Vol.4 No.1 2011
61/74

−58−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)報告:オープンイノベーションハブに向けた技術統合の方法論ロジーの中にあってほしい。今ボトムアップでいっているのでちょっと気になったのですが、仮説からスタートしてもいいと思うのです。小林 直人 ねらいとしてはそこまで行きたかったのですが、現在はまだ事例が集積していないということがあります。技術を構成するという考え方には解釈があり、選択と組み合わせには仮説が入っていると思いますし、最終的に社会実装にいくまでにループを回していかなければいけないということは、今までの分析でもかなり見えてきています。鈴木 浩 シンセシオロジーの1巻2号で小林さんがリチャード・レスター教授にインタビューされて非常に興味深かったのですが、レスター教授は『Innovation』の中で、これからは解釈が大事だと言っています。いろいろなものをうまく解釈していく中でいろいろなイノベーションが起きてくるが、しかし、すべて解釈ではイノベーションは起きないとも言っています。分析的な部分と解釈的な部分のバランスをとりながらイノベーションを起こしていくべきだと。私は、そこはシンセシオロジーが力を発揮できる分野ではないかと思って、ぜひ期待したいと思っています。小野 晃 フロアからのご意見は非常に高い理想であると思います。私達もそれを掲げてはいますが、雑誌としての『シンセシオロジー』は枠組みであり、議論し、学説を提示する「場」であると考えています。そこには二つ目的があります。一つは、純粋基礎研究は科学の方法論として確立していますが、応用研究や統合的な研究は、何がオリジナリティなのかということもよく分かっていないし、ある結論が真実かどうかを見極める確たる方法もまだない。『シンセシオロジー』はそういうものを開発する場であると思っています。これが第1の目的です。他方で、いろいろな技術分野の人たちが自分たちのシナリオや戦略、統合の方法を提示し合って、まずは交流しようというのが第2の目的です。統合的な研究や学問として確立していないところをみんなで提示し合って、ボトムアップで解を探っていこうというものです。『シンセシオロジー』はそういう議論の場を提供しているので、ぜひお考えの点に関して論文の投稿をお願いします、というと雑誌の宣伝になってしまいますが、そういう現状でございます。Whyを考える環境をつくり、そのための障害を克服するためにフロア Whyを考えなくなった原因として、多くの人が教育問題を指摘しています。戦後、日本は目の前のことだけ一生懸命やれという教育をしてきた。キャッチアップの時代はそれで良かったが、今はそういうわけにはいかない。どうすればよいかということが一つ。もう一つ、Whyを考えると、いろいろなブレークスルーなことをトライ&エラーでやっていくしかないと思うのですが、今の日本の状況で何か新しいことをやろうと思うと、常に障害、規制が出てくる。失敗こそ多く学ぶべきことはあるのに、今の日本は口が裂けても「失敗」などとは言えない。そんな障害を乗り越えるためにサジェスチョンがあればいただきたいと思います。鈴木 浩 答えがあればぜひ私もお聞きしたいテーマなのですが、Mark Stefikが書いた『ブレイクスルー』という本があります。私が訳したのですが、彼は「これから必要なリサーチは“ラディカルリサーチ”」だと言っています。これまでの基礎研究は、ある研究テーマを与えられて、それを解いて、障害にぶつかったら障害をどう乗り越えるかというテーマで研究する。応用研究は、あることを実現しようとして障害に当たると、それをバイパスするような別の手段で製品化する。これから必要なラディカルリサーチは、ある問題にぶつかったらその問題をテーマにするというように、テーマは変わっていくけれども、その中で広がりを持っていく。そこで他の技術や分野、社会技術的なものを一緒に入れて問題解決していくことが必要だと思います。それから、Whyを考えるときに障害を乗り越えるサジェスチョンということですが、どうも日本人の悪い癖で、Howからどうしても入ってしまう。もう一度Whyを見られるようなタイミングを、この『シンセシオロジー』はそういった分野ではおもしろい場だと思いますので、ぜひこの場を活用していただければと、これは私の希望です。赤松 幹之 私達は研究をいかに社会に生かしていくかに対していろいろな方法論を考え、その一つとして構成学を組み立てようと努力しています。今後ともご支援をいただきたいと思います。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です