Vol.4 No.4 2011
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−234−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)座談会:システムと構成学を考えるにも参加していただけたらいいですね。基本的には共同作業がベスト解でしょう。赤松 昭和40年くらいまでは大学の先生と企業の方はすごく密接に同じ問題に取り組んでいろいろな課題を解決するということをやっていたと思うのですね。それが昭和40年代、50年代くらいになってくると、企業の力がどんどんついてきて、企業が先に行って、大学の先生方がついていけなくなって、という状況になり、それがまだ続いているのではないでしょうか。この状態は何とかしなければいけないと思っています。桑原 私は塑性加工学会の会長をやっていたのですが、「こういうものを作りたい」という目的がしっかりしていると、およそ、塑性加工技術だけで検討ができ、答えが出せるのです。ところが、安心・安全社会や環境というと、ITも関連するし、警察システムも関連するし、いろいろなサービスも関連します。細分化された、縦割りの学会では対応できませんね。今、日本がシステムとして海外に出ていくことを国が推進しようとしています。国の予算でここになんぼと言い始めたら動きます。語るだけで予算に反映できなかったら動かないですから、これはチャンスです。日本には、水、環境、食料等高い技術がありますし、輸出産業として考えても、ここで議論されているようなことが集まっていくと、いい貢献ができるのではないかと思います。効果的な産学官連携のために赤松 産総研は産業界、大学、公的研究機関との連携を推進しようと努力しています。今後、産学官連携がますます重要になると思うのですが。小野 実は、私は現在日本で産学官連携がとてもうまくいっているとは思っていなくて、その理由として予算制度の問題があったり、体制の問題があったりするのですが、それ以前に、それぞれ働いている研究者や技術者の意識の問題というのでしょうか、何を目的にしているか、お互いに違いは違いとして理解して、同じ目標に向かってシェアできるものは何なのかということをもう少しよく理解していくと、もっと良い産学官連携ができるのではないかと考えています。産総研側も研究グループリーダーくらいになるとシナリオをそれぞれ持ってやっていますので、それをもっと社会に出して企業の方に理解していただけるようにして、シナリオのレベルでもコミュニケーションできるようにしなければいけないと思っていますが、企業の側からも、そういう努力は期待できませんでしょうか。企業秘密とか、そういうところで障害はございますか。桑原 そこのバリアーは大きいです。秘密保持契約を結んでいただいて、とても端的に言えば、特許を出してから論文を書いて学会発表してほしいとか、今何をやっているかを絶対に言わないでほしいという類の制約はつけざるを得ないですね。研究者は学会で早く発表したいということはあるでしょうから、そこは私もいい答えをまだ持ち切れていません。しばらくは個別論で、プロジェクトごとに答えを出していくことになるのではないでしょうか。赤松 小野さんから産学官連携がそれほどうまくいっていないという話がありましたが、実効ある産学官連携のためにどういうことを考えたらいいでしょうか。桑原 産学連携を強化し、社会の発展のために科学技術が寄与するためには、この第2種基礎研究を総合科学技術会議が認め、国がこの分野に予算を回すということ、つまり市民権を得るようにしないといけないですね。そのときに、これまでの基礎研究は引き算しないという暗黙の了解も必要です。小野 最近、産総研では多くの企業と連携したコンソーシアム方式を奨励しておりまして、太陽電池等でやっています。産総研とそれぞれの会社が個別の契約を結びまして、企業から企業へは直接情報は流れないように体制を工夫して、しかし基本的な部分では目的や情報を共有するといったやり方をしています。産総研にシステムの研究を期待する赤松 システム的思考の重要性についてお話しいただきましたが、システムの形にする前に当然シナリオがあるわけですから、システムをつくるためのシナリオの方法論が私達のシンセシオロジーだと思っています。桑原 今のご意見には全く異論がありません。20世紀はシステムの時代と言われますが、日本は火力、原子力、化学プラント、ほとんど人真似でしょう。日本で初めてできたシステムは鉄鋼とJRです。ですから、産総研にはシステムの研究をしてほしいのですね。一つの例としては太陽光発電です。第2種基礎研究としてそこをやろうというなら、システム化の内容を3分の1くらいやってほしいですね。そうするとシステムの人が

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