Vol.4 No.3 2011
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シンセシオロジー 座談会−176−Synthesiology Vol.4 No.3(2011)システム科学技術の研究開発赤松 木村先生が推進されているシステム科学技術は、社会に科学技術を生かすという意味でシンセシオロジーと近い気がいたします。システム科学技術について、シンセシオロジーとシステム技術の関係、今後の社会課題を解決するために必要な技術についてお伺いしたいと思います。小林 今回の東日本大震災や原発事故について、評価がまだ決まっていない段階ですので話題に取り上げるのは時期尚早な気もしますが、システムの問題がとても色濃く出ている事象に思えます。木村 事実関係が今どれだけわかっているのかということはありますが、一つ、ロボットの問題が議論に挙がりました。海洋、宇宙、災害、原子力等の分野で用いられる極限作業ロボットを目標としたプロジェクト(1983~1990)があったのですが、それらが表立って投入されなかったのは技術の問題なのか、人の問題なのかということです。研究が要素技術に偏ってしまっています。「こういうことができる」ではだめで、システム技術が重要だということが明確になった一例と言えると思います。小林 今回の原発事故では、ハードウエアとしてのシステム、ハードウエアと人との相互作用のシステム、政治も含めて人々がどう対応するかという人間群のシステム、この三つのシステムそれぞれに問題があったのではないかという気がいたします。そういう意味で、システムとしての課題をきちんと抽出し、それへの対応の方法を考えることが今とても大切ですね。科学技術システムは課題解決のためにある赤松 JSTにおいて、システム科学技術を取り上げた背景と言いますか、なぜ、今、システム科学技術なのでしょうか。木村 現代は「システムの時代」と言っていいと思います。現代はシステムの中であっぷあっぷしている状況です。そこにサイエンスとしての筋道をつけていくことが重要だと思いました。「システム技術」がシステムを解析・設計・実装するためのツール、「システム科学」はそれを普遍的な人工物の科学として体系化したものと考えれば、システム科学技術は複雑な社会に大規模なシステムを構築し発展させるためのものと言えます。小林 システム科学技術とは、課題を解決するための科学技術ということですね。私達もシンセシオロジーの中で、目標が何かということを定め、それに対してどうシナリオを描いていくか、そのための構成方法は何かということを記述しています。漠然と、単に要素を組み合わせれば良いと科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)では、システム科学技術推進委員会を設けて、システム科学技術研究として何を推進すべきかを検討してきました。研究領域が細分化に進むのに対して、システムとは統合することであることから、シンセシオロジーが目指しているところと共通しているものがあります。システム科学技術推進委員会を牽引されてこられた木村英紀上席フェローにお話を伺いました。木村 英紀小林 直人赤松 幹之JST研究開発戦略センター上席フェロー産総研(シンセシオロジー副編集委員長)産総研(シンセシオロジー編集幹事)座談会出席者シンセシオロジー編集委員会
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