Vol.4 No.2 2011
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研究論文:超高精細映像送受信を支える光通信ネットワークの実証実験(来見田ほか)−103−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)数十メートルの光ファイバーパッチコードでつなぎ光パス・ネットワークを形成することとした。光パス・ネットワークにおけるネットワークおよびストレージ資源管理はNTTとAIST情報技術研究部門との協働により実現される。性能保証されたストレージの予約状況を管理する資源管理装置と光パスを管理するネットワーク資源管理装置を配置し、視聴者からの映像視聴要求に対して最適なサーバーの選択および光パスを提供する[3]。視聴者から予約が入り予約時刻になると光パスを開通させ視聴者へのコンテンツ配信を開始、1 Gb/s、10 Gb/s、43 Gb/sを含むマルチビットレート信号を扱うことができるように設計されている。光パスの予約状況を示すソフトウエアも開発され、ユーザーインターフェイスも同時に提供されることとなった。4.1.2 光パケット・光パス統合ネットワーク(情報通信研究機構(NICT))への相互接続異種ネットワークの相互乗り入れを広範囲で行えることを実証するために、NICTの光パケット・光パス統合ネットワークと共同でデモを実施する運びとなった。この相互接続はNICTの協力を得て、制御信号の受け渡しを取り決め、コンテンツおよびサービス情報を接続ノードで交換することで実現する。光パケット・光パス統合ネットワークにより遅延やデータ損失のない高品質なサービスが提供される[4]。4.2 通信線路実際に敷設されている光ファイバー(フィールドファイバー)を使わずにネットワークを構成することも当然可能ではあるが、それでは実証実験の意図(シナリオ)から外れるので、フィールドファイバーを使うことが必要であった。ところが長距離にわたり商用光ファイバーを借りると、経済的にも負担が大きいため研究開発テストベッドネットワーク(JGN2plus)[5]を借用し実験系に組み入れることで、実際に近い形の通信距離を得るに至った。このようにして実際上起こり得る通信不安定要因、制限要因を含めて実験することが可能となった。このテストベッドの地理的要件や利便性を考慮するとJGN2plusの利用はデモ実験に適したものであった。その内容は次章の5.1節で実験会場と共に述べる。4.3 ノード装置およびデバイス4.3.1 シリコンフォトニクス・スイッチ(AIST)低電力・集積化可能な光デバイスはネットワーク機器への搭載に向けた研究が注目を集めており、AISTではシリコンフォトニクス技術によるクロスバスイッチ用語2の開発に着手している[6]。このスイッチを実際にネットワークノードに取り込み初めて映像データを流せるように構成した。いくつかの通信ノードのスイッチには一般に使用されているPLC型光スイッチを採用しているが、このシリコンフォトニクス・スイッチは低電力化、高集積多ポート化が実証できるため組み入れられた。4.3.2 電流注入型シリコン高速光スイッチ((株)富士通研究所)(株)富士通研究所では将来のダイナミック光パス・ネットワークの実現にむけて、小型で電子回路との混載集積が可能なシリコンベース光スイッチの開発が進められている。ナノ細線リブ導波路横方向p-i-nダイオード構造を採用した、断面積が小さいと同時に光閉じ込め効率の高い高効率動作デバイスが実現されている。世界最小のスイッチング電力でスイッチング速度数nsを実現しており[7]、このスイッチもまた実際のデモ実験用ネットワークノードに組み込んだ。4.3.3 省電力型次世代ROADM(日本電気(株)(NEC))光ネットワークノードに組み込む再構成可能型光分岐挿入多重装置はROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)と呼ばれており、波長多重方式とパス管理の技術を組み合わせて超高速・大容量の光伝送ネットワークを効率よく運用するための装置である。現在、ROADMが採用されているネットワークのノード装置においては光パスの設定に自由度が十分でないという問題がある。ノードに収容されているトランスポンダ用語3を任意の波長、任意の方路に切り替えすることができる装置が重要になる。NECではトランスポンダアグリゲータ用語4を開発し光パス設定の自由度を向上させており、これは最終的にトランスポンダの利用効率を改善することとなる[8]。4.3.4 高速波長可変レーザー((株)トリマティス)今後の光ネットワークではダイナミックに光の波長を切り替えて運用していく必要があるため、波長切り替えの高速性が鍵となる。トリマティスではミリ秒以下の波長切り替えが実現できる波長可変レーザーダイオード(T-LD)を基にした波長変換用光源装置の開発を行っている。これは単体のT-LDを高速かつ安定に波長可変させる技術であり、Cバンド用語5を5 GHzステップで波長(周波数)可変可能な装置が実現されている。これをNECのROADM装置の一部入力側へ搭載し、光の波長の切り替えを想定した構成とした。4.3.5 光増幅器光増幅器(エルビウム添加光ファイバー増幅器:EDFA用語6)は光ファイバー通信線路の損失を補うために用いる必要があり、欠かすことができない。これをネットワークのどこに配置するかが要点になるが、距離に対応した光ファイバーの損失情報より配置を決める。また、光パス・ネットワークでは波長がダイナミックに切り替えられるため、過渡応答に

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