの挑戦である。ただ筆者は、社会的に価値のある良い研究開発をやった人は、そのとき必ず良いシナリオをもっていたに違いないと考える。そのシナリオを現時点から振り返って再構成し、それを記述してもらいたい。このようにして産学官がシナリオを共有することによって相互理解が進み、連携が一層効果的に進むことを期待する。

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