Vol.4 No.4 2011
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研究論文:圧力計測の信頼性向上と国際相互承認(小畠ほか)−216−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)遠隔校正では、出張校正と同様に、依頼者の圧力計の使用場所に仲介器を輸送し、校正が行われる。しかし、校正機関要員は現場には行かず、校正機関からインターネット等の通信技術を利用して、測定データ等をやりとりして校正作業を行う点が出張校正とは異なる。依頼者の圧力計(被校正器)の種類としては、デジタル圧力計を想定している。最低限行わなければならないが、校正結果には大きな影響を与えないと考えられる被校正器、仲介器の設置等の作業は、一定の技術講習を受けた依頼者側の支援要員が行うことができる。図9に圧力の遠隔校正の実施手順を示す。校正機関が行う遠隔校正サービスに対して、依頼者から校正依頼があった場合の手順の一例を示している。この図において、点線で囲まれインターネットと記された部分は、情報ネットワーク技術を使用して実施可能な部分である。これまでに、産業界からの校正需要が多く、また、過去の国際比較で実績のあるデジタル圧力計が使用できる二つの圧力範囲(気体差圧 10 Pa~10 kPaと液体圧力 10 MPa~100 MPa)において、遠隔校正技術の開発を進めた。気体差圧の開発に関しては横河電機株式会社から、液体圧力の開発に関しては長野計器株式会社から、それぞれ技術協力を得た。開発の主な項目は、① 遠隔校正用の仲介器の開発② 遠隔校正に適した測定手順の開発③ 国内外での実証試験の実施である。ここで項目①については、高精度デジタル圧力計と圧力発生器、環境測定器を一体に組み込み、全自動で圧力の発生と測定が可能な可搬型の遠隔校正用仲介器を新たに開発した。仲介器の信頼性を向上させるため、各仲介器には複数の高精度デジタル圧力計を搭載した。気体差圧の仲介器にはシリコンレゾナントセンサを感圧部に持つ圧力計を、液体圧力の仲介器には水晶振動素子を感圧部に持つデジタル圧力計を採用した。なお、搭載したデジタル圧力計の長期安定性の不足を補うため、事前にその環境変化および輸送に対する安定性、短期・長期安定性等の特性を詳細に把握した。項目②については、自動校正を行うためのプログラム作成、また、遠隔校正を行う際の校正機関の要員と依頼者側の支援要員の手順書を作成した。項目③については、これまでに、開発した仲介器を用いて国内外で遠隔校正の実証実験を多数行ってきた。図10に気体差圧における実証実験の一例を示す。同図(a)に示すように、産総研を校正機関として、遠隔校正用仲介器を、山梨県甲府市に2回、中国の重慶市に1回輸送し、遠隔校正実験を行った。図10 (b)は、フルスケールが10 kPaで、分解能が10 mPaのデジタル圧力計の校正結果であり、通常の持ち込み校正による校正値からの偏差で表している。各測定圧力における偏差の最大値は20 mPa以内であり、相対的に、校正された圧力計のフルスケールの表2 圧力計の校正の実施形態と特徴図9 圧力遠隔校正の実施手順 インターネット校正機関依頼者校正申請仲介器移送仲介器返却校正証明書発行測定データ送信標準器被校正器全自動校正インターネット仲介器インターネット1.2.4. 5.(仲介器校正に使用)遠隔操作、支援要員機関要員機関要員現場作業 仲介器(仲介標準器)仲介器(仲介標準器)参照標準標準器依頼者指定場所依頼者指定場所校正機関校正場所遠隔校正出張校正(現地校正)持ち込み校正校正形態図10 気体差圧の遠隔校正の(a)実証実験の仲介器回送ルートと(b)その結果(遠隔校正の校正値を持ち込み校正の校正値からの偏差で表した。) (b)(a)測定データ被校正器仲介器仲介器甲府校正機関(AIST)依頼者つくば重慶-30-20-100102030100001000100101圧力/Pa持ち込み校正の校正値からの偏差/mPaAIST持ち込み校正2007年2月甲府 遠隔校正2007年7月中国重慶 遠隔校正2007年9月甲府 遠隔校正2007年11月

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