Vol.4 No.4 2011
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研究論文:地質学から見た高レベル放射性廃棄物処分の安全性評価(山元)−207−Synthesiology Vol.4 No.4(2011)執筆者略歴山元 孝広(やまもと たかひろ)1986年3月神戸大学大学院理学研究科修士課程修了。同年4月工業技術院地質調査所入所。1993年博士(理学)取得。2001年4月産業技術総合研究所深部地質環境研究センター 長期変動チーム長。2007年4月原子力安全基盤機構 規格基準部 放射性廃棄物評価室 調査役。2009年4月産業技術総合研究所地質情報研究部門主幹研究員。地質学、火山学が専門。2001年からは地層処分の規制支援研究を担当している。査読者との議論議論1 全般的なコメントコメント(富樫 茂子:産業技術総合研究所評価部)この論文は、構成学としては対象となるタイムスケールがかなり長い自然事象に対する人間活動の影響評価についての方法論という観点からとらえることができます。地質事象は、稀頻度事象であっても、その事象が起きた場合の社会への影響が極めて大きくなり得ることは、今回の東北地方太平洋沖地震の教訓が示すところでもあり、今後の社会の対応が強く求められている重要な課題です。この論文では、具体的には地層処分の安全審査で求められる地質学的課題を例として、一つの出来事がプロセスを経て次々に出来事を誘発するという一連の事象(シナリオ)に基づく課題の抽出の方法、対象となる地質事象の確率論的手法の限界、これを解決するための地質事象の成因モデルの構築に基づく長期の将来予測の必要性について記述しています。内容としては構成学として極めて重要な視点を提供していると考えられます。査読の過程で、より一般化された方法論としての特徴を明確にするように改善がされました。議論2 この研究の意義コメント(小野 晃:産業技術総合研究所)原子力発電に伴う放射性廃棄物の処分に関して、安全性の評価のために地質学の要素技術を統合・構成し、評価の方法論を提示した優れた研究と思います。福島第一原子力発電所の事故からも明らかになりましたが、原子力発電所の立地や廃棄物処分地の選定には規制当局の判断だけでなく、国民全体や関係する自治体の意向がとても重要です。そしてこれらの判断は、科学的な根拠に基づいてなされるべきと考えます。その意味で科学的研究の成果が、規制当局に対してだけでなく、広く国民に共有されることが望ましく、この論文が広く分野を超えて読まれ、参照されることを期待します。議論3 廃棄物処分地の決定に至る全体プロセスとこの研究の位置付けコメント2(小野 晃)放射性廃棄物の処分地を決定するまでには、多くの関係者が関わるとのことですので、決定に至るプロセス全体を示し、その中でこの核燃サイクル機構: わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性−地層処分研究開発第2次とりまとめ− (1999).長崎晋也, 中山真一: 放射性廃棄物の工学, 原子力教科書,オーム社 (2011).原子力発電環境整備機構: 高レベル放射性廃棄物地層処分の技術と安全性−「処分場の概要」の説明資料−, NUMO-TR-04-01 (2004).山元孝広, 小玉喜三郎: 日本の地層処分で考慮するべき地質及び気候関連事象について, 月刊地球, 26, 452-456 (2004).産業技術総合研究所深部地質環境研究センター: 概要調査の調査・評価項目に関する技術資料−長期変動と地質環境の科学的知見と調査の進め方−, 地質調査総合センター研究資料集, 459 (2007).原子力発電環境整備機構: 概要調査地区選定上の考慮事項の背景と技術的根拠, NUMO-TR-04-02 (2004).山元孝広, 阪口圭一: テフラ層序からみた安達太良火山, 最近約25万年間の噴火活動, 地質学雑誌, 106 (12), 865-882 (2000).T. Yamamoto: A rhyolite to dacite sequence of volcanism directly from the heated lower crust: Late Pleistocene to Holocene Numazawa volcano, NE Japan, J. Volcanol. Geotherm. Res., 167, 119-133 (2007).T. Yamamoto: Origin of the sequential Shirakawa ignimbrite magmas from the Aizu caldera cluster, northeast Japan: Evidence for renewal of magma system involving a crustal hot zone, J. Volcanol. Geotherm. Res., 204, 91-106 (2011).T. Yamamoto: Sedimentary processes caused by felsic caldera-forming volcanism in the Late Miocene to Early Pliocene intra-arc Aizu basin, NE Japan arc., Sediment. Geol., 220, 337-348 (2009).U.S. Department of Energy: Yucca Mountain preliminary site suitability evaluation, DOC/RW-0540 (2001).I.S. Smith: Episodic volcanism and hot mantle: Implications for volcanic hazard studies at the proposed nuclear waste repository at Yucca Mountain, Nevada, GSA Today, 4-10 (2002).[1][2][3][4][5][6] [7][8][9][10][11][12]参考文献るためには必要となる。原子力安全委員会では、最近、第二種廃棄物埋設施設の一種である余裕深度処分の安全規制で、地震や火山活動を稀頻度事象として評価する考え方を提示している[14]。しかし、現在の原子力安全委員会の考え方では、稀頻度事象の設定の仕方自体に任意性があり、多様な自然事象の中から評価線量を低く抑えられるような恣意的な事象の設定を除外する手だてが明確にされていない。ましてや非管理型の第一種廃棄物埋設施設である地層処分では、特廃法にあるように立地選定で懸念される自然事象が排除されていることが前提となっており、排除されたはずの地震や火山活動が稀頻度事象として安全評価されることには大きな違和感がある。繰り返しになるが、地層処分の安全評価では候補地のより正確な地質学的理解が基本であり、そのことによって不確実性をできるだけ軽減することにこそ、その本来の意義がある。S.H. Mahony, R.S.J. Sparks, L.J. Connor and C.B. Connor: Exploring long-term hazards using a Quaternary volcano databese, Volcanic and Tectonic Hazard Assessment for Nuclear Facilities, 326-345, Cambridge University Press (2009).原子力安全委員会放射性廃棄物・廃止措置専門部会: 余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価に関する考え方 (2009).[13] [14]

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