Vol.4 No.2 2011
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シンセシオロジー 研究論文−70−Synthesiology Vol.4 No.2 pp.70-79(May 2011)1 はじめに近年、視覚システム(コンピュータービジョン)への期待が大きい。防犯分野での監視カメラ、生産分野での製品の外観検査、医療分野でのCT画像解析や組織検査、スポーツ分野での動作解析や評価、さらにはインターネットでの画像検索、ロボットの視覚等、多岐の分野にわたっている。その背景には、CCDカメラや各種センサー技術の発達、さらにはコンピューターや可視化技術の発達により、さまざまな画像の収集と処理が容易になっていることが挙げられる。これらのニーズに呼応して、画像認識の研究が国際的にも盛んに行われているが、いまだ自動化や実用化は難しく、個別のアドホックな手法や専用の高価なシステムとなっていて、実際の場面ではいまだ人の能力に頼っているのが現状である。できればPCベースでの簡便で安価な、しかも高速で汎用性の高い柔軟な視覚システムの実現と普及が強く望まれている。この論文では、この目標に向けて筆者がこれまで行ってきたパターン認識の理論[1]、特に特徴抽出理論[2]と、それに基づく実践的なシステム構成方式として提案した適応学習型汎用認識システム[3][4]、およびそのさまざまな応用展開について論ずるとともに[5][6]、認識(一般に情報)システムの構成法においては特に理論的アプローチが有効かつ重要であることを示す。2 従来方式とパターン認識まず、パターン認識としての画像計測や画像認識の問題を考えてみよう。図1−a)は、大小2種類の粒子(円)があって、それぞれの個数を数え上げる画像計測(計数)の課題である。通常考える方式は、次のような逐次方式であろう。まず画面をスキャンして個々の粒子を切り出し、個別に円で近似してその半径を測り、半径の大小によって粒子大津 展之近年、映像の監視や目視検査等、さまざまな分野で視覚システムのニーズが高まっている。特に、簡便で高速な実用的な視覚システムの実現が望まれている。この論文では、その目標に向けて筆者がこれまで行ってきた理論研究とその応用について概説する。まずこれまでのアプローチの問題点を指摘し、基礎としてのパターン認識の基本的な枠組、特に特徴抽出理論について言及する。次にその実践として提案した高次局所自己相関と多変量解析手法の2段階の特徴抽出からなる適応学習型汎用認識方式と、その応用事例を示す。実験結果は本方式の柔軟で効果的な性能を示している。適応学習型汎用認識システム: ARGUS− その理論的構成と応用 −Nobuyuki OtsuARGUS: Adaptive Recognition for General Use System- Its theoretical construction and applications -In recent years, the need for computer vision systems is increasing in various fields, such as security monitoring and visual inspection. It is crucial to realize simple and high-speed vision systems especially for practical usage. This paper addresses the author’s theoretical research and its applications developed thus far in working toward this goal. First, the problems of the conventional approach are pointed out, and the general framework of pattern recognition, in particular the feature extraction theory, is explained as the theoretical foundation of the present research. Then a scheme of adaptive vision system with learning capability is presented, which comprises two stages of feature extraction, namely, Higher-order Local Auto-Correlation and multivariate data analysis. Several applications are demonstrated, showing the flexible and effective performance of the proposed scheme.キーワード:視覚システム、パターン認識、特徴抽出、適応学習Keywords:Vision system, pattern recognition, feature extraction, adaptive learning産業技術総合研究所 フェロー 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2Fellow, AIST Tsukuba Central 2, 1-1-1 Umezono, Tsukuba 305-8568, Japan E-mail: Original manuscript received April 14, 2010, Revisions received April 12, 2011, Accepted April 13, 2011

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