Vol.4 No.2 2011
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座談会−115−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)シンセシオロジー3周年記念座談会赤松 科学的発見という基礎研究の成果を発表する通常の学術論文誌とは異なり、シンセシオロジーでは「研究のシナリオを書いてください」とお願いしています。そういうこれまでとは異なる視点で論文を書く中で、あらためて気づいたことや得られたものがあるのではないかと思い、発刊3周年を記念して著者の皆さんと吉川最高顧問においでいただきました。最初に、自著論文の概要と執筆時の感想をお話しいただけますか。自著論文で表現したかったこと駒井 私の論文は「土壌・地下水汚染のリサイクル技術」という、環境・エネルギーと地質の二つのの領域にまたがる研究です。大気や地表水のリスク評価に比べて土壌や地下水のリスク評価の方法論は世界でも確立していなかったので、それらの汚染が人の健康に与えるリスク評価技術を開発したというものです。実は、普通の論文とどこが違うのかというのを自分でもあまりわからないまま、時系列的に書き上げて、最終的にはそれを構成的に非常にスマートにまとめたつもりでいたのですが、小野副理事長と富樫評価役に査読いただいた結果が散々でして「これではわからない」(笑)。時系列、やめました。書きたかったのは「こういうメンバーがいて、こういう構成があれば製品化できる」、その1点だけです。これまでの論文誌は、そういうものを全部はぎ取って論理だけを書いていますので、一般読者がよくわからないと思うのです。学術論文ももちろん重要ですが、こういう構成を中心としたスタイルもこれから重要になってくるのではないかと思います。諏訪 私のテーマは「循環発展的なプロジェクト構造のバイオインフォマティクス戦略」という、2001年からのデータベース作りとそれを使った共同研究の話です。2001年にヒトゲノムが解読されるというエポックメーキングな事件があったのですが、そのゲノム配列の中から、ヒトの細胞膜内で、外から受けた刺激の情報を細胞内部に伝える創薬の重要な標的タンパク質の遺伝子、GPCRを網羅的に探し出し、その機能解析を行うための計算パイプラインを作りました。そしてその応用結果を機能解析総合データベース(SEVENS)として練り上げました。研究のはじめからデータベース公開といういわゆる製品化までは2年でしたが、この成果がその次の要素技術になって、そこから大きな共同研究が循環的に次々に広がって行ったという内容を書きました。バイオインフォマティクスという分野は、結果が出るまでが比較的短期間でして、しかも何を対象として選んでもいい分野なので、機動的に動くことができて、いろいろな共同研究者と次々に話を発展できたと思っています。論文を書くに当たって一番困ったのは「研究シナリオを示す」というところです。私はこの研究の中で、自分でシナリオを描いた記憶は一切ない(笑)。描いたとすれば最初の1~2年で、そこから先は自然発展的に物事が進んできて、それにのっかってきたという感じなのです。ただ、結果的には今年でシンセシオロジー創刊から3年が経ち、今回も著者による座談会を開催いたしました。執筆により得られたもの、またシンセシオロジーの特徴の一つでもある査読者との議論への感想もお聞きしております。吉川 弘之赤松 幹之駒井 武諏訪 牧子木下 佳樹渡利 広司中村 安宏脇田 浩二編集委員、科学技術振興機構研究開発戦略センター、産総研編集幹事、産総研地圏資源環境研究部門生命情報工学研究センター組込みシステム技術連携研究体イノベーション推進本部イノベーション推進企画部企画本部地質調査情報センター座談会出席者シンセシオロジー編集委員会

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