Vol.4 No.3 2011
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研究論文:自動車用ナビゲーションの総合的開発(伊藤)−158−Synthesiology Vol.4 No.3(2011)技術と応用、普及、人工衛星の技術の急速な発展も見逃せない。【支える技術の発達】ナビゲーションは、「初めて行く目的地に到達することをガイドしてくれる装置の実現」という技術者の夢が始まりであり、Door to Door Navigation(目的地の家の前まで誘導してくれる)が理想、しかも船舶や航空機と異なり使用者は運転や航法のプロでない場合がほとんどである。第2章では、上記キーワード【 】を背景として、商品としてのナビゲーションの変遷を述べる。また、商品化していくプロセスで技術課題がどのように変わっていったのかを見る。第3章では、その技術課題をどのように解決していったかについて述べる。第4章では、ナビゲーションは運転中に操作や視認をするために、社会に根付かせるためには安全性を担保しなければならない。そのために行われた、ヒューマンファクタの研究開発、およびそれを支援するための国際標準化活動、および社会受容性を促進するためのガイドライン等の開発について述べる。ナビゲーションを構成する技術は広い分野にまたがるため、図1のごとく、商品として成立するための技術と支える技術、そして社会導入のための作業、について述べる。すでに使用されなくなった技術は点線で図示した。池田[2]らがナビゲーションに必要な車載、インフラ技術について、主として、ナビゲーションメーカーの立場で具体的に論じているが、この論文では車載機器としての成立性や社会導入を重要視しているカーメーカーの立場を中心に述べる。2 企画・商品の変遷カーメーカーの立場は、自動車そのものを売ることが一つの目的で、自動車と搭載している機能・装備が、利便性、安全性、エンターテイメント性、デザイン性等商品性で、顧客に満足度をどれくらい与えられるかが重要である。すなわち価格/効果があるかである。ナビゲーションは、お客様にこのような商品を提供すれば喜んでいただける、という技術者の夢の実現から開発が進んだものと考えられる。ナビゲーションは、登場以降、高価格グレード車の標準装備へと拡大し、アフターマーケット(非純正部品や用品の市場)でも競って商品力を向上させた商品が追加された。その結果、ナビゲーションを搭載するインストルメントパネルの基本構造・設計、デザインに自動車企画初期から検討される要素になった。このことは、自動車のデザイン、強度、耐久性、走行中の見易さ・操作の安全性、着脱性、電磁環境両立性、衝突時の安全性等自動車開発の多くのデザイン・設計要件と評価要件、製造要件を満足して、多くの知恵と労力が注ぎこまれていることに他ならない。2.1 初期の企画:【ニーズの存在】と【お手本の存在】を満たす技術の具現化ナビゲーションの目的は前述のごとく、目的地へ誘導することである。運転中、見やすく、分かりやすく、精度良く、経路を指示する装備を提供することが商品企画になる。第1の商品は1980年に導入された「電子コンパス」で、現時点の自動車方位を電子データとして取得、指示する。表示された自動車方位と道路方向と、ランドマークを参考に、道路地図帳で現在地と目的地をもとめる商品である。第2の商品は、「電子コンパス」の方位データと走行距離から現在位置を推定する推測航法(Dead Recognition)を図1 技術の開発(ヒューマンインタフェイスの進化)20102005JAMA GL.3プローブHDDKIWI,iFormatテレマティックスSDカード2000D-GPSVICSDVDISO 2WG発足1995ISO WG統合経路誘導自技会分科会発足TFT-LCDGPSJAMA GL.1ナビ研、DRM発足1990CDマップマッチング電子地図通信・電話車輪センサーカセットメモリカラーCRT1985CRTジャイロ速度センサー方位センサー1980(地図DB)(インフラ対応)(メモリ)(表示器)(位置同定、経路探索)

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