Vol.4 No.2 2011
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研究論文:超高精細映像送受信を支える光通信ネットワークの実証実験(来見田ほか)−102−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)を一から街中へ引き直すという形には通常ならない。したがって、既存の技術と新しい技術とを組み合わせながら段階的に新しいネットワークを実現していくことになる。将来を見据えて、超高精細映像をネットワークの中にいかに組み入れていけばよいかを考える必要がある。そこで三つの観点から考える。A.超高精細映像配信を実証実験に組み入れるために、研究開発段階にある超高精細映像配信技術(ビットレート< 43 Gb/s)と実際の通信サービスとして市場に立ち上がっている1 Gb/s、10 Gb/sといった通信要素技術を共存させネットワークを構成することを考える。これには二つ理由がある。一つ目は超高精細映像配信技術を中心にさまざまな通信レートを同時にネットワークで取り扱うことができることを実際に示すためである。二つ目はそれらをネットワーク上で管理し、リクエストに応じたサービスを判断し、実際のネットワークを切り換えて配信できることを示すためである。次に、B.実際に敷設された光ファイバーを使って構成することを考える。これにも二つ理由がある。敷設されている光ファイバーからくるあらゆる非線形応答を補償し、通信が成立することを確認することと、異なる要素で構成された別のネットワークとも相互に接続が確立することを確認するためである。さらに全体としてこれらに工夫を加え、C.低消費電力で実現することが目的となる。上記が実証実験へ向けたシナリオの骨格である。これを基にしてダイナミック光パス・ネットワークを実現していく。はたして前述の事柄を集約し、組み合わせることだけで近未来に思い描く高速大容量通信基盤を具現化できるのかどうかが一つのポイントとなる。前述の視点はハードウエアに主に着目したものであり、それだけではやはり正しく構成されない。ハードウエアに合わせてソフトウエア・ファームウエアを設計開発する必要がある。図2にデモ実験の構成要素を示す。構成要素には実際に敷設された光ファイバーを活用すること、私達が開発した通信要素技術を活用すること、これらにリソース管理制御を加えること、という制約条件がある。さらにそれらにはソフトウエアとハードウエアの2面性があり、デモ実験をより効果的に行うためには、総合的な構成検討が必要となる。要素技術については次章で詳しく述べるが、実際にデモを遂行するにあたっては、余分なシナリオ検討等も行った。具体的にはデモでは使用しないが、それぞれの要素技術にネットワークの機能拡張性(Extendability)を設け、最悪の事態を想定した予備(Backup)を準備した。このような準備はデモ実験に限ったことではなく、実際の通信システムにおいても考慮される事柄である。実システムにおいても、問題の実態に合わせて再構成可能(Reconfigurable)にしたり、代替機能(Alternative)をもたせたりすることができる機能が実装されている。以上を考慮し、ビットレート混在、異種ネット相互接続、高精細映像をリクエストに応じてサービスすることを実際に示すシナリオを組んだ。4 要素技術光ネットワーク実証実験の構成要素は五つに分けて考えることができる。ネットワーク資源管理、情報が伝送される媒体としての通信線路、それらの端に配置されるノード装置およびデバイス、配信または受信先となる端末装置、線路や装置に流れる実際の情報(コンテンツ)である。それらを具体的にまとめたものを表1に示す。この章では構成要素技術について表1に沿って述べるとともにそれらを選択した理由を明確にする。4.1 資源管理4.1.1 光パス・ネットワーク(NTT/AIST)AISTのネットワークフォトニクス研究センターでは、これまで光パス・ネットワークの研究開発を推進してきており、各種光スイッチによって通信路が切り替えられてもそれに影響を受けないよう通信路の分散量や光強度を最適化する技術を開発している[2]。このデモにおいては主にノードにPLC型光スイッチ用語1(表1(e))を用い、その間を図2 デモ実験の構成表1 実証実験構成要素要素技術ハードウエアソフトウエアリソースの管理制御実際に敷設された光ファイバーを使って構成通信要素技術を共存させネットワークを構成デモ実験(d) 商用光ファイバー回線(秋葉原-大手町)―ノード装置(e) PLC型光スイッチ―市販および(f) シリコンフォトニクス・スイッチAIST(g) 電流注入型シリコン高速光スイッチ富士通研究所(h) 省電力型次世代ROADMNEC(i) 高速波長可変レーザートリマティス(j) 光増幅器(EDFA)―市販(k) パラメトリック任意光波長変換器古河電工/AIST(l)高速自律制御型光可変分散補償器古河電工/AIST(m)スーパーハイビジョン送受信装置NHK(n) コンテンツ集積サーバー―汎用 配信サーバー―汎用 ディスプレー(モニタ)―市販(o) スーパーハイビジョン映像NHK(p) ハイビジョン映像AIST端末装置コンテンツ構成要素技術名称協働組織名注(a) 光パス・ネットワークNTT / AIST(c) 研究開発テストベッドネットワークJGN2plus(NICT)資源管理通信線路(b) 光パケット・光パス統合ネットワークNICTデバイス文献[2][3][4][6][5][7][8][10][11]-[13][14]

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