Vol.4 No.1 2011
60/74
−57−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)報告:オープンイノベーションハブに向けた技術統合の方法論赤松 幹之 光におけるWhatは大量の通信を一発で実現することが狙いでしょうか。北山 忠善 当初、鉄鋼プラントや化学プラント等でコンピューターをプロセスに導入して生産コントロールをするためのネットワークを張る媒体がなく、光が一番電磁誘導に強くて、ポイント・ツー・ポイント接続型ネットワークが普及しました。将来更にコンピュータ数、端末数が増加した場合のシステムにはポイント・ツー・ポイント接続型ネットワークは、装置が大きくコストも高くなることから、光レベルでネットワーク化をやってみようというのがパッシブ光ネットワークを選んだ理由です。光ネットワーク化し多重アクセスを可能にすることにより装置の小型、低コスト化を図ることが必要と考えました。伊藤 肇 1980年代はモータリゼーションが爆発したときです。道路は整備されていないし、道路標識もメチャクチャの時代。地図帳といっても簡単なものしかなく、自分がどこにいるのか、どっちを向いているのか分かる技術によってかなりの問題が解決できる時代だった。現在、ナビは表示器の中の一つの機能になっていますが、いろいろな機能を持っています。安全と環境だけが本命か、ナビは完成したのかというと、そんなことはありません。人間のフィーリングに合った、人間工学的にも良い、交通渋滞を広い目で見て緩和できるようなルートガイダンスについて研究の余地があると思います。国の研究開発プロジェクトのサポートは機能したか赤松 幹之 カーナビを実現するとき、そこでは国の研究開発プロジェクトのサポートも機能していたと理解していいのでしょうか。伊藤 肇 そうだと思います。昔は省庁間の対立が非常にあったと思うのですが、ITS分野は良好かつ密接な関係があり、それを統括する内閣府もいます。ITSジャパンは民と官と学を結びつける役割をして、民間180社が参加しています。これだけの会社が勝手にやれるなどということはありません。全体を調整し、キー競争領域が進んでいく、今はそういう状況だと思います。北山 忠善 基幹通信網の光化という意味では、光ファイバー通信がやるべきことは極めて明確で、高速化すれば必ず安くなる。ただ、マーケットはそう大きくはありません。究極的に、将来はどの家からも高速データがくるだろうと思っても、そういう将来の大規模ネットワーク化を企業の中の開発投資だけで試そうとはなかなか思えませんでした。当時、光大プロのインパクトがあった点は、光ネットワークのトライアルができたことだと思います。鈴木 浩 課題を見つける、どういう科学技術が必要になるかを見極める、あるいはそれを融合させる、社会にインプリメントするというのは必ずしも一人の人、一つの組織ではできません。そのためにエコシステムという形でいろいろな企業が参加できる「場」をどうつくるか。国プロが今回の場合はかなりのコントリビューションをしたのかなという気がします。伊藤 肇 国等の機関の協力があったからうまくいったというお話はそのとおりなのですが、今、VICSは警察の車両感知器等から上がってくる情報です。次世代の渋滞情報で走行中の車両からの情報を使うプローブ化は、まだテストが始まった段階ですから、そういう機関を巻き込んでやらなければいけないということが一つ。もう一つ、日本のナビゲーションは地図がベースになっていると思いますが、地図をナビの表示だけではもったいないという話が総務省や国土交通省から出ています。「場」の中でそういうことを皆さんと協力して検討していけたらと思っています。北山 忠善 かつてはメーカー同士が競争して、半導体のチップセット、光デバイスからASIC、ソフトウエア全部をその会社が持って戦っていたわけですが、今はそういう戦い方をするには時間もないし、投資する力もない。一企業がリソースとリスクをマネジメントできる範囲には限界があります。私はあまり“オープンイノベーション”という言葉を使ったことはありませんが、オープンな環境でうまくチーミングできるかどうかで勝負が決まると思うのです。ベンチャーと組んだとして、必ずスペック通り最後まで仕上がるかどうか保証はありません。お互いにギャランティされていない関係の中で、成功するまでやり遂げるプロジェクト運用、信頼関係、風土の醸成が成功には必要不可欠だと思います。成功する要素選択と組み合わせをつくり、普遍化する方法についてフロア 議論が各論にいっているように思うのですが、小林さんが報告された「シンセシオロジーにおける構成」の「要素選択と組み合わせ」は非常に大事だと思っています。アウフヘーベン型、ブレークスルー型、戦略的選択型とありますが、どういうものが生き残っていくのか。発明的問題解決技法(TRIZ)、あるいは『創造工学』を書かれた市川亀久彌さんは、技術の進化のパターンがあり、それを外れたものは失敗しているといっていますが、成功するための思考プロセスをきちんとやっていく、その辺がシンセシオ
元のページ