Vol.4 No.2 2011
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研究論文:水素センサーの研究開発(申ほか)−99−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)application, J. European Ceramic Society, 28, 2183–2190 (2008).M. Nishibori, W. Shin, K. Tajima, L. Houlet, N. Izu, T. Itoh and I. Matsubara: Robust hydrogen detection system with a thermoelectric hydrogen sensor for hydrogen station application, Int. J. hydrogen energy, 34, 2834-2841 (2009).M. Matsumiya, W. Shin, N. Izu and N. Murayama: Nano structured thin-film Pt catalyst for thermoelectric hydrogen gas sensor, Sens. Actuators, B, 93, 309-315 (2003).Y. Choi, K. Tajima, N. Sawaguchi, W. Shin, N. Izu, I. Matsubara and N. Murayama: Planar catalytic combustor application for gas sensing, Applied Catalyst A 287, 19-24 (2005).M. Nishibori, W. Shin, N. Izu, T. Itoh and I. Matsubara: Sensing performance of thermoelectric hydrogen sensor for breath hydrogen analysis, Sen. Actuators B. 137, 524-528 (2009). [6][7][8][9]執筆者略歴申 ウソク(しん うそく)1994年韓国科学技術院修士課程修了。1998年名古屋大学工学研究科博士課程後期応用化学専攻修了、同年工業技術院名古屋工業技術研究所入所。2001年産業技術総合研究所、2008年より名古屋工業大学大学院工学研究科未来材料創成工学専攻准教授(兼務)、2011年より先進製造プロセス研究部門研究グループ長。博士(工学)。産総研技術移転ベンチャーを立ち上げて産総研発のセンサー技術の実用化に従事。専門は水素センサー、熱電変換材料、熱電物性計測技術およびマイクロデバイス加工技術の開発。この論文では、熱電式水素センサーデバイスおよび全体構想の取りまとめを行った。西堀 麻衣子(にしぼり まいこ)1998年愛媛大学大学院理工学研究科博士前期課程生物地球圏科学専攻修了、同年高輝度光科学研究センター放射光研究所入所。2006年産業技術総合研究所の産総研特別研究員、2007年同所先進製造プロセス研究部門研究員。博士(理学)。専門は機能性セラミック材料、ナノ構造を制御した触媒を活用し新規ガスセンサーを開発、放射光を用いた材料分析およびデバイスの動作条件下でのその場分析。この論文では、センサー製造プロセス、触媒材料の開発、センサーの応用に関する検討を行った。松原 一郎(まつばら いちろう)1987年大阪大学理学研究科高分子学専攻博士前期課程修了、同年工業技術院大阪工業技術研究所入所。2001年産業技術総合研究所、2005年より先進製造プロセス研究部門研究グループ長、2011年よりナノテクノロジー・材料・製造分野研究企画室長。博士(理学)。専門はガスセンサー、機能性材料、ナノ材料。ISO/TC197/WG13(水素検知器)およびTC146/WG16(VOC検知器の試験方法)のコンビナー。この論文では、水素検知器の国際標準に関する検討を行った。査読者との議論議論1 社会ニーズの把握質問(村山 宣光:産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門)この論文では、研究を始めるにあたり、社会ニーズの把握が重要であることを指摘されていますが、社会ニーズの把握の方法論について、ご意見をお聞かせ下さい。回答(申 ウソク)研究を始めた頃は、国内外の技術委員会の報告書と技術ロードマップ(TRM)の情報を入手しまとめました。その結果を素早くチーム内で発表して質疑を重ねることで、社会ニーズに対する客観的な分析および評価を行いました。議論2 要素技術の選択質問 (一條 久夫:(株)つくば研究支援センター) 要素技術の統合・融合を明確に記述するよう工夫されていると思いますが、“選択”はどのようになされたのでしょうか。回答(申 ウソク)社会ニーズという境界条件から要素技術を選択することは簡単ですが、それをより詳細に選び、さらに組み合わせるのが必要でした。その具体的プロセスは、実際、素子を試作し、それを評価しながら行いました。議論3 研究のオリジナリティー質問(村山 宣光)この研究のオリジナリティーの一つは、触媒燃焼と熱電変換との組み合わせだと思います。このアイデアに至った経緯をお聞かせ下さい。回答(申 ウソク)この研究を始める前に開発していた熱電変換技術をガスセンサーに新規応用する文献調査を行いました。その中で、酸化物焼結体の電極として白金を使ったガスセンサーの論文(1985年)を見つけました。そのセンサーの要素部材と素子構造を進化させて開発したのがこの研究の水素センサーです。議論4 製品化研究質問(村山 宣光)この研究では、当初から量産化を見越した装置を導入し、それが製品化に大きく寄与したと指摘されています。ただし、すべての研究でこの方法論は適用できるのでしょうか。あるいは、この方法論の適用可能な研究とそうでない研究に分類できるとお考えでしょうか。回答(申 ウソク)研究開発の中には常に材料探索的な研究が必要です。この研究開発でも触媒材料の開発プロセスは通常の化学実験室レベルのもので進めました。【量産化を見越した装置を導入】は、実用化の壁になるプロセス変更を最小限にしたものです。原則、この方法論はほとんどの研究開発で適用可能であり、スピーディーな製品開発においてますます重要な方法論であると思います。議論5 研究成果の広報活動質問(村山 宣光)当初水素ステーションの水素漏れセンサーの応用を想定していたのが、真空容器等のリークチェック用センサーや呼気センサーという想定外の応用に展開したことを紹介されています。このような、想定外の応用を開拓するためには、広報活動が効果的ではないかと推測しますが、実際にはどのようなアクションが効果的であったのでしょうか。回答(申 ウソク)産総研のプレス発表と研究試料提供が非常に効果的でした。そのおかげで新しいアプリケーション開発に繋げることができました。
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