Vol.4 No.1 2011
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研究論文:レーザー援用インクジェット技術の開発(遠藤ほか)−3−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)100 µm程度からサブミクロンになり、それに伴って3次元実装技術における配線技術の微細化が重要となってきた。同時に、配線技術に対しては、高機能化、省エネ・省資源化、生産効率向上、そして低コスト化への対応が求められている。この領域において、現時点で、実用もしくは実用化が期待されている配線技術として、マスクプロセス技術であるフォトリソグラフィ技術、µCP(Micro Contact Printing)・ナノインプリント技術、スクリーン印刷技術、および、マスクレスプロセス技術であるMIPTEC (Microchip Integrated Processing Technology)、インクジェット印刷技術を取り上げ、図2に比較して示す。マスクプロセスにおけるフォトリソグラフィ技術は、感光性有機物質をパターン状に露光してレジストを作製し、基板上に成膜した金属膜をエッチングすることで所望のパターンを作製する。このため、露光に用いられる光の波長に依存するマスクの回折限界まで微細化が可能であり、半導体チップからPCB(Printed Circuit Board)等までの幅広いデザインルールに対応可能となっている。µCP・ナノインプリント技術は、金型原板を樹脂基板等に転写することで微小な構造体の作成が簡易にでき、数ミクロンからサブミクロンで微細配線が可能な半導体チップ実装技術として開発が進められている。また、スクリーン印刷技術は、PCB等の基板上に孔版を用いて導電性ペーストを刷りつけることで所望のパターンの配線を描画する方法であり、50 µm程度の配線を描画することが可能となってきたことから、表面実装技術として用いられている[2]。これらのプロセス技術は、マスクもしくは型版を用いることから、凹凸のある基板上での3次元実装への適用は、とても困難である。一方、マスクレスプロセス技術として、プログラムを書き換えるだけで容易にパターン変更が可能であり、マスクレスで配線の描画ができるMIPTECは、YAGレーザーやYVO4レーザーにより無電解メッキによって成膜された金属膜配線をアブレーションすることで、3次元でのパターニングが可能なため、立体形状のコネクタ等多品種化に対応した生産が可能な3次元実装技術として大きな期待が寄せられている。さらに、有機エレクトロニクス分野で開発が進んでいたインクジェット印刷技術[5]は、導体となるナノサイズの金属粒子を溶媒に分散したインクを必要なときに必要な量だけ塗布するマスクレスプロセスであり、凹凸基板面への描画も可能である。近年では安定して配線幅50 µm程度の配線描画が可能となったことから、3次元実装技術への応用が期待されている。次に、それぞれのプロセス技術と技術要素の特徴について比較を行った(図3)。現時点で最も実用的なプロセス技術となっているフォトリソグラフィ技術は、ファイン化、高スループット、歩留まりが高いという特徴を活かして技術開発、深化が進めてられてきた。また、µCP・ナノインプリント技術はファイン化、スクリーン印刷技術は高スループットを特徴として、MIPTECはマスクレスプロセスの優位点である多品種化を特徴として実装技術の開発が進められてきた。一方、インクジェット印刷技術は、多品種化、低コスト化、省エネ・省資源化が可能という他のプロセス技術にない特徴をもち、ミニマルマニュファクチャリングの要となる可能性をもっていることがわかる。しかし、これまでは、高い生産性を実現するために必要なスループットが低く、かつ歩留まりも低いという克服すべき技術課題があった。3 技術課題と解決手段の選択3.1 配線描画速度の低下の原因となるインクの濡れ広がり配線を描画するインクジェット印刷技術は、ドットをつなぎ合わせることによって配線を描画するため、ドット形状を等間隔に並べるこれまでの家庭用インクジェット技術とは異なったプロセス因子の設定と選択が必要である。具体的には、配線描画速度と吐出周波数、インク粘度と表面張力、基板へのインクの濡れ性等の要因により、ドットのつなぎ合わせの状態は変化し、描画される配線パターン形状簡易複雑マスクレスマスクプロセスµCPナノインプリントメッキメッキMIPTECインクジェット印刷技術スクリーン印刷フォトリソグラフィ1000 µm100 µm10 µm1 µm0.1 µm製造工程高真空プロセス高真空プロセスプロセス技術デザインルール実装位置半導体チップ表面実装PCB/FPBLTCC機能性インクジェット印刷技術MIPTECスクリーン印刷μCP・ナノインプリントフォトリソグラフィ技術環境性生産コスト生産性高い歩留まり省エネ省資源製造工程の短縮製造コスト大面積化高スループット多品種化ファイン化×××××△△△△△△△△△△△〇〇〇〇〇×△△〇×△△〇〇〇〇◎◎◎◎◎◎◎◎図2 実装位置に対応する配線幅と配線技術図3 各配線技術と技術要素の特徴

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