Vol.4 No.4 2011
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−235−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)座談会:システムと構成学を考える育つのです。赤松 モノそのものではなくて「システムを考える力」をどうやってつくるかということだと思います。今までの科学技術は「モノ」をやることが学問だと思っているけれども、そうではなくて、ほんとうはどのように「ものを考えるか」ということが大事で、そこをちゃんと学問の一部として位置付けていく必要がありますね。発明力の“力”のところが大事です。小野 発明力の切磋琢磨を民間の方々と一緒に推進したいと思います。桑原 いいですね。私の提案は、「実際にはこういうふうにやっている」ということを概観できるように整理して、どういうことがこれからさらにエンハンスされて必要なのか、学術的にはどういう位置付けなのかということを検討する道筋を双方協調してつけていきたいと思います。赤松 努力したいと思います。今日はありがとうございました。 (この座談会は、2011年5月9日に東京都千代田区にある日立マクセル株式会社において行われました。)座談会後の寄稿座談会で語りきれなかったところを出席者に寄稿をお願いしました。(編集委員会)桑原 洋:システム技術の開発を急ぐ科学技術研究開発成果の社会への還元、出口を見据えた研究開発の推進等、科学技術と社会とのかかわりを重視する基調が日本で急速に芽生えてきたことは誠に喜ばしい。科学技術と社会の接点は、産業分野においてはすべてがシステムである。それは単純なシステム(家電品等)から大規模・複雑なシステム(原子力プラント、各種スマートシステム等)まで極めて幅が広い。よって社会との接点を考えるとき当然のことながらシステムこそ重要なのであるが、これまでこの分野での研究開発に力が大きく注がれてこなかったのは残念であるし、これからの日本の発展を考えるとき、急ぐべき緊急課題である。さて、ならば“システムとは何か?”、“システム構築技術とは何か?”これらは今後のシステム関連の研究開発にとって欠かすことのできない重要な基本認識事項であるが、この解析活動がほとんど手つかずの状況にあり、急がねばならない。これらが皆でよく理解されて、初めて次のステップにつながっていく。今、初期段階から理論構築を図ろうとするのは、あまりにも無謀と言わざるを得ないであろう。そこで、少しはシステム構築経験が深いと考えている者として、以下に大胆な仮説を設定してみようと思う。議論を期待したい。システム構築における典型的手順第1段:対象となるシステムの目的を明確に定義する。第2段:システムの中で処理される対象物に対し、物理的、化学的あるいは社会科学的にどういう原理のものを、どう処理しようとしているのかを探求し、事の真髄を見極める。第3段:第2段に基づいて構築に必要となる可能性のある具体的な知見、知識、研究成果を幅広く収集する。第4段:その中から必要なものを抽出し、あるいは欠けている場合は、欲しい実現可能性のある新技術を仮定し、いくつかのシステム構築案を設計する。第5段:これらを目的に応じて定量的に評価し、関係者で集まって評価議論をし、追加するところがあれば追加し最終案を定める。この場合、価格、実現可能時限等も重要な評価項目として上る。いろいろな人達が、研究者も含めて過去に大小似たような経験をされていると思う。これらを持ち寄って議論を重ねていく中で、求める型が浮かび上がってくるのではないかと期待する。実体験から議論を始めないと空理空論になると危惧する。今回産総研の方々と議論する貴重な機会を得たが、極めて有意義であった。一方このままでは双方とも自我流の考えに固まりながら、異なる方向へと離ればなれの検討をしかねないと感じた。CRDSでのシステム技術検討、産総研での検討、横断型基幹科学技術研究グループ(連合、協議会)での検討、総合科学技術会議でのシステム重視、産業競争力懇談会(COCN)でのシステム検討等、いくつもの活動が活発化する機運にある。これらの間での、またこれから出てくる活動との相互連携こそ重要であり、有意義であり、産学連携活動がすばらしい成果を生むことを期待している。略歴桑原 洋(くわはら ひろし)
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