Vol.4 No.2 2011
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研究論文:適応学習型汎用認識システム: ARGUS(大津)−75−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)特徴の有効性を示している。簡単な識別法MDDでも、ほぼ100 %の認識が得られた。5.5 Gait認識近年、遠方からの監視カメラによる個人同定(テロリスト等)のキーとして、gait(歩様)が注目されている。CHLAC+判別分析+k−NN識別を、米国NISTが取り纏めている71人のgaitから個人を認識するGait Challenge Dataset(図13)に適用した結果、これまでの上位5位までの手法を大幅に上回る世界最高性能を達成した[16](図14)。5.6 異常検出CHLACは、画像中に複数の対象がある場合、それぞれの対象の特徴の和が全体の特徴となる加法性をもつので、通常(正常)動作の特徴ベクトルは、特徴空間(251次元)のある線形部分空間(通常動作部分空間)SNに分布することになる。したがって、常時学習(教師無し)で主成分分析(PCA)によりSNを求めておけば、異常行動は、あらかじめ定義する必要なく、SNからの逸脱(距離/角度)として直ちに高速かつ高精度に検出・認識される[17](図15)。加法性から複数人の場合でも異常検出力は同じである(図16)。この異常検出方式は、すでにエレベーター内の監視カメラ注6に実用化されている。通常例をCHLAC特徴空間での統計的分布として学習し、そこからの逸脱(通常ではない)として異常を検知する本方式は、対象のモデルや知識を一切必要としない。したがって、監視カメラや車載カメラ等、映像からの異常検出のみならず、他のさまざまな異常検出に広く応用できる。例えば、静止画像の場合にはHLAC特徴空間を用いて、製造分野での半導体基板等の各種外観検査に応用できる(図17)。また、HLACを用いた異常検出は医療分野での各種組織検査、特に癌の病理診断に同様に応用できる。癌は細胞の異常である。癌の病理診断は病理医が臓器組織の構造や細胞の変化の程度を顕微鏡で見て行うが、豊富な経験と知識が必要となる。しかし、経験豊かな病理医は不足しており、病理医の負担は増大している。したがって、そうしたスクリーニング検査の自動化による負担の軽減や、転んだ人を検出した異常値通常値timesubspace distance00204060801001201401601802000.0010.0020.0030.0040.0050.0060.007normalabnormal直交補空間異常値通常動作部分空間検査枠プリント基板(元画像)従来手法の例×HLAC特徴を利用した提案手法(画像全体から求めた平均画像からの距離)左の棒から:産総研CHLACメリーランド大学南フロリダ大学カーネギーメロン大学マサチューセッツ工科大学中国科学院易しい問題難しい問題ABCDEFG1009080706050403020100認識率 (%)図13 gait 動画像とそのフレーム差分図14 gait 認識の比較実験[5][6][16]図15 異常検出の例(ここでは「転ぶ」が異常)図16 通常動作部分空間からの逸脱図17 基板検査への応用例person1person5person3person4person2leftward runleftward walkrightward runrightward walk40353025201510501050-5-10-15-20-25-301050-5-10-15-20-25-30-35-40-35-30-25-20-15-10-5010155-60-40-20020406080-15-10-501015520253035b)人の判別a)動きの判別図12 得られた判別特徴空間[11]

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