Vol.4 No.2 2011
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研究論文:超高精細映像送受信を支える光通信ネットワークの実証実験(来見田ほか)−109−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)ク光パス・ネットワークとは何なのか、それを行うことによってなぜ低消費電力の光通信が実現できるのか(なぜパケット通信では駄目なのかも含めて)、という説明が不足していると思われます。これらを記述して、専門外の読者の理解をも促すことを期待します。回答(来見田 淳也)重要な説明ポイントのご指摘ありがとうございます。光パス・ネットワークを明確にするために、第2章第2段落に次の文を加えました。「「光パス・ネットワーク」と名付けた新しいネットワークを提案し、これらの問題を解決するべく研究開発を推進している。特に大容量情報のリクエストに対し柔軟に光ネットワークをスイッチし、光パスを動的に確保するネットワークを「ダイナミック光パス・ネットワーク」と呼んでいる。」また、第2章中に「このような取り組みにより、高速データ通信が多数の電気信号処理を介することなく実現され、大容量情報を低電力で扱うネットワークを構成することが可能となる。」を入れ、低消費電力光通信実現性の理由について触れました。また、多くの読者の方々に明確になるよう、第1章に「一方で、このような高度な通信サービスの持続的発展性に付随する次章で述べるような大きな問題点がある。」という文を挿入し、問題点を次章で説明することを述べました。コメント(立石 裕:新エネルギー・産業技術総合開発機構)この論文のポイントは、大容量ネットワークの全光化による省電力化、異種光ネットワークのシームレスな相互接続技術、これらをベースにした超大容量コンテンツの配信実装、を一つのデモで実証した、ということだと理解しますが、どこにブレークスルーポイントがあるのか、それをどのように解決したのか読み取れません。まず、研究の背景と概要を、もっと整理してわかりやすく提示して下さい。産総研HPの当該実験に関するプレスリリース※の方がより明快です。そのあとで、研究開発としての視点から、重要なポイントを記述してください。現状では何をやったかは細かく書かれていますが、「なぜそれをやらなければならないのか」「実際に何が問題となり、それをどのように解決したのか」はあまり記述されていません。第三者に理解してもらうというスタンスでご検討ください。回答(来見田 淳也)重要なご指摘ありがとうございます。まず概要に「現在の通信ネットワークを構成する装置群の消費電力、通信容量等の限界を超える新しい光ネットワークの実証のために、」という文章を加え、1.はじめにの文頭に「インターネットを中心とした通信需要の増加を背景に光通信の低エネルギー化が緊急の課題になりつつある。」という文を付加し、研究の背景と概要を明確にいたしました。また、研究開発からの視点を充実させるべく、5.2映像配信実験の節にこのデモ実験のハイライトの一つである、最も高速な光変調信号でかつ105 kmの伝送距離のある43 Gb/sパスの通信を成立させる、という内容を追記するとともに、第3章で触れました、三つのシナリオの観点をA. B. C.とし、第6章と対応付けることで整理しました。※http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100824_2/pr20100824_2.html議論2 実証実験システムとその意義コメント(小林 直人)要素技術はよく書かれていると思いますが、実証実験システム実現の部分とその成功によるこの研究の意義についての表現が弱く、せっかくの大きな仕事の意義が読者によく伝わらない可能性があります。そこで、(1)第3章に示されたシナリオが、実際の実証実験でどう実現されたのか、を第3章に示された内容、「(1)1 Gb/s、10 Gb/sといった通信要素技術を共存させたネットワークを構成すること、(2)実際に敷設された光ファイバーを使って構成すること、(3)さらに全体としてはこれらに工夫をし、低消費電力で実現すること」の結果として明瞭に示すのがよいと思います。(2)要素技術を統合して一つのシステムに組み上げたことは極めて意義深いことなので、そこでの統合の困難さ、それを克服できた理由等をもう少し詳しく記述するとよいと思います。コメント(立石 裕)5.1節で、中間の光ファイバーの距離が細かく記述されていますが、それが実験にとってどのような意味があるのか説明がないので、どのように理解すればよいのか分かりません。実用的にはこのくらいの距離で実装できれば十分ということを言いたいのでしょうか、それとも単に結果的にそうなってしまったのであって技術的には特段の意味がないのでしょうか?いずれにせよ具体的な数字を見ると、読者としてはその意味が気になります。回答(来見田 淳也)論文をよりよくできるポイントのご指摘ありがとうございます。(1) 第3章で触れた、三つの視点を「そこで三つの観点から考える。」という前置きの文とともに、A. B. C.として明確にし、第6章と対応付けを行いました。(2) 5.1節に光ファイバー線路の具体的な距離を説明しましたので、距離に対する高速通信の難しさに関連するストーリーを次のように加えました。「この距離間隔は一つの都市間を繋いでいるネットワークのモデルとして適度なものとなった。大きな課題は、この実験で用いる最も高速な43 Gb/s光変調信号による通信を成立させることであった。そのために私達が開発した高速自立制御型可変分散補償器によって105 kmの光ファイバーから受ける波長分散による波形劣化の影響を完全に補償することを計画した。ところが、光ファイバーの0.2 dB/km以上の伝送損失および光コネクタ・部品による損失が事前に明らかでなかったため、受信器に合う光S/N比に入るかどうかが不確定であった。そのためトポロジーを簡略化し、伝送の難易度を下げるようなバックアッププランを映像配信実験用に用意して臨んだ。」また、上記に対応すべく、このデモ実験で克服できた重要なポイントを5.2節に次のように明記いたしました。「このデモ実験のハイライトの一つは、最も高速な光変調信号でかつ105 kmの伝送距離がある43 Gb/sパスの通信が成立するかであった。図 3中の赤線で示した通信パスである。このパスをビットエラーレートテスタで試験すると、光信号強度を上げてもエラー無し状態にならず、スーパーハイビジョン映像に乱れや瞬断が起こる懸念があった。しかし適切な光パワーで実際の受信装置に接続すると、その装置の信号誤り訂正機能により通信が成立した。信号誤り訂正機能は特別なものではないが、構築した伝送距離105 kmの43 Gb/sパスが誤り訂正可能範囲内に入ることは実験によってのみしか確認できず、映像配信実験の一つの大きなポイントとなった。」議論3 垂直連携とその概念コメント(小林 直人)「垂直連携」はこの仕事の最も価値のある点の一つだと思いますので、図とともに簡単な説明を入れた方がよいと思います。回答(来見田 淳也)ご指摘ありがとうございます。図1を挿入してそれに対する説明を次のように加えました。「図 1がその概念図である。光スイッチをネットワークで活用するためには、アプリケーションに応じて光スイッチを制御するしくみが必要である。すなわち、高精細映像サーバーやディスプレイを相互に接続、またビデオ会議シス
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