Vol.4 No.2 2011
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研究論文:ヒューマノイドロボットのコンテンツ技術化に向けて(中岡ほか)−83−Synthesiology Vol.4 No.2(2011)の開発に成功した。図3からも分かるように、HRP-4Cは全身に渡って人間に近い外観を実現した等身大(身長158cm)のヒューマノイドである。さらに、HRP-4Cは動作に必要な機構をすべて体内に備えており、二足歩行を行うための機構も備えた自立型のロボットである。その身体のサイズや形状は日本人青年女性の平均体型に近いものとしており、従来の二足歩行ヒューマノイドと比較して格段にスリムな体型を実現している。総重量は47 kg注2となっている。関節は頭部に8、首に3、各腕に6、各手に2、腰に3、各脚に7の自由度を備えており、総自由度は44となっている。頭部の8自由度により、表情の変化、視線の移動、発声に伴う口元の動き等も表現可能である。また、腰部位の3自由度により、しなやかな胴体の動きも可能になる。これらにより、動きの面でも従来以上に人間に近い表現能力を秘めていると言える。先に述べたように、このようなハードウエアを実現することは技術的にも難しい課題であった。HRP-4Cの開発にあたっては、HRP-2[6]やHRP-3[11]の開発で培ってきた設計技術の上に、小型分散モータードライバを組み合わせた分散制御システムや、新規開発の足首関節駆動機構等を導入し、可搬重量を軽減した設計によってアクチュエータやバッテリーの小型軽量化も図った。これらを結集した総合的な取り組みの結果として機構や電装システムの小型軽量化を達成し、課題を解決することができた。3.3 歩行安定化制御システムの改良HRP-4Cは足に関しても人間に近い形体を実現するため、図4に示すように、従来の二足歩行ロボットと比べてその足裏は小さく、足首中心もより踵方向に近づけた設計となっている。二足歩行ロボットでは、足裏の圧力中心の位置(ZMP)が足裏のエッジにくると、そのエッジ回りに転倒してしまう[17]。このため、足裏と床との間の圧力中心点(ZMP)を精度よく足裏の内部に制御することが、転倒を避けるために必要となるが、足裏の面積が小さいほどこの制御は難しくなる。これについては、二足歩行の不整地対応能力を高める基礎研究として私達が取り組んできた、線形倒立振子トラッキング制御に基づく新しい歩行安定化制御システム[18]を導入することによって、十分な安定性を確保することに成功した。4 動作表現支援技術4.1 動きの振り付けにおける課題ロボットの形態や外観に加えて、その身体の動きも当然のことながらコンテンツにおいて重要な表現要素となる。これに関してコンテンツ技術としてまず基本となる機能は、コンテンツ制作者が定めた一連の動きをロボットが行うことであろう。問題は、その動きをいかなる手段でロボットに振り付けるかにある。本研究が対象とする等身大の二足歩行ロボットにおいては、動作の振り付けの手段として、特定の動作を生成するプログラムを個別に開発したり、あらかじめ用意された基本動作に対応するコマンドを記述するといった手段がこれまで一般的であった。しかし、それらは専門技術を要する非直感的な作業である上、結果も単調な動きに陥りがちである。これに代わるものとして、多様な動きを思いどおりに振り付けるための分かりやすくて効率的な手段の提供が望まれるのである。ここで再度着目したいのが、CGキャラクタアニメーションの技術である。人間を模した身体モデルに望みの動きを振り付けるという点では、ヒューマノイドもCGキャラクタもやるべきことは同じである。そして、CGキャラクタアニメーションは、長年にわたって多くの映像コンテンツにおいて利用されてきた実用的な技術である。したがって、CGキャラクタと同様の感覚でヒューマノイドの振り付けをできるようにすることは、ヒューマノイドのコンテンツ技術としての実用性を現実的なものにするための課題として妥当である。図3 サイバネティックヒューマンHRP-4C愛称は「未夢(ミーム)」図4 HRP-4CとHRP-2の左足裏の大きさと足首中心位置比較のため、右図のHRP-2の足裏においてはHRP-4Cの足裏も点線で重ねてある。単位:mmHRP-2HRP-4C足首中心足首中心24013884105245

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