Vol.4 No.3 2011
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研究論文:人の認知行動を知って製品やサービスを設計する(赤松ほか)−148−Synthesiology Vol.4 No.3(2011)明渡 純, 中野 禅, 朴 載赫, 馬場 創, 芦田 極: エアロゾルデポジション法−高機能部品の低コスト、省エネ製造への取り組み−, Synthesiology, 1 (2) , 130-138 (2008).鎌田 俊英, 吉田 学, 小笹 健仁, 植村 聖, 星野 聰, 高田 徳幸: フレキシブルプリンタブルデバイス製造技術の開発−「どこでもデバイス、誰でもデバイス」の実現に向けて−, Synthesiology, 1 (3), 190-200 (2008).碓井 誠: サービス産業の進展と価値共創社会, 図鑑セブン・イレブン流サービス・イノベーションの条件, 160-170, 日経BP (2009).中島 秀之, 橋田 浩一: サービス工学としてのサイバーアシスト−10年早すぎた?プロジェクト−, Synthesiology, 3 (2), 96-111 (2010).倉片 憲治, 佐川 賢: 高齢者に配慮したアクセシブルデザイン技術の開発と標準化−聴覚特性と生活環境音の計測に基づく製品設計手法の提供−, Synthesiology, 1 (1), 15-23 (2008).[1][2][3][4][5]執筆者略歴赤松 幹之(あかまつ もとゆき)1983年慶応義塾大学大学院工学研究科管理工学専攻博士課程修了(工学博士)。1986年4月工業技術院製品科学研究所入所。皮膚感覚の研究、感覚運動統合の脳機構の研究、コンピュータ入力デバイスの研究、ITSヒューマンインタフェースの研究、自動車運転行動の研究等を行う。現在、産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門研究部門長。筑波大学連携大学院教授も務める。この論文では、他研究との比較や関連性を整理して、この研究の構成学としての位置付けを行い、全体の論旨を構成した。北島 宗雄(きたじま むねお)1980年東京工業大学理工学研究科物理学専攻修士課程修了(工学博士(1986年早稲田大学))。1980年4月工業技術院製品科学研究所入所。視覚障害者用読書器の研究、ヒューマンコンピュータインタラクションにおける認知モデリングの研究、聴覚障害者を対象とした参考文献ことで、改良・最適化のサイクルが有効に働くものと考える。注1)実験室を使って刺激等を統制して人間の感覚知覚特性を明らかにする実験心理学は、1879年にライプチヒ大学のWundtによって始められた。しかし、Wundtは同時に思考や問題解決等の高次の認知機能については実験室的な研究方法では解明ができないとして、実場面での心理学の必要性を指摘している。注2)こういった脳のメカニズムを考慮した行動選択過程の計算モデルとしてMHP/RTがあり、認知的クロノエスノグラフィ法の理論的枠組みを提供しているが、その説明はここでは紙面の都合上割愛した[13]。注3)回顧的インタビューは行動選択時に活性化した記憶の内容を被験者に報告させるために行われる。行動選択時に活性化した記憶は、その時の状況とともに符号化されて記憶される。そして、その時の記憶を再生する検索時の文脈が、符号化時の文脈と同様な場合に、再生成績が良いことが知られている(記憶の文脈依存性)。また、被験者が報告する際には、インタビュアーの質問の仕方が報告の内容に影響を及ぼすことが知られている。何らかの出来事を経験した後にその出来事に関連した情報を与えられると、目撃者がオリジナルの出来事の記憶ではなく事後に与えられた情報もしくはオリジナルの出来事と事後の情報を混合した内容を報告する「事後情報効果」という現象が知られている。また、被験者の行動選択は意思決定の特徴である限定合理性(全体としてのゴールを考えた合理的な判断ではなく、限られた視点で限られた手掛かりだけから判断すること)のもとに行われる。CCEの重要なプロセスである回顧的インタビューは、限定合理性にしたがって認知行動過程を事後情報効果を受けずに取り出すことができるように構築したものである。注4)技術移転の手法として、対象組織に入り込んで問題解決する社会学的方法の有効性は、木下らによって主張されている[19]。注5)認知科学研究におけるエスノグラフィ的研究として有名なのが、E. Hutchins らによる航空機のコックピット内のクルーの認知過程の研究であり、コックピット内に同乗して行動観察をしたのちに、インタビューを行っている。注6)ある商品を利用するであろうと想定されている人達のことをターゲットユーザーと呼ぶが、個性を持ったターゲットユーザーを意識した製品開発のための手法としては、ペルソナ法が広まっている。しかし、この方法は開発プロセスにおいてターゲットユーザーを明示化するための方法であり、実際にその想定されるユーザーがその製品・サービスを使った時にどのように評価するかは、開発者の想像の範囲にとどまってしまう。注7)社会学でのエスノグラフィ的な研究方法のなかには、社会や組織における問題を見いだし、その問題解決法を見いだすことを目的としたアクションリサーチと呼ばれる研究手法がある。ルーシー. A. サッチマン, 佐伯 胖監訳: プランと状況的行為−人間−機械コミュニケーションの可能性, 産業図書 (1999).佐藤 雄隆, 坂上 勝彦: 安心・安全な次世代モビリティを目指して−全方向ステレオカメラを搭載したインテリジェント電動車いす−, Synthesiology, 2 (2), 113-126 (2009).甲 洋介: 発話プロトコルによる思考過程の計測, 人間計測ハンドブック, 朝倉書店 (2003).赤松 幹之, 笠原 亨, 小畑 貢: 運転行動の記録映像に対するドライバー自身による言語報告に基づく運転タスク分析, ヒューマンインタフェース学会論文誌, 4 (2), 93-102 (2002).S. M. Smith and E. Vela.: Environmental context dependent memory: A review and meta-analysis, Psychonomic Bulletin & Review, 8, 203-220 (2001).U. フリック (小田 博志, 山本 則子, 春日 常, 宮地 尚子訳): 質的研究入門, 春秋社 (2002).北島 宗雄, 熊田 孝恒, 小木 元, 赤松 幹之, 田平 博嗣, 山崎 博: 高齢者を対象とした駅の案内表示のユーザビリティ調査−認知機能低下と駅内移動行動の関係の分析, 人間工学, 44 (3), 131-143 (2008).北島 宗雄, 内藤 耕編著: 消費者行動の科学−サービス工学のための理論と実践, 東京電機大学出版局 (2010).北島 宗雄, 豊田 誠: 認知科学に基づく人の行動生態の調査手法−CCE(Cognitive Chrono-Ethnography)の実践的概説, オンブック (2011).丸山 泰永, 黒田 浩一, 加藤 和人, 北崎 智之, 簑輪 要佑, 稲垣 和芳, 梶川 忠彦, 北島 宗雄, 赤松 幹之: ドライバにとって有益な情報の要因に関する一考察, 自動車技術会論文集, 40 (2), 537-543 (2009).簑輪 要佑, 稲垣 和芳, 梶川 忠彦, 黒田 浩一, 大森 啓史, 北崎 智之, 北島 宗雄, 赤松 幹之:「ドライバにとって有益な情報」の有効性を確認するためのナビゲーション擬似システムによる実験の検討, 自動車技術会2010年秋季学術講演会前刷集, 99-10 (2010).内藤 耕編: サービス工学入門, 東京大学出版会 (2009).シンセシオロジーワークショップ: オープンイノベーションハブに向けた技術統合の方法論, Synthesiology, 4 (1), 52-58 (2011).木下 佳樹, 高井 利憲: 臨床情報学のための野外科学的方法−技術移転の方法論に向けて−, Synthesiology, 3 (1), 36-46 (2010).[6] [7][8][9][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19]
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