Vol.4 No.2 2011
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研究論文:超高精細映像送受信を支える光通信ネットワークの実証実験(来見田ほか)−104−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)追従できるEDFA[9]である必要があり、この技術が採用されているものを選択している。4.3.6 パラメトリック任意光波長変換器(古河電気工業(株)/AIST)将来の光パス・ネットワークで光波長資源を有効活用するためには、波長変換技術は欠かすことのできない技術となっている。高非線形ファイバー(HNLF)を利用したコヒーレントな波長変換は変換後の光の位相の状態を保持することができるため、原理的にデータ変調フォーマットや変調速度に依存しない[10]。波長変換技術には高非線形ファイバー以外にも半導体光増幅器を利用したもの等が存在するが、高非線形ファイバーにおいては変調フォーマット無依存性が将来的に有用であるため採用された。デモではCバンドからLバンド用語5への波長変換が組み込まれている。4.3.7 高速自律制御型光可変分散補償器(古河電気工業(株)/AIST)古河電気工業(株)とAISTでは、光パラメトリック可変分散補償(P-TDC)と呼ばれる、パラメトリック過程による波長変換と波長依存の分散媒質を組み合わせた可変分散補償方式を提案・実証している[11]。位相保持型波長変換の原理に低分散スロープを有する高非線形光ファイバー(HNLF)[12]の4光波混合(FWM)を用いることにより、これまでの可変分散補償技術では実現困難である1 THz を超えるグリッドレスな広帯域動作を実現する。また、今後の光ネットワークにおいて光パスがダイナミックに切り替えられることを想定し、マイクロ秒オーダの高速可変応答を実現している[13]。この技術をスーパーハイビジョン信号が流れる43 Gb/s、105 kmラインのフィールドファイバーに適用し伝送実験を行うこととした。4.4 端末装置4.4.1 スーパーハイビジョン送受信装置(NHK)非圧縮スーパーハイビジョンを24 Gb/sデュアルグリーン方式で43 Gb/s光信号より送受信できる装置がNHKを中心にして開発されており[14]、これを用い105 kmのフィールドファイバーを経由するようにネットワークを構成する。そのため4.3.7節で述べた高速自律制御型光可変分散補償技術を用い、長距離伝送を実現することとした。4.4.2 コンテンツ集積サーバー、配信サーバー、ディスプレーコンテンツ集積サーバーは文字どおり映像コンテンツを保存しているコンピュータであり、光パス・ネットワークのネットワーク・ストレージ資源管理装置からの命令(4.1.1節)でこれらの集積/配信サーバーが作動する。ディスプレイはスーパーハイビジョン用モニターを除いて、一般に入手可能である機器で構成される。4.5 コンテンツコンテンツにはスーパーハイビジョン映像(NHK)とハイビジョン映像を用意した。前者は3,300万画素/フレームをもつ超高解像度映像を指しており、ハイビジョン映像を縦横4倍にした画素数相当をもつ映像である。NHKの協力により二つのスーパーハイビジョン映像が送出できるようにデモの実験系にセットされた。ハイビジョン(HD)については一般のHDビデオカメラを購入し自作コンテンツを準備した。映像は配信サーバーへセットされる。5 実証実験通信技術の実証実験は、基本的に切り替え技術を含めて情報をA点からB点へ届けることが可能なことを実際に示すことである。それには送信端・受信端が存在する会場、計画を基にした実験系の構築、それから実際に映像情報を送出/切替を行うといったことが実験のための重要要素となる。これらのことを考慮した結果、実証実験構成を図3のようにした。4章で述べた要素技術が図中に取り込まれている。この章では前章の要素技術をどのように取り込み、実験を成立させたかを述べる。図3では主に二つのネットワークが相互に接続されている構成がわかる。左側の青いエリアがNICTの光パス・パケット統合ネットワークであり、右側の緑のエリアがAISTの光パス・ネットワークとなっている。その中央部にはNHKのスーパーハイビジョン送受信技術がセットされる。これは相互接続点を協議した結果のトポロジー用語7である。図中の青い接続線は光ファイバーを示している。また、相互のネットワークのスイッチングのリクエスト方式はあらかじめ定めた。同図右の黒い鎖線部のネットワークはすべて秋葉原に置かれ、NICTの光パケット・光パス統合ネットワークへはその左端NICT-EAST、NICT-WESTの装置を接点に大手町、小金井、大手町と経由する。これによりネットワークの制御環境が整い、映像配信実験(5.2節)へ移行する。5.1 実験会場と実験系の構築実証実験はどこでも可能なように思えるが、利用可能な敷設光ファイバーを絞り込んでいくことを同時に行いながら会場を決めた。4.2.節で述べた研究開発テストベッドネットワーク(JGN2plus)を使う必要があるので、適切な端局を考える。JGN2plusの東端は東京都千代田区大手町にあり、それと産総研秋葉原事業所(東京都千代田区外神田)までを一般商用光ファイバーで接続することで、比較的容易にネットワークにできる結論に達した。産総研の主たる事業所、茨城県つくば市まで接続することも不可能ではな

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